簿記3級 固定資産・減価償却

【固定資産】期中に売却した時の仕訳はどう解く?月割り計算と合体手順|簿記3級

期中売却の長い仕訳を丸暗記しようとしていませんか?この仕訳の正体は「手放す日までの減価償却」と「いつもの売却仕訳」をガッチャンコして1つにまとめただけです。合体させた時に、なぜ減価償却累計額が「前期末の古い数字」に戻るのか、その美しい理屈と解き方のコツをスッキリ解説します!

先に結論

1年の区切りである「決算日」ではなく、営業している年の途中(期中)で固定資産を手放すことを「期中売却」と呼びます。

結論から言うと、期中に売却した時は「いきなり売却の仕訳に入ってはいけない」というのが絶対のルールです。必ず以下の「2ステップ(考える順番)」を守って進めます。

  • ステップ1(減価償却):今年の初めから「売却した日」まで使って減った分の価値を、月割りで計算して費用(減価償却費)にする。
  • ステップ2(売却):価値を最新の状態(いまの帳簿価額)にアップデートしてから、売却の仕訳を切る。

本試験ではこの2つの仕訳を「1本に合体(ガッチャンコ)させて解答する」のが一般的です。一見すると勘定科目が多すぎて難しく見えますが、この2ステップに分解すれば誰でも確実に解けるようになります。

なぜ間違えるのか

初学者が期中売却の問題で混乱し、テストで失点してしまう原因は主に以下の3つです。

1. いきなり「前期末のデータ」のまま売却の計算をしてしまう

ここが最大の落とし穴です。前回決算を行ってから今日売るまでの数ヶ月間、その固定資産はしっかりお店のために働いて価値が減っているはずです。この「当期に使った分の価値の減少」を無視して、古いデータのまま売却損益を出そうとすると、計算がすべて狂ってしまいます。

2. 月割り計算の「月数」を数え間違える

「当期の4月1日から6月30日まで使用して売却した」という問題文のとき、指折り数えずに「6-4=2ヶ月」と暗算して間違えるミスが非常に多いです。4月、5月、6月まるまる使っているので正解は「3ヶ月分」です。数ヶ月分の価値の減少(月割り計算)は慎重に行う必要があります。

3. 合体仕訳で「減価償却累計額」の金額が合わなくなる

ステップ1とステップ2の仕訳を合体させた時、「減価償却累計額」の金額をいくらにすればいいのか迷ってパニックになるケースです。実は合体させると、相殺されて「売る前の、前期末時点の古い累計額」がそのまま残るという美しい理屈があります。これを知らないと丸暗記に頼ってしまいます。

固定資産の期中売却を教科書の流れで解説

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って、期中売却の考え方と、合体仕訳をパズルのように組み立てる手順を図解で順番に解説していきます。

6 期中で売却
🍞 期中売却のストーリー

オーブンを売る日は、ちょうど決算日(1年の区切りの日)とは限りません。むしろ、営業している年の途中(期中)で売ることのほうが多いです。

ここで絶対にやってはいけないのが、いきなり売却の仕訳に入ることです。

なんで?:いきなり売却の計算をしてはいけない理由

最後に決算を行ってから、売却する今日までの数ヶ月間、オーブンは毎日がんばってパンを焼いてお店の売上に貢献してくれましたよね。
ということは、「使った分だけ、さらに価値が減っているはず」です。

前期末のデータのまま計算してしまうと、「今日時点の本当の価値」とズレてしまいます。だから、売る直前に「今年使った分の減価償却費」をきっちり計算して、今日現在の最新の価値(帳簿価額)にアップデートしてあげる必要があるのです。

そのため、期中売却は必ず次の「考える順番(2ステップ)」を守って進めます。

考える順番
  1. 減価償却の仕訳を切る。
  2. 売却の仕訳を切る。
問題

取得原価120,000円、年間減価償却費24,000円の備品がある。前期末の減価償却累計額は48,000円であった。
この備品を当期4月1日から6月30日まで使用し、6月30日に65,000円で現金売却した。間接法で仕訳しなさい。

解答
減価償却の仕訳
6,000
6,000
売却の仕訳
54,000
65,000
1,000
120,000
仕上げ:2つの仕訳を1つに合体させよう

ここまでの「減価償却の仕訳」「売却の仕訳」という2つの仕訳は、同じ日(6月30日)に行う処理なので、ガッチャンコと1本にまとめて書くのが試験での一般的な解答になります。

合体させるときは、「減価償却累計額」の相殺(引き算)に注目します。

「1」の仕訳で、右側(貸方)に6,000円記帳した。
「2」の仕訳で、左側(借方)に54,000円記帳した。

左右で同じ科目が登場したときは引き算をします。54,000円から6,000円を引くと、差し引き48,000円が左側に残ります。

この「48,000円」という数字、どこかで見覚えはありませんか?そう、「売る前の、前期末時点の累計額」そのものです!

