減価償却を教科書の流れで解説
ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、減価償却を行わないとどれほど「ヤバいこと」になるのか、10万円のレジのストーリーで順番に解説していきます。
導入(フック & Why)
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あなたが小さなお店を経営していて、会計用のレジ(備品)を 100,000円 で買ったとします。
このレジは、買ったその日だけ使って終わりの使い捨てではありません。これから何年にもわたって毎日お店で働き、売上を生み出し続けてくれる大切な“相棒(売上を生む道具)”です。
さて、ここで少し想像してみてください。
10万円のレジを現金で買った日、あなたはお財布から10万円を支払いました。
人間の感覚だと、「今日、10万円の重い『費用(出費)』がかかったなぁ」と、その日のうちに全額をマイナスとして処理したくなりますよね。
でも、もしその感覚のまま、買った年(1年目)の帳簿に10万円すべてを「費用」として記録してしまったら、一体どうなるでしょうか?
まだ使い始めたばかりなのに、10万円分の出費がズドンと重くのしかかり、今年の利益がガクンと小さく(大赤字に)見えてしまいます。
レジはその後も毎日お店でがんばって売上を出してくれているのに、帳簿上のレジの費用はもうゼロです。そのため、利益がめちゃくちゃ大きく(実力以上に大儲けしているように)見えすぎてしまいます。
これでは、その年ごとの正しい経営成績(どれくらい効率よく稼げたか)がガタガタになってしまい、自分でも本当に商売がうまくいっているのかどうか分からなくなってしまいます。
減価償却を一言でいうと、「固定資産は、使った年に、使った分だけを費用にする」という仕組みです。
買ったタイミングだけで利益が大きくぶれないように、毎年の売上と、それを支えてくれた道具の費用を公平にペア(対応)にするための、とても優しい知恵なのです。
ここで誰もが「レジがどれくらい減ったかなんて、目に見えないのにどうやって計算するの?」と疑問に思いますよね。
実は、簿記の世界では「今年はたくさんボタンを押したから多めに減らそう」といった細かいことはしません。そんなことをしたら、人によって計算がバラバラになってしまいます。
そこで、「このレジはこれから5年使う予定だから、毎年きれいに5等分して、同じ金額ずつ価値が減っていくことにしよう!」と、あらかじめシンプルな定規(ルール)を決めて計算します。
10万円を5年で割るから、1年あたり 20,000円 ずつ。
この「毎年同じ金額ずつ減らす」という計算方法を、のちほど詳しく学ぶ定額法と呼びます。
さらに、「もし年の途中の7月にレジを買ったらどうするの?」という問題も出てきます。7月に買ったなら、最初の年は12ヶ月のうち「7月から12月までの6ヶ月間」しか使っていませんよね。
丸1年フルに使っていないのに、他の年と同じように「一年分の20,000円」まるごと費用にするのは、どう考えても不公平です。
だから、最初の年だけは、使った月数の分だけをきっちり計算(月割計算)してあげます。
今回だと6ヶ月しか使っていないので、最初の年の費用は以下の内容になります。
このように、減価償却の計算はまったく難しく考える必要はありません。要するに、
① まず「その資産を1年間使ったら、いくら分を費用にするのが公平か」を、使う予定の年数で割って決める。
② あとは「今年は何か月使ったか」を数えて、その分だけ費用にする。
たったこれだけです。
まるでスマホの料金や月額のサブスクのように、「自分たちが使った期間の分だけをピッタリ費用にする」という、誰にでも納得できる理にかなった計算ルールなのです。