簿記3級 現金・預金・小切手

小切手の仕訳|現金・当座預金のどちら?振出しと受取りを比較

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

小切手は、自分が振り出して支払うなら「当座預金」、他人が振り出したものを受け取るなら「現金」で処理します。

自分の小切手は、自分の当座預金から支払ってもらうためのものです。そのため、銀行で実際に引き落とされる日を待たず、振り出した時点で当座預金を減らします。他人の小切手は換金できる証券なので、受け取った側では現金に含めます。

小切手の場面別の使い分け
場面使う科目・向きその理由
自分が振り出して支払う当座預金を貸方に記録自分の預金から支払うため。
他人振出しの小切手を受け取る現金を借方に記録換金できる通貨代用証券を受け取るため。
受取りと同時に当座預金へ預け入れる当座預金を借方に記録受取りと預入れをまとめ、預金の増加を記録するため。
自分が振り出した小切手が戻ってくる当座預金を借方に記録振出時の当座預金の減少を取り消すため。

もう片方の科目は、何の代金かで決まります。買掛金の支払いなら買掛金を減らし、売掛金の回収なら売掛金を減らします。「小切手の扱い」と「元の取引」を組み合わせて仕訳を作りましょう。

詳しい解説

小切手の仕訳

7
各論:5) 当座預金
▼
当座預金(資産)
預け入れ額/振り込み額
引出し額/引き落とし額
預金残高

💡 当座預金の基本ルール:増えたら左!減ったら右!

当座預金も銀行にある会社の財産なので、もちろん「資産」のグループです。
そのため、お金を預け入れた時は「借方(左)」に、小切手を振り出して支払った時は「貸方(右)」に記録するという絶対ルールがあります。まずはこの感覚を掴みましょう!

【仕訳の基本パターン】

📈 当座預金が増えた時(例:手元の現金100円を当座預金に預け入れた)

100
100

📉 当座預金が減った時(例:100円の商品を仕入れ、小切手を振り出して支払った)

100
100
【そもそも当座預金・小切手って何?】
当座預金と小切手

当座預金とは

普通預金が「振込・引落のための口座」だとしたら、当座預金は“小切手を使うための専用口座”です。

小切手とは

会社の世界では、何百万円、何千万円というお金が動きます。現金をカバンに入れて持ち歩くのは危険ですよね。そこで、「現金を持ち歩かずに安全に高額を支払う」「支払いの証拠を残す」ために、現金の代わりに「小切手」という紙のチケットに金額を書いて渡すのです。

小切手の仕組み

小切手を使った支払いは、以下のような流れで進みます。

1 振出

当社 → 取引先

小切手に金額を書いて渡す

2 提示

取引先 → 銀行

受け取った小切手を銀行へ持っていく

3 引落し

銀行 → 当社の当座預金

当座預金からお金が引き落とされる

  1. 振出(ふりだし):小切手に金額を書いて、取引先に渡す。
  2. 提示(ていじ):受け取った取引先が、銀行に小切手を持っていく。
  3. 引落し(ひきおとし):銀行が、当社の当座預金からお金を引き落として取引先に払う。
仕訳のタイミング

実際にお金が引き落とされるのは、受け取った相手が小切手を銀行へ持っていった時です。
しかし、「相手がいつ銀行に行くか」なんて、当社には分かりませんよね。

そこで簿記では、細かいタイムラグは気にせず、
「小切手を相手に渡した(振り出した)瞬間に、当座預金からお金が減った」と見なして、すぐに仕訳を切るルールになっています。

💡 結論:覚えるのはこれだけ!

「小切手を振り出した = すぐに当座預金の減少(右へ)」

※試験問題で「小切手で支払った」と言われたら、「当座預金が減った」と全く同じ意味だと脳内変換して仕訳をしましょう!

小切手を使用した取引と仕訳パターン

⚠️ 【超重要】小切手の仕訳は「支払い1つ」と「受取3つ」で整理する!

