簿記3級 固定資産・減価償却

【固定資産】売却の仕訳(間接法)のやり方!累計額をセットで消す手順|簿記3級

「間接法で備品を売った時、減価償却累計額はどう処理するんだっけ?」と迷っていませんか?間接法の場合、備品は「買った時の値段」のまま帳簿に残っているため、手放すときには「減価償却累計額」と一緒にセットで消去しなければなりません!複雑な仕訳をパズルのように簡単に解く3つの手順を解説します。

先に結論

「間接法」で記録していた固定資産を売却したときの仕訳は、固定資産が「買ったときの値段(取得原価)」のまま残っているため、「いままで溜めてきたマイナスの記録(減価償却累計額)」と一緒にセットで消去する必要があります。

以下の手順で組み立てると、複雑な仕訳もパズルのように解くことができます。

  • ①上段のセット消去:買った時のままの金額になっている「固定資産」(備品など)を貸方(右側)に書いて消し、同時に、別室に溜まっていた「減価償却累計額」借方(左側)に書いて取り消します。
  • ②現金の記録:入ってきた売却代金を資産の増加として借方(左側)に縦に並べて記入します。
  • ③差額の処理:左右の合計を比べ、足りない側に「固定資産売却益」または「固定資産売却損」を記入して帳尻を合わせます。

なぜ間違えるのか

初学者が間接法の売却仕訳で混乱し、テストで失点してしまう原因は主に以下の3つです。

1. 減価償却累計額を消し忘れる

直接法と同じ感覚で、備品勘定だけを減らしてしまうミスです。間接法では、固定資産の価値のマイナス分は「減価償却累計額」という別の貯金箱に入っているため、手放すときにはこれも忘れずに帳簿から消し去らなければなりません。

2. 減価償却累計額を書く場所を間違える

減価償却累計額は「資産のマイナス」を表す勘定科目なので、普段のホームポジションは貸方(右側)です。売却によってこれを「取り消す(消去する)」ためには、逆の借方(左側)に記入しなければならないという理屈を押さえておく必要があります。

3. 売った金額を「取得原価」と比べてしまう

「600,000円で買ったものが300,000円で売れたから、300,000円の損だ!」と飛びついてしまうケースです。間接法では、まず自分で「取得原価 - 減価償却累計額」の引き算をして「いまの価値(帳簿価額)」をつかみにいくステップが絶対に欠かせません。

固定資産の売却(間接法)を教科書の流れで解説

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、間接法で固定資産を売却した際の具体的な仕訳パターンを図解で順番に解説していきます。

8
Step 6:売却②/除却②(減価償却している有形固定資産の売却、除却)
このStepの位置づけ

ここは、減価償却を学んだあとに戻ってきてほしい場所です。
売却①・除却①では、まだ減価償却を考えませんでした。
今度は減価償却をしている有形固定資産の売却・除却について考えていきます。
試験では主にこちらを問われることが多いので、しっかりマスターしていきましょう。

🍞 あの日のオーブンを数字で振り返る

いよいよ、長年がんばってくれたオーブンとお別れする日が来ました。手放すときも「売る」「捨てる」かの2つの道がありましたね。具体的な数字で振り返ってみましょう。

たとえば、取得原価320,000円のオーブンを数年使い、減価償却累計額が220,000円になっていたとします。このとき、オーブンの「いまの価値(帳簿価額)」100,000円 です。

中古業者に 120,000円 で売った(売却)
100,000円の価値のものを120,000円で売れたので、20,000円の「得」をしました。

完全に壊れてしまったので捨てた(除却)
お金は1円も入ってきません。そのため、いまの価値である100,000円が丸ごとそのまま「損」になります。もし捨てるのにお金(廃棄費用)がかかったら、その分さらに損が増えます。

1 売却の仕訳紹介

売却の仕訳では、まず帳簿価額(いまの価値)をつかみ、それを売却代金と比べます。
「直接法」「間接法」では、帳簿からの固定資産の消し方(見え方)が違うため、仕訳の形が少し変わります。

