簿記3級 固定資産・減価償却

【決算整理】減価償却とは?買った年に全額費用にしてはいけない理由と仕組み|簿記3級

「10万円のレジを買ってお金を払ったのに、なぜ全額を今年の費用にしてはいけないの?」そんな初学者の最大の疑問をスッキリ解決!買った年に一気に費用にすると、会社の成績(利益)がデタラメになってしまいます。費用を数年に分けて計上する「減価償却」の本当の目的を、わかりやすいストーリーで解説します。

先に結論

簿記3級の決算整理で、多くの人がつまずく「減価償却(げんかしょうきゃく)」。

結論から言うと、減価償却とは「固定資産(建物や備品など)の購入代金を、使っていく数年間にわたって少しずつ『費用』に振り分けていく仕組み」のことです。

なぜこんな面倒なことをするのでしょうか? それは、買った年に一気に全額を費用にしてしまうと、「買った年だけが大赤字」に見え、「翌年以降は費用ゼロで大儲けしている」ように見えてしまい、会社の正しい成績(利益)が測れなくなるからです。

「固定資産は、使った年に、使った分だけを費用にする」。 売上と、それを支えた道具の費用を正しく対応させることが、減価償却の最大の目的です。

なぜ間違えるのか

初学者が減価償却の単元でつまずき、丸暗記に走ってしまう原因は主に以下の3つです。

1. 「お金を払った=今年の費用」という日常生活の感覚が抜けない

日常生活では「10万円払ったから、今月の出費は10万円」と考えますよね。しかし、簿記では「お金を払った事実」よりも「それが今年の売上に貢献したか?」を重視します。この切り替えができていないと、減価償却の必要性が理解できません。

2. 「価値が減る」ことを物理的な消耗だと勘違いする

「減価償却=モノが古くなって壊れていくこと」だとイメージしていませんか?もちろんそれも理由の一つですが、簿記における本当の意味は「購入代金という巨大な資産を、毎年の費用という箱に少しずつ移し替えていく『計算上の手続き』」のことです。

3. 目的を知らずに計算式だけを覚えようとする

「取得原価÷耐用年数」といった公式だけを丸暗記すると、期中に購入した時の「月割り計算」が出た途端にパニックになります。「自分が使った期間の分だけをピッタリ費用にする」という大前提(サブスクのような考え方)を知っておく必要があります。

減価償却を教科書の流れで解説

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、減価償却を行わないとどれほど「ヤバいこと」になるのか、10万円のレジのストーリーで順番に解説していきます。

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導入(フック & Why)
🏪 ストーリー:あなたの店のレジが“少しずつ減る”

あなたが小さなお店を経営していて、会計用のレジ(備品)を 100,000円 で買ったとします。

このレジは、買ったその日だけ使って終わりの使い捨てではありません。これから何年にもわたって毎日お店で働き、売上を生み出し続けてくれる大切な“相棒(売上を生む道具)”です。

さて、ここで少し想像してみてください。

10万円のレジを現金で買った日、あなたはお財布から10万円を支払いました。

人間の感覚だと、「今日、10万円の重い『費用(出費)』がかかったなぁ」と、その日のうちに全額をマイナスとして処理したくなりますよね。

でも、もしその感覚のまま、買った年(1年目)の帳簿に10万円すべてを「費用」として記録してしまったら、一体どうなるでしょうか?

買った年(1年目)

まだ使い始めたばかりなのに、10万円分の出費がズドンと重くのしかかり、今年の利益がガクンと小さく(大赤字に)見えてしまいます。

2年目以降

レジはその後も毎日お店でがんばって売上を出してくれているのに、帳簿上のレジの費用はもうゼロです。そのため、利益がめちゃくちゃ大きく(実力以上に大儲けしているように)見えすぎてしまいます。

これでは、その年ごとの正しい経営成績(どれくらい効率よく稼げたか)がガタガタになってしまい、自分でも本当に商売がうまくいっているのかどうか分からなくなってしまいます。

💡 だから「減価償却(げんかしょうきゃく)」が必要!

減価償却を一言でいうと、「固定資産は、使った年に、使った分だけを費用にする」という仕組みです。

買ったタイミングだけで利益が大きくぶれないように、毎年の売上と、それを支えてくれた道具の費用を公平にペア(対応)にするための、とても優しい知恵なのです。

🧐 でも待って、「使った分」ってどうやって測るの?

ここで誰もが「レジがどれくらい減ったかなんて、目に見えないのにどうやって計算するの?」と疑問に思いますよね。

実は、簿記の世界では「今年はたくさんボタンを押したから多めに減らそう」といった細かいことはしません。そんなことをしたら、人によって計算がバラバラになってしまいます。

そこで、「このレジはこれから5年使う予定だから、毎年きれいに5等分して、同じ金額ずつ価値が減っていくことにしよう!」と、あらかじめシンプルな定規(ルール)を決めて計算します。

10万円を5年で割るから、1年あたり 20,000円 ずつ。

100,000円 ÷ 5年 = 20,000円

この「毎年同じ金額ずつ減らす」という計算方法を、のちほど詳しく学ぶ定額法と呼びます。

さらに、「もし年の途中の7月にレジを買ったらどうするの?」という問題も出てきます。7月に買ったなら、最初の年は12ヶ月のうち「7月から12月までの6ヶ月間」しか使っていませんよね。
丸1年フルに使っていないのに、他の年と同じように「一年分の20,000円」まるごと費用にするのは、どう考えても不公平です。

だから、最初の年だけは、使った月数の分だけをきっちり計算(月割計算)してあげます。
今回だと6ヶ月しか使っていないので、最初の年の費用は以下の内容になります。

20,000円 × 6ヶ月/12ヶ月 = 10,000円

このように、減価償却の計算はまったく難しく考える必要はありません。要するに、

① まず「その資産を1年間使ったら、いくら分を費用にするのが公平か」を、使う予定の年数で割って決める。

② あとは「今年は何か月使ったか」を数えて、その分だけ費用にする。

たったこれだけです。

まるでスマホの料金や月額のサブスクのように、「自分たちが使った期間の分だけをピッタリ費用にする」という、誰にでも納得できる理にかなった計算ルールなのです。

減価償却とは「売上」と「費用」を公平にペアにする仕組み!

減価償却を行う理由と、その全体像はイメージできましたか?

「買った時に全額を費用にしてはいけない。使った年に、使った分(期間)だけを費用にする」。 この簿記の大原則(費用収益対応の原則といいます)さえ頭に入っていれば、これからの学習で出てくる細かな計算式や仕訳のルールも、「ああ、なるほど、公平に費用を分けるためにこんな計算をしているんだな」と、すべてが繋がって腹に落ちるようになりますよ!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。