Step 0-2:商品売買の考え方と三分法
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もう一つの前提ルールです。
商品の売買を帳簿に記録(記帳)するやり方には、実は世の中にいくつか種類があります。しかし、簿記3級で学ぶのは「三分法(さんぶんぽう)」という記帳方法だけです。
これから学んでいく仕訳の型は、すべてこの「三分法」というルールに沿ってやっていくので、「そういうルールなんだな」とここで腹に落としてしまうのが一番の近道です。
では、その三分法とは一体どんなルールなのでしょうか?
名前の通り、商品売買を「仕入(費用)」「売上(収益)」「繰越商品(資産)」という3つの勘定科目を使って記録していくやり方なのですが……。実はこの記録方法には、初学者が必ずといっていいほど戸惑う“強烈なクセ”があります。
少し想像してみてください。
商品を仕入れて、お店の棚に並べました。これって、まだ売れていない以上は、お店の大事な「財産(資産)」ですよね?しかし三分法では、仕入れた瞬間にそれを「仕入(費用)」として記録してしまいます。
「えっ? まだ売れていない商品なのに、なんで資産じゃなくて費用にしちゃうの?」
そう。これこそが、三分法の特徴的な記録方法の「クセ」なのです。仕訳を丸暗記する前に、なぜそんなクセのある三分法が認められているのか、その「ストーリー」を知っておきましょう。
なぜそんな変なことをするのでしょうか。想像してみてください。スーパーで毎日何千個という商品が売れるたびに、「あ、ガムが1個売れたから、資産を100円減らして費用にして…」といちいち帳簿をつけていたら、経理の人は倒れてしまいます。
だから、三分法は「超・面倒くさがりな仕組み」を採用しました。
商品を買ったら、まだ売れるかどうかわからなくても、いったん全部『仕入(費用)』の箱に放り込む!
商品が売れたら、全部『売上(収益)』の箱に入れる!
日常(期中)の帳簿は、この「仕入」と「売上」の2つだけで回します。とてもシンプルでラクチンですよね。「仕入」「売上」「繰越商品」の3つを使うから、三分法。
期中は「とりあえず全部、費用!」で乗り切りましたが、1年の最後である「決算日」に問題が起きます。金庫や倉庫を数えてみると、どうしても「売れ残った商品(在庫)」があるのです。
簿記には「今年の売上に貢献した分だけを、今年の費用にしてね(費用収益対応の原則)」という絶対のルールがあります。
しかし今の帳簿は、「とりあえず全部、仕入」にしてしまったせいで、売れ残っている商品の分まで、今年の費用に混ざってしまっている状態です。このままでは、費用が多すぎて、今年の利益が少なくなってしまいます。
ここで、三分法の3つ目の勘定科目である「繰越商品(資産)」が登場します。
決算の日に、間違って費用に混ざっている「売れ残り」を、「仕入(費用)」の箱から引っ張り出します。そして、本来の姿である「繰越商品(資産)」の箱に移し替え、来年に持ち越してあげるのです。
ラクをするために、買ったら全部「仕入(費用)」にする。
倉庫を調べて、売れ残った分だけを費用から除外し、「繰越商品(資産)」として次へ繰り越す。
今年の費用(仕入)の箱には、「本当に売れた商品の分」だけが残り、正しい利益が計算できる。
三分法とは、「日々の記帳はズボラに(全部仕入!)、決算でビシッと完璧にリカバリーする(在庫を救出!)」というダイナミックな仕組みのことです。
「仕入」「売上」「繰越商品」の3つを使うから、三分法。
このストーリーさえ分かっていれば、「なぜ商品を仕入れた時に『仕入』という費用にするのか?」が腹に落ち、これからの仕訳が理解しやすくなります。