簿記3級 固定資産・減価償却

定額法の計算式と月割り|なぜ残存価額を引くのかを解説

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

定額法は、費用にする総額を耐用年数で均等に分け、毎年同じ額を減価償却する方法です。

1年分の減価償却費
=(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数

取得原価のうち、使い終わった後にも残る見込みの価値が「残存価額」です。ここは費用にする対象から外します。その残りを「何年で使うか」を表す耐用年数で割ると、1年分が求められます。

計算する順番と意味
順番計算何を求めるか
① 最後に残す分を引く取得原価 − 残存価額使用期間全体で費用にする総額。
② 年数で割る① ÷ 耐用年数12か月使った場合の減価償却費。
③ 必要なら月割りする② × 当期の使用月数 ÷ 12当期の使用期間に対応する費用。

残存価額がゼロなら、取得原価の全額を耐用年数で割ります。「取得原価の何%」と指定されたら、その残存価額を先に求めます。まず年額、次に使用月数と順に計算し、当期に使っていない期間まで費用に含めないようにしましょう。

詳しい解説

定額法の計算式

6
計算方法:定額法
▼

使った分だけ費用にしていくと言ってきましたが、ではその「毎年の費用」はどう計算するのでしょうか。
減価償却の計算方法には、定額法、利息法、生産高比例法などいくつかあります。
ただし、3級ではまず定額法について学びます。

1まずは式を押さえる
1年分(12か月分)の減価償却費 =
取得原価 処分後に残る価値は差し引きます − 残存価額
耐用年数

定額法は、毎年同じ金額だけを使用したことにする方法です。
つまり、実際の使用量にかかわらず、毎期一定額を費用にしていく考え方です。

用語 意味 問題での書かれ方
取得原価 有形固定資産を取得し、使用するまでにかかった金額(買ってきた金額) 取得原価は○○円
残存価額 耐用年数が経過して処分するときに予想される売却価額(最後に残ると予想される価値) 残存価額は取得原価の○%
残存価額はゼロ
耐用年数 その固定資産が「何年使える予定か」の見込み年数 耐用年数は○年

初学者がつまずきやすいのは、取得原価の全部を費用にするわけではない点です。
残存価額があるなら、その分は「最後に残す」と考えるので、最初から費用にする対象から外します。

2なぜ取得原価から残存価額を引くのか

結論から言うと、「費用にしていいのは、本当に使ってなくなった部分(価値が消えた部分)だけ」だからです。

たとえば、100,000円の立派なレジを買ったとします。
これを5年間使う予定ですが、5年後にボロボロになった状態でも、リサイクルショップに持っていけば20,000円で買い取ってもらえる(価値が残る)見込みだとします。この最後に残る予定の価値が「残存価額」です。

ということは、5年間お店で使い倒して、実際にすり減って消えてしまう価値はいくらでしょうか?
100,000円まるごとではなく、差し引き 80,000円分だけ ですよね。
だから、毎年の費用の計算(割り算)に使うベースも、実際に消えてなくなる「80,000円」だけにしなければいけないのです。

引かないと何が起こるか

もし残存価額を引かずに、100,000円をそのまま5年で割ると、

100,000 ÷ 5 = 20,000円

となり、5年間で 20,000円 × 5年 = 100,000円 を全部費用にすることになります。
でも本当は、最後に20,000円残る見込みでした。
つまり、残るはずの20,000円まで費用にしてしまうので、計算が行き過ぎてしまうのです。
だから先に残存価額を引いて、費用にしてよい部分だけを耐用年数で割ります。

よくある質問

定額法で残存価額を差し引くのはなぜですか?

使い終わった後にも残る見込みの価値を、費用に配分する対象から外すためです。取得原価から残存価額を引いた残りを、耐用年数で均等に分けます。

期中に使い始めた資産も、1年分を減価償却しますか?

1年未満の使用期間なら、年額を求めた後に使用月数に応じて月割りします。問題で示された取得日・使用開始日などの条件を確認します。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。