小切手を使った取引で迷ったら、まずは「自分が支払う側か、受け取る側か」を考えましょう。
実は、自分が支払う時のルールはたった1つだけでとても簡単です。要注意なのは「受け取る時」の3パターン(原則と例外)です。一つずつ順番に整理していきましょう!

📤 1. 小切手で「支払う」時(パターンは1つだけ!)

どんな状況?: 商品の代金などを支払うために、自社の小切手に金額を書いて相手に渡した(振り出した)。

仕訳
××
××

なぜこの処理?: 自分で小切手を振り出した時は、小切手を渡した瞬間に「当座預金からお金が減った」と見なすルールだからです。支払った相手科目を借方、当座預金の減少を貸方に書きます。

(例:商品を1,000円で仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った)
1,000
1,000
📥 2. 小切手を「受け取った」時(3つの判断ルート)

小切手を受け取った時の処理は、「誰が書いた小切手か」と「その後どうしたか」によって、1つの原則と2つの例外に分かれます。現金パートの知識を思い出しながら整理しましょう。

【原則】他人(取引先)の小切手を受け取った ➔ 勘定科目:現金

どんな状況?: 取引先が振り出した小切手を受け取り、そのまま金庫にしまった。

仕訳
××
××

なぜこの処理?: 他人が書いた小切手は、銀行へ行けばすぐに換金できる「通貨代用証券(簿記上では現金と扱うもの)」だからです。受け取った小切手を現金の増加として借方に書きます。

(例:商品を500円で売り、相手が振り出した小切手を受け取った)
500
500
【例外①】受け取って「ただちに当座預金とした」 ➔ 勘定科目:当座預金

どんな状況?: 他人の小切手を受け取ったその足で、すぐに銀行へ行って当座預金に預け入れた。

仕訳
××
××

なぜこの処理?: 本来は「①現金をもらう ➔ ②銀行へ預ける」という2段階の仕訳が必要ですが、これを1つにまとめる(ショートカットする)ルールだからです。現金をいったん通さず、最初から当座預金の増加として借方に書きます。

考え方
受け取り:
××
××
預入れ:
××
××

同時に処理すると、現金が相殺されるため、最終形は「当座預金 ×× / 相手科目 ××」になります。

(例:商品を500円で売り、相手が振り出した小切手を受け取って直ちに当座預金とした)
500
500
【例外②】自分の小切手が戻ってきた ➔ 勘定科目:当座預金の増加(復活)

どんな状況?: 以前、当社が支払いのために振り出した小切手が、返品やキャンセルなどで戻ってきた。

仕訳
××
××

なぜこの処理?: 当社が小切手を振り出した時、すでに「当座預金の減少」として記録しています。それが戻ってきたということは、「引き落とされる予定がなくなった」ということなので、減らしていた当座預金を元に戻す必要があります。戻ってきた小切手を当座預金の増加として借方に書きます。

(例:商品300円を売り上げ、相手先から、以前当社が振り出した小切手を受け取った)
300
300

※自社が以前振り出した小切手が戻ってきたので、現金ではなく当座預金を戻します。

💡 まとめ:小切手を使った取引の「仕訳ナビ」
場面 状況(問題文のキーワード) 仕訳の型
支払い 小切手を振り出した
××
××
受け取り 他人振出し小切手を受け取った
××
××
受け取り 小切手を受け取り「ただちに当座預金とした」
××
××
受け取り 自己振出し小切手が相手から戻ってきた
××
××

よくある質問

小切手の支払いと受取りで、科目が違うのはなぜですか?

自分が振り出す小切手は自分の当座預金から支払うため、当座預金を減らします。他人が振り出した小切手は換金できる証券なので、受け取った側では現金に含めます。

振り出した小切手は、銀行で引き落とされた日に記録しますか?

振り出して支払った時点で当座預金を減らします。実際の引落日まで待つのではなく、その支払いの原因となる買掛金などの科目と組み合わせて仕訳します。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。