収益の繰延を教科書で確認
ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、収益の繰延の具体的な仕訳手順と、「なぜ負債になるのか」という理屈を図解で順番に解説していきます。
本編 Step 1:会計処理① 繰延(くりのべ)〜来年へパス〜
▼
会社の成績表(損益計算書)を作るための絶対ルール、それは「今年の成績には、今年の分しか入れない」ことです。
しかし、保険料や家賃などは「1年分をまとめて払う(もらう)」ことがよくありますよね。もし、そのお金の中に「来年の分」が混ざっていたらどうなるでしょう?今年の費用や収益が大きくなりすぎて、今年の正しい利益がわからなくなってしまいます。
そこで決算の日に、「ごめん、これ来年の分だった!」と来年へパス(繰延)して、今年の費用・収益から追い出す作業が必要になるのです。
Step 2 では、この「来年へ追い出すべき金額」を見つけて、正しく処理する練習をします。
2 2-2. 収益の繰延(前受収益)
1年分の家賃などをまとめて前もって受け取ったが、決算の時点で「まだ場所を貸していない(サービスを提供していない)来年の月数分」が含まれている状態。
借方: 先に受け取った金額のうち「来年分の収益」は今年に含めてはいけないため、今年の「収益」からマイナスして来年に持ち越します。
貸方: お金を先にもらっているため、「来年、場所を貸してあげる義務」を背負ったと考えます。この義務を「前受収益(負債)」という勘定科目で計上します。
初心者向けイメージ:なぜ「負債」なの?
友達から先に代金をもらってしまったのと同じです。「来年必ずサービスを提供しなきゃいけない」というプレッシャー(義務)を背負っているので、会社の「負債」として扱います。
2 例題 2
会計期間は1月1日〜12月31日である。当年8月1日に、向こう1年分の受取地代12,000円を受け取り、全額を「受取地代」として処理していた。決算につき、次期分を繰り延べる。
受取地代の期間は 8/1 から翌年 7/31 までの 12か月です。決算日の 12/31 までに終わっているのは 5か月分(8〜12月)。残りの「1月〜7月の 7か月分」が、追い出すべき来年の収益です。
12,000円
12,000円 × (5か月 ÷ 12か月) = 5,000円
12,000円 × (7か月 ÷ 12か月) = 7,000円
繰延では、翌期分を今年の収益から外します。よって、仕訳で調整する金額は 7,000円です。
上の「8/1の仕訳」のように、1年分 12,000円 をまとめて受け取った時点では、まず全額を収益として処理しているはずです。この時点では、受取地代 12,000円 全額がそのまま当期の収益に入っています。
しかし、そのうち 7,000円 は翌期分です。そこで、上の「12/31の仕訳」が必要になります。
借方(左側): 今年計上しすぎていた「来年分の収益(7,000円)」をマイナスして取り消します。(収益の減少=左側に置く)
貸方(右側): 前受地代 7,000。「来年、相手に場所を貸してあげなくてはいけない」という義務を背負ったので、新しく負債として計上します。(負債の増加)
12,000円 − 7,000円 = 5,000円
受取地代(今年の収益)は、12,000円から7,000円を取り消したので、正しく「5,000円(今年の5ヶ月分)」だけが残りました。一方、前受地代7,000円は、来年果たすべき義務(負債)として貸借対照表に載ります。
この時点(8/1)では、12,000円 全額が収益です。
まだ負債としては計上されていません。
T字勘定で見ると、受取地代は 12,000 から 7,000 を差し引いて 5,000 だけ残り、前受地代 7,000 が新しく負債として立っていることが確認できます。