6,000
48,000
65,000
1,000
120,000

このように、2本の仕訳をまとめて1本の仕訳として表示することもあります
ただし、考え方としては、まず売却日までの減価償却を計上する、そのあとで売却の仕訳をする、という2段階で追うほうが分かりやすくて安全です。

解説
ステップ1:減価償却の仕訳を切る

4月1日から6月30日までの3ヶ月間、オーブンを働かせました。1年で24,000円価値が減るオーブンなので、3ヶ月分を日割り(月割り)で計算します。

24,000円 × 3ヶ月/12ヶ月 = 6,000円(当期の減価償却費)
売却前に、3ヶ月分の減価償却を計上する仕訳
6,000
6,000

これで、減価償却累計額に6,000円が追加され、減価償却累計額は48,000+6,000=54,000円となりました。

ステップ2:売却の仕訳をする 確定した最新の価値を使って、売却をする仕訳
54,000
65,000
1,000
120,000

今までと同様に売却の仕訳を切ります。
このときに、減価償却累計額のマイナスする額は、48,000円ではなく、54,000円を使用してください。

コラム:売却の仕訳

ちなみに今までは、先に帳簿価額を計算して、売却損益を出してから仕訳を切ってきました。

実は、わざわざ先に「いまの価値(帳簿価額)」を計算しなくても、分かっている数字からパズルのように仕訳を組み立てていくだけで、自然と「損なのか益なのか」「金額はいくらなのか」を導き出すことができます。

簿記ならではの「貸借差額(たいしゃくさがく)」を使った、とても便利なテクニックを見てみましょう。

まずは、すでに分かっている数字をどんどん仕訳に埋めていきます。

本体を消す: 備品を手放したので、右側(貸方)に「備品 120,000」と取得原価のまま書きます。

累計額を消す: セットだったマイナス記録を左側(借方)に書いて消します。ここで使うのは前期末の48,000円ではなく、当期の6,000円を足した最新の54,000円です。

お金をもらう: 現金が65,000円増えたので、左側(借方)に「現金 65,000」と書きます。

54,000
65,000
120,000

ここまで埋めたら、左右の合計金額を見比べてみましょう。

右側(貸方)の合計:120,000円

左側(借方)の合計:119,000円(54,000円 + 65,000円)

左右のバランスを一致させるためには、左側(借方)にあと1,000円足りませんよね。

この「足りない差額」を埋めるように、損益の勘定科目を書き込みます。

左側(借方)が足りない → 費用の発生なので「固定資産売却損」

右側(貸方)が足りない → 収益の発生なので「固定資産売却益」

今回は左側が1,000円足りないので、左側に「固定資産売却損 1,000」と書き込めば仕訳の完成です!

54,000
65,000
1,000
120,000
裏側の理屈も確認しておこう

差額でポンと答えを出しましたが、この仕訳の裏側ではちゃんと理屈が通っています。

本日における最新の帳簿価額(現在の価値)は、「取得原価 120,000円 - 減価償却累計額 54,000円 = 66,000円」だとわかりますよね。

「66,000円の価値があるものを、65,000円で売ったから1,000円損をした」。先ほど出した貸借差額の答えと、理屈がぴったり一致していることが確認できます。

「2ステップ」で解けば、巨大な仕訳も怖くない!

期中売却の考え方と、合体仕訳の仕組みはスッキリ整理できましたか?

勘定科目が5つも並ぶ巨大な仕訳を見るとパニックになりそうですが、その正体は「当期の減価償却」と「通常の売却」を同時に書いているだけです。特に、合体した時の減価償却累計額が「問題文に書いてある古い数字(前期末の残高)のまま」になるという理屈を知っていれば、パズルのようにサクサクと数字を埋めていくことができますよ!

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この続きは無料プレビューで確認できます

この記事では、effbokiの無料プレビューから「固定資産の期中売却」を記事向けに整理しました。無料プレビューでは、わざわざ2ステップ踏まなくても、分かっている数字からパズルのように一瞬で仕訳を組み立てる「貸借差額」の便利なテクニックも合わせて確認できます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。