簿記3級 現金・預金・小切手

簿記の現金に含まれるものは?小切手・切手の見分け方

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

簿記の「現金」は、紙幣・硬貨と、お金の代わりになる「通貨代用証券」です。切手や印紙は、金庫に入っていても現金には含めません。

では、同じ紙の証券でも、なぜ小切手は現金で、切手は現金ではないのでしょうか。まずは、それぞれが何を受け取るためのものなのかを見てみましょう。

現金に含めるもの

紙幣・硬貨は、そのまま支払いに使えるお金です。それに加えて、銀行や郵便局などでお金と引き換えられる次の証券も、「現金」として扱います。

ものどんなものか・現金として扱う理由
紙幣・硬貨手元にあるお札や小銭。そのまま支払いに使える通貨そのものです。
他人振出しの小切手取引先など、自社以外の人や会社が振り出した小切手。銀行に持っていくとお金を受け取れるため、現金に含めます。
郵便為替証書現金を直接送る代わりに使う証書。受け取った人が郵便局などでお金と引き換えられるため、現金に含めます。
送金小切手送金のために銀行が発行する小切手。受け取った人が銀行でお金を受け取れるため、現金に含めます。

このように、お金の代わりとして受け取れる証券を「通貨代用証券」といいます。まだ紙幣や硬貨に換えていなくても、受け取った時点で現金として記録します。

現金と間違えやすいもの・含めない理由

一方、切手や印紙は、決まった料金や税金の支払いに使うものです。郵便為替証書のように、お金と引き換えるための証券ではありません。また、小切手でも、自社が振り出したものが戻ってきた場合は扱いが変わります。

間違えやすいもの現金に含めない理由使う勘定科目
郵便切手郵便料金を支払うためのもの。お金の受け取りではなく、郵便サービスの利用に使います。通信費
期末の未使用分は貯蔵品
収入印紙印紙税などを納めるためのもの。税金などを支払う用途が決まっているため、通貨代用証券には含めません。租税公課
期末の未使用分は貯蔵品
自己振出しの小切手
(自社に戻ってきたもの)
自社の当座預金から支払うために渡した小切手です。戻ってきたときは、振出時に減らした当座預金を元に戻すため、現金の受け取りにはしません。当座預金
(増加)

切手や印紙を購入時に費用として記録していた場合、期末に未使用で残っている分は「貯蔵品」へ振り替えます。まだ使える価値が残っていても、現金とは別の資産として扱う、ということです。

迷ったら、切手や証書は「お金を受け取るものか、決まった用途に使うものか」、小切手は「誰が振り出したものか」を確認しましょう。

詳しい解説

現金の範囲と仕訳

3
各論:1) 現金
▼
現金(資産)
受取額
支払額
現金残高

💡 現金の基本ルール:増えたら左!減ったら右!

現金は会社の財産、つまり「資産」のグループです。
そのため、手元のお金が増えた時は「借方(左)」に、支払って減った時は「貸方(右)」に記録するという絶対ルールがあります。まずはこの感覚を掴みましょう!

【仕訳の基本パターン】

📈 現金が増えた時(例:商品を売って、現金100円を受け取った)

100
100

📉 現金が減った時(例:現金100円を支払って、商品を仕入れた)

100
100
【現金とは何を指す?】

簿記3級でいう「現金」は、ただの“お札と小銭”だけではありません。
「現金=通貨(紙幣・硬貨) + 通貨代用証券(すぐ換金できるもの)」です。

① 通貨(ふつうにイメージする現金)

手元にあるお金(紙幣・硬貨)。財布・金庫の中身。

② 通貨代用証券(ほぼ現金と同じ働きをするもの)

“受け取ったら、すぐ現金化できる(すぐ使える)”ため、試験上は現金と同じグループに入れて扱うもの。

💡 【通貨代用証券の代表例】

  • 他人振り出し小切手 (=他人(取引先)が振り出した小切手)
    銀行に行けばすぐに現金を支払ってもらえる(換金できる)からです。

  • 郵便為替証書
    郵便局に持っていけば、現金と引き換えてもらえるからです。(現金を直接送る代わりに使う、現金引換券のようなイメージです)。

  • 送金小切手
    銀行が発行する、支払いを確実にするための小切手です。これも銀行に持っていけばすぐ現金化できるため、現金として扱います。

簿記の「現金」は、“見た目がお金っぽいか”ではなく、「すぐに換金して使えるか?」という性質で決まります。

【現金と間違えやすいもの(「現金」勘定では処理しない)】

「現金っぽいのに、現金勘定で処理してはいけないもの」の代表をまずは三つ押さえましょう。
試験の引っかけポイントです!

