簿記3級 固定資産・減価償却

【決算整理】帳簿価額(簿価)とは?固定資産の売却益・売却損の計算方法|簿記3級

「60万円で買ったものが45万円で売れたから、15万円の損だ!」と思っていませんか?固定資産を売却した時は、「買った時の値段」と比べてはいけません!損得を計算する時に必ず使う「帳簿価額(いまの価値)」の簡単な出し方と、売却損益の仕組みをスッキリ解説します。

先に結論

固定資産を手放す(売却・除却する)ときの計算で、絶対に欠かせないのが「帳簿価額(ちょうぼかがく)」です。

結論から言うと、帳簿価額とは「まだ費用になっていない残り(=いま現在の価値)」のことです。

  • 帳簿価額の計算:取得原価 − 減価償却累計額 = 帳簿価額
  • 売却損益の計算:売却価額 − 帳簿価額 = 売却損益

固定資産を売って得をしたのか、損をしたのかを計算するときは、買った時の値段(取得原価)ではなく、必ずこの「帳簿価額(いまの価値)」と比べて損益を出します。

なぜ間違えるのか

初学者が固定資産を売却した際の仕訳や計算でつまずいてしまう原因は、主に以下の3つです。

1. 売った金額を「買った時の値段(取得原価)」と比べてしまう

「600,000円で買ったものが450,000円で売れたから、150,000円の損だ!」と飛びついてしまうミスです。すでに何年も使って価値が減っている(減価償却している)という事実を忘れて計算してしまうと、まったく違う数字になってしまいます。

2. 減価償却累計額の意味が抜けている

間接法で登場する「減価償却累計額」が、「これまでに使い終わった分の価値」を表していることを理解していないケースです。取得原価からこの累計額を差し引かないと、いま現在の価値(帳簿価額)を導き出すことができません。

3. 売却損益の計算を難しく考えすぎている

漢字が多くて難しく見えますが、やっていることは「いま現在の価値より、高く売れたか?安く売れたか?」を比較しているだけです。このシンプルな本質を見失うと、公式の丸暗記になってしまいます。

帳簿価額と売却損益を教科書の流れで解説

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、帳簿価額の考え方と売却損益を計算する具体的なストーリーを図解で順番に解説していきます。

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Step 6:売却②/除却②(減価償却している有形固定資産の売却、除却)
あの日のオーブンを数字で振り返る

いよいよ、長年がんばってくれたオーブンとお別れする日が来ました。手放すときも「売る」「捨てる」かの2つの道がありましたね。具体的な数字で振り返ってみましょう。

たとえば、取得原価320,000円のオーブンを数年使い、減価償却累計額が220,000円になっていたとします。このとき、オーブンの「いまの価値(帳簿価額)」100,000円 です。

中古業者に 120,000円 で売った(売却)
100,000円の価値のものを120,000円で売れたので、20,000円の「得」をしました。

完全に壊れてしまったので捨てた(除却)
お金は1円も入ってきません。そのため、いまの価値である100,000円が丸ごとそのまま「損」になります。もし捨てるのにお金(廃棄費用)がかかったら、その分さらに損が増えます。

1 帳簿価額(帳簿価格)

手放すときの計算で絶対に欠かせないのが「帳簿価額(ちょうぼかがく)」です。
固定資産は、買った年にいきなり全額を費用にするのではなく、減価償却によって毎年少しずつ費用にしていきます。つまり、買ったときの総額のうち、まだ費用になっていない残り(まだ使い終わっていない価値)が帳簿価額です。
つまり帳簿価額は「いま現在の価値」である。ということです。

取得原価 買ってきた時の値段
減価償却累計額 今まで費用にしてきた総額
=
帳簿価額 現在の価値

売却損益を出すときは、売却価格と帳簿価額を比べて損益を出します。

売却価額 売った金額
帳簿価額 現在の価値
=
売却損益 差額
なぜ、取得原価ではなく帳簿価額と比べるのか?

売却損益を出すときに、なんで『買ったときの値段(取得原価)』ではなく『いまの価値(帳簿価額)』と比べるの?と疑問に思った人もいるかもしれません。

例:取得原価600,000円、減価償却累計額200,000円なら、帳簿価額は400,000円です。
買ったときは600,000円だったオーブンも、すでに数年間パンを焼いて売上を作ってくれました。その「すでに役立った分(たとえば200,000円)」は過去に使い終わった部分です。だから手放す日に見るべきなのは、最初の600,000円ではなく「いま会社にいくら分の価値が残っているか(400,000円)」なのです。手放すときは、常にこの帳簿価額と勝負します。

具体例でイメージする:買って、使って、売るまで

パン屋さんのオーブンで、流れをそのまま追ってみましょう。
1つの例を最後まで見ると、帳簿価額と売却の関係がかなり見えやすくなります。

1. 買ったとき

オーブンを600,000円で買いました。
この時点では、まだ使っていないので、600,000円全部が会社に残っている価値です。
したがって、買った直後の帳簿価額は600,000円です。

2. 2年使ったあと

毎年100,000円ずつ減価償却すると、2年で200,000円は「使った分」として費用になります。
すると、600,000円のうち、もう使い終わったのは200,000円。
つまり現在の価値(帳簿価額)は400,000円ということになります。

3. 450,000円で売ったとき

ここでオーブンを450,000円で売ったとします。
現在の価値(帳簿価額)は400,000円なので、400,000円のものを450,000円で手放したことになります。
したがって差額の50,000円は、固定資産売却益です。

売却損益との関係

売却損益は、いつでも売却代金と帳簿価額の差額で決まります。
見るべき数字は、この2つだけです。

  • 売却代金 > 帳簿価額 → 固定資産売却益
  • 売却代金 < 帳簿価額 → 固定資産売却損
  • 売却代金 = 帳簿価額 → 売却損益は出ない
具体例でイメージしてみよう

たとえば、いまの価値(帳簿価額)が「400,000円」のオーブンを売るとします。

  • 450,000円で売れたら? 400,000円の価値のものを450,000円で売れたので、50,000円の得(固定資産売却益)です。
  • 380,000円でしか売れなかったら? 400,000円の価値のものなのに380,000円しか手に入らなかったので、20,000円の損(固定資産売却損)です。

このように整理すると、「なんだ、結局はいまの価値より高く売れたか安く売れたかを見ればいいだけか!」とイメージが湧きやすくなります。

いまの価値より高く売れたか、安く売れたかだけ!

帳簿価額の意味と、売却損益の計算方法はスッキリ整理できましたか?

「買った時の値段(取得原価)」に引っ張られず、必ず「いまの価値(帳簿価額)」を自分で計算して引き算の土俵に上げるのが、固定資産の売却問題を解く最大のコツです。このシンプルな比較の仕組みさえわかっていれば、この後の複雑な売却仕訳もスラスラとパズルを解くように組み立てられますよ!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。