直接法

固定資産の勘定科目の数字がそのまま「いまの価値(帳簿価額)」になっているので、それをダイレクトに消去します。

売却益があるとき
XXX売却価格
XXX差引
XXX帳簿価額
XXX差引
売却損があるとき
XXX売却価格
XXX差引
XXX帳簿価額
XXX差引
間接法

固定資産が「買ったときの値段(取得原価)」のまま残っているので、いままで溜めてきた「マイナスの記録(減価償却累計額)」も一緒にセットで消去する必要があります。

売却益があるとき
帳簿価額
XXX累計額
XXX売却価格
XXX取得原価
XXX差引
売却損があるとき
帳簿価額
XXX累計額
XXX売却価格
XXX差引
XXX取得原価
XXX差引
XXX差引
2 売却の例題
この4題の見方

この4題は、売却益のペア売却損のペアに分けて読むと、とても理解しやすくなります。
直接法と間接法で違うのは、減価償却した分を固定資産から直接減らしておくか、減価償却累計額として別に持つかという記帳方法だけです。

だから、売る直前の帳簿価額売却代金が同じなら、出てくる売却益・売却損の金額も同じになります。
これからの4題は、そのことが見えるように、あえて数字をそろえてあります。

1 直接法:売却益
問題

帳簿価額400,000円の備品を、450,000円で現金売却した。

解答
450,000
400,000
50,000
解説
① 金額の計算

直接法なので、現在の備品勘定の金額は、買ったときの値段ではなく、帳簿価額の400,000円になっています。
400,000円の価値のものを450,000円で売ったので、引き算をして50,000円の得をしたことがわかります。

② 仕訳の考え方

貸方(右側): 備品を手放したので、資産の減少として貸方に「備品」を記入し、帳簿から消去します。
ここで書く金額は、いま現在の価値(帳簿価額)である400,000円です。直接法は、毎年の減価償却のたびに備品勘定の金額を直接ガリガリと削っていくルールでしたよね。そのため、帳簿に残っている備品勘定の数字自体が、いつでも自動的に「今の価値(帳簿価額)」になっています。したがって、今まで使って減った分がすでに差し引かれている400,000円をそのまま右側に書くだけで、備品の記録をきれいにクリアにすることができます。

借方(左側): 代金を現金で受け取ったので、資産の増加として「現金 450,000」を記入します。

差額の処理: 左右の合計を比べると、借方(左)が45万円、貸方(右)が40万円となり、右側が50,000円足りません。この差額を、収益の発生として貸方に「固定資産売却益」と記入します。

2 間接法:売却益
問題

取得原価600,000円、減価償却累計額200,000円の備品を、450,000円で現金売却した。

解答
200,000
450,000
600,000
50,000
解説
① 金額の計算

間接法では、まず引き算をして「いまの価値(帳簿価額)」を自分でつかみにいきます。

600,000円(取得原価) - 200,000円(累計額) = 400,000円(帳簿価額)

これで、例題1と全く同じ「40万円の備品」だとわかりました。450,000円で売ったので、結果は同じく50,000円の得になります。

② 仕訳の考え方

上段のセット消去: 間接法なので、備品勘定の数字は削られず、買ったときのままの金額になっています。そのため、まずは「備品 600,000」を貸方に書いて消します。それと同時に、別室に溜まっていたマイナス記録の「減価償却累計額 200,000」を借方に書いて取り消します。

現金の記録: 入ってきたお金を資産の増加として借方に「現金 450,000」と縦に並べて記入します。

差額の処理: 左右の合計を比べると、借方(左)が65万円、貸方(右)が60万円となり、右側が50,000円足りません。この差額を、収益の発生として貸方に「固定資産売却益」と記入します。

仕訳を更に読み解いてみよう

今度は、解答の仕訳をそのまま見て、どこで帳簿価額が作られているかを確認します。
間接法では、上段の減価償却累計額備品をひとまとめで見るのがポイントです。

解答の仕訳
帳簿価額
200,000
600,000
450,000
50,000
囲んだ部分を見ると、帳簿価額が読める

上で囲んだ部分は、減価償却累計額200,000円備品600,000円です。
この2つを合わせて見ると、備品600,000円から、すでに使った分200,000円を除いた残りが読めます。