  • ・収入印紙(しゅうにゅういんし)タップで開く

    そもそも何?:国に「税金(印紙税)」を払うためのシールです。領収書や契約書にこのシールを貼ってハンコを押すことで「税金を納めましたよ」という証明になります。

    仕訳のルール(状態によって名前が変わる!):

    使った時 → 税金を払うためのものなので、使った時は「租税公課(そぜいこうか)」という費用の勘定科目で処理します。(※詳しくは後の単元で勉強します!)

    残っている時(未使用) → 資産になる!(勘定科目:貯蔵品)

    お札と一緒に金庫にしまってあっても、お金ではないので絶対に「現金」に含めてはいけません。また、まだ使っていないから費用にもできません。「今はまだ使っていないけど、後で使うためにストックしている価値のあるモノ」として、現金とはキッチリ分けて資産(貯蔵品)で記録します。

  • ・郵便切手(ゆうびんきって)タップで開く

    そもそも何?:郵便局に「手紙や荷物を運んでね」というサービス料金を前払いした証明のシールです。

    仕訳のルール(状態によって名前が変わる!):

    使った時 → 連絡のやり取りにかかるコストなので、使った時は「通信費(つうしんひ)」という費用の勘定科目で処理します。(※こちらも後で勉強します!)

    残っている時(未使用) → 資産になる!(勘定科目:貯蔵品)

    収入印紙と同じく、試験では「金庫に未使用の切手がある」という引っかけがよく出ますが、絶対に「現金」で処理してはいけません。未使用で金庫に眠っている時は、資産(貯蔵品)として大切に別枠で記録をつけます。

  • ・自己振出し小切手(自社が振り出した小切手)タップで開く

    そもそも何?:自分が「うちの口座からお金を下ろしていいよ」とサインして、相手に渡した小切手のことです。

    💡【超重要】他人の小切手と自分の小切手の決定的な違い

    小切手は「誰が書いたか」で全く意味が変わります。ここが最大の落とし穴です!

    ・他人が書いた小切手(他人振出し小切手)をもらった → 銀行でお金をもらえる「現金引換券」です。→ 「現金(資産)」として処理します。

    ・自分が書いた小切手(自己振出し小切手)が戻ってきた → ただの「自分が書いたメモ書き」が返ってきただけなので、「現金」ではありません。当座預金(資産)で処理します

    なぜ「現金」ではなく、どう処理するの?

    そもそも自分が小切手を書いて相手に渡した時、「近いうちに口座(当座預金)からお金が引き落とされる」と考えて、あらかじめ「当座預金の減少」として記録するルールになっています。(※当座預金については、後の単元で詳しく学びます!)

    そのため、渡した小切手が戻ってきた(支払いがキャンセルされた)時は、「現金をもらった!」と処理するのではなく、過去に減らした分を取り消すために「当座預金」を元に戻す(増やす)処理をします。

なぜ「現金」じゃないの?

簿記の現金ルール(すぐ換金して誰にでも使えるか?)を思い出してください。
切手や印紙は、郵便局や国といった「特定の相手・特定のサービス」にしか使えません。「コンビニでお弁当を買う時に、切手や印紙で支払うことはできない」ですよね? だから、どんなに金券っぽくて金庫に入っていても、現金ではないのです。

例題
問題

次の資料から、簿記3級で「現金」勘定として扱う金額を答えなさい。

項目 金額 ヒント
金庫にある紙幣・硬貨 28,000円 手元にあるお金
得意先が振り出した小切手 45,000円 他人振出し小切手
郵便為替証書 12,000円 すぐ換金できる証書
収入印紙 5,000円 現金っぽいが、支払い用の物品
郵便切手 3,000円 切手というモノ
以前に自社が振り出した小切手が戻ってきたもの 20,000円 自己振出し小切手
解答

現金の額:85,000円

28,000円 + 45,000円 + 12,000円 = 85,000円

解説

現金に含めるもの

  • 金庫にある紙幣・硬貨は、手元にあるお金なので現金に含めます。
  • 他人振出し小切手と郵便為替証書は、すぐ換金できる通貨代用証券なので現金に含めます。

現金に含めないもの

  • 収入印紙と郵便切手は、見た目は金券に近くても「使うために保管している物品」なので現金には含めません。
  • 自己振出し小切手は、自社が過去に支払いのために振り出したものです。戻ってきても現金が増えたわけではなく、当座預金の支払取消として考えます。

💡 【まとめ:現金の定義(試験用に一言)】

現金 = 通貨(紙幣・硬貨) + 通貨代用証券(すぐ換金できるもの)

よくある質問

他人が振り出した小切手を、なぜ現金として扱うのですか?

銀行でお金と引き換えられる通貨代用証券だからです。まだ紙幣や硬貨に換えていなくても、受け取った時点で現金として記録します。

切手や収入印紙は、金庫に入っていれば現金ですか?

保管場所では決まりません。切手や収入印紙は通貨代用証券ではないため、簿記の現金には含めません。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。