簿記3級 貸倒引当金

【貸倒引当金】まとめ!差額補充法の計算から貸倒れ処理までの全体像一覧|簿記3級

差額補充法、貸倒損失、前期以前と当期発生……。貸倒引当金はルールが多くて頭がパンクしていませんか?バラバラの暗記から卒業するには、「決算の準備」と「実際の貸倒れ」という2つの場面に分けて整理するのが一番の近道です。テストで狙われるポイントを網羅した、全体像のまとめをスッキリ解説します!

先に結論

貸倒引当金の学習は、大きく分けて「①決算日にクッションを準備する場面」と「②翌期以降に本当に貸倒れた場面」の2つしかありません

結論から言うと、それぞれの場面で絶対に守るべきルールは以下の通りです。

① 決算日(クッションの準備): 来年必要な「目標額」を計算し、いま手元にある「使い残し」との”差額”だけを調整します(差額補充法)。

② 本当に貸倒れた時(クッションの使用): 「いつ生まれた売掛金か?」で処理が分かれます。

去年からある売掛金 準備したクッション(貸倒引当金)を使えます。
今年新しく生まれた売掛金 絶対にクッションを使ってはいけません(全額が貸倒損失になります)。

この「準備」と「本番」の2つのルールを整理して頭に入れておくことが、貸倒引当金をマスターする最大の近道です。

なぜ間違えるのか

初学者が貸倒引当金の問題でミスを連発してしまう原因は、主に以下の3つです。

1. 決算整理で「使い残し」を引き忘れる(差額補充法のミス)

決算日に「目標額(来年必要なクッションの額)」を計算できたことに満足して、手元に残っている残高を引かずに、目標額のまま全額を仕訳してしまうミスが非常に多いです。

2. 「今年生まれた売掛金」にクッションを使ってしまう

問題文に「当期に発生した売掛金が貸倒れた」と書いてあるのに、つい貸倒引当金を減らす仕訳を切ってしまうケースです。手元にある引当金は「去年の売掛金」を守るための専用品であり、今年の売掛金は仲間外れ(クッション使用不可)だというルールを忘れると失点します。

3. 使う勘定科目がごっちゃになっている

準備をする時の「貸倒引当金繰入(費用)」と、実際に貸倒れて損をした時の「貸倒損失(費用)」。似たような名前ですが、使う場面が全く違います。自分が今どの場面の仕訳を切っているのか、現在地を見失うと科目を間違えてしまいます。

貸倒引当金の全体像を教科書の流れで確認

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、貸倒引当金の「準備(差額補充法)」から「本番(実際の貸倒れ)」までの全体像を順番に振り返っていきましょう。

2
全体像
【決算日の処理】計算方法と差額補充法

① 目標クッション額の計算式

決算日に、まず「来年いくらクッションが必要か」という目標金額を計算します。

目標金額(回収不能見込み額) = 期末売掛金残高 × 貸倒実績率

② 差額補充法の3つの仕訳パターン

仕訳を切るときは、目標金額をそのまま書くのではなく、「いま手元に残っているクッションの使い残し(決算整理前残高)」と見比べて、差額だけを調整します。

A パターンA:手元の残高が「ゼロ」のとき

目標額をそのまま全額カウントして積み上げます。

×××目標額
×××目標額
B パターンB:手元の残高が「足りない」とき

目標額に届くように、不足分だけを追加で補充します。

×××不足分
×××不足分

※「貸倒引当金繰入」は費用なので、借方(左側)に書きます。

C パターンC:手元の残高が「多すぎる」とき

目標額を超えて余っている分を、削って(取り崩して)元に戻します。

×××多すぎる分
×××多すぎる分

※余った分は収益である「貸倒引当金戻入(収益)」として右側に書きます。

【翌期以降の処理】本当に貸倒れた時の分かれ道

年が明けて、本当に貸倒れ(回収不能)が確定してしまったら、その損害は「貸倒損失(かしだおれそんしつ)」という勘定科目(費用)を使って処理します。
ただし、「いつ生まれた売掛金が貸倒れたか」によって、仕訳のやり方が完全に2つに分かれます。ここが試験の最大の引っかけポイントです!

A パターンA:【前期以前】の売掛金が貸倒れた場合

去年から持っていた売掛金なので、去年の決算で貸倒引当金(専用のクッション)を準備してあります。まずはそれを使ってダメージを吸収しましょう。

1. クッションが十分にある時

全額クッションで受け止めるため、今年の新しい損(費用)は出ません。

×××貸倒れ額
×××貸倒れ額
2. クッションが一部しかなくて足りない時

あるだけのクッションを全額使い切り、防ぎきれずに貫通した分だけを「当期の追加ダメージ」として今年の費用にします。

×××引当金残高
×××不足分
×××貸倒れ額
3. クッションが全く(0円)ない時

守ってくれるものが何もないので、諦めて全額を今年の費用にします。

×××貸倒れ額
×××貸倒れ額
B パターンB:【当期発生】の売掛金が貸倒れた場合(★超危険トラップ)

今年新しく売って生まれた売掛金が、その年のうちに貸倒れてしまった場合です。去年の決算の時にはまだ存在していなかったため、この売掛金を守るためのクッションは用意されていません。

1. 無条件で全額を「貸倒損失」にする(クッション使用不可!)

帳簿にどれだけ貸倒引当金の使い残しがあっても、絶対に1円も使ってはいけません。無条件で全額を今年の費用にします。

×××貸倒れ額
×××貸倒れ額

なぜ使えないの?:手元に残っているクッションは、あくまで「去年の年末に残っていた売掛金」のためだけに作った専用品だからです。今年生まれた売掛金は、そのクッションの対象外(仲間外れ)なのです。

「いまどの場面か?」「いつの売掛金か?」を常に自問自答する!

貸倒引当金の「準備」と「本番」の全体マップは頭の中で整理できましたか?

貸倒引当金の問題を解く時は、まずは深呼吸をして「今は決算で準備をしている場面なのか?それとも実際に貸倒れた場面なのか?」を確認してください。 そして、もし実際に貸倒れた場面なら「これは前期の売掛金か?当期の売掛金か?」を問題文から見つけ出しましょう。この2つのチェックを習慣にするだけで、どんなひっかけ問題にも騙されなくなりますよ!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。