600,000 − 200,000 = 帳簿価額 400,000

ここをひとまとめに見られれば、あとは帳簿価額400,000円の備品を450,000円で売ったと考えれば大丈夫です。
そうすると、差額50,000円だけ利益が出たという、かなりシンプルな仕訳として読めるようになります。

3 直接法:売却損
問題

帳簿価額400,000円の備品を、300,000円で現金売却した。

解答
300,000
100,000
400,000
解説
① 金額の計算

直接法なので、現在の備品勘定の金額は、買ったときの値段ではなく、帳簿価額の400,000円になっています。
400,000円の価値のものを300,000円で売ったので、引き算をして100,000円の損をしたことがわかります。

② 仕訳の考え方

貸方(右側): 備品を手放したので、資産の減少として貸方に「備品」を記入し、帳簿から消去します。
ここで書く金額は、いま現在の価値(帳簿価額)である400,000円です。直接法は、毎年の減価償却のたびに備品勘定の金額を直接ガリガリと削っていくルールでしたよね。そのため、帳簿に残っている備品勘定の数字自体が、いつでも自動的に「今の価値(帳簿価額)」になっています。したがって、今まで使って減った分がすでに差し引かれている400,000円をそのまま右側に書くだけで、備品の記録をきれいにクリアにすることができます。

借方(左側): 代金を現金で受け取ったので、資産の増加として「現金 300,000」を記入します。

差額の処理: 左右の合計を比べると、借方(左)が40万円、貸方(右)が40万円となります。ただし、借方には現金30万円しか入っていないため、残りの100,000円を費用の発生として借方に「固定資産売却損」と記入します。

4 間接法:売却損
問題

取得原価600,000円、減価償却累計額200,000円の備品を、300,000円で売却した。

解答
200,000
300,000
100,000
600,000
解説
① 金額の計算

間接法では、まず引き算をして「いまの価値(帳簿価額)」を自分でつかみにいきます。

600,000円(取得原価) - 200,000円(累計額) = 400,000円(帳簿価額)

これで、例題3と全く同じ「40万円の備品」だとわかりました。300,000円で売ったので、結果は同じく100,000円の損になります。

② 仕訳の考え方

上段のセット消去: 間接法なので、備品勘定の数字は削られず、買ったときのままの金額になっています。そのため、まずは「備品 600,000」を貸方に書いて消します。それと同時に、別室に溜まっていたマイナス記録の「減価償却累計額 200,000」を借方に書いて取り消します。

現金の記録: 入ってきたお金を資産の増加として借方に「現金 300,000」と縦に並べて記入します。

差額の処理: 左右の合計を比べると、借方(左)が50万円、貸方(右)が60万円となり、左側が100,000円足りません。この差額を、費用の発生として借方に「固定資産売却損」と記入します。

仕訳を更に読み解いてみよう

ここでも、解答の仕訳をそのまま見て、どこで帳簿価額が作られているかを確認します。
間接法では、上段の減価償却累計額備品をひとまとめで見るのがポイントです。

解答の仕訳
帳簿価額
200,000
600,000
300,000
100,000
囲んだ部分を見ると、帳簿価額が読める

上で囲んだ部分は、減価償却累計額200,000円備品600,000円です。
この2つを合わせて見ると、備品600,000円から、すでに使った分200,000円を除いた残りが読めます。

600,000 − 200,000 = 帳簿価額 400,000

ここをひとまとめに見られれば、あとは帳簿価額400,000円の備品を300,000円で売ったと考えれば大丈夫です。
そうすると、差額100,000円だけ損が出たという、かなりシンプルな仕訳として読めるようになります。

上段の「セット消去」で帳簿価額を作り出す!

間接法における売却仕訳の仕組みはイメージできましたか?

一見すると勘定科目が4つも出てきて難しそうに見えますが、上段の「減価償却累計額」と「備品」の組み合わせで『いまの価値(帳簿価額)』を表現しているに過ぎません。 「取得原価と累計額をセットで消す」というルールさえ守れば、あとはもらった現金を書いて、左右の差額を埋めるだけ。このパズルの解き方をマスターすれば、間接法の問題は確実に得点源にできます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。