① 通貨(ふつうにイメージする現金)
手元にあるお金(紙幣・硬貨)。財布・金庫の中身。
お金の置き場所(現金・預金・小口現金)を正しく選び、「資産は増えたら借方/減ったら貸方」の型で仕訳できるようになる。
簿記の5要素はT字勘定の左右で増減が決まります。B/SとP/Lの配置も一緒に確認しましょう。
この単元は、「お金の置き場所(現金・預金・小口現金)を正しく選び、“資産は増えたら借方/減ったら貸方”の型で仕訳できるようになる」ための単元です。
あなたの財布の中身=現金。
銀行口座=普通預金・定期預金。
会社だと、さらに「会社用の決済口座(当座預金)」や、「細かい支払い専用の財布(小口現金)」が登場します。
簿記3級の最初の山は、ここです。
「お金は全部同じじゃないの?」と思うところを、“置き場所(どこにあるお金か)”で分けるのがコツ。
ここが分かると、後の単元(商品売買、債権債務、決算整理)まで一気に楽になります。
| 区分 | パターン名 | よく出る場面(条件の言語化) | 最小仕訳の型(覚える骨格) |
|---|---|---|---|
| 現金 | 現金を受け取った時 | 売上を現金で受取/貸付金回収を現金で受取 など |
現金××
/
相手科目××
|
| 現金を支払った時 | 現金で購入/現金で費用支払 など |
相手科目××
/
現金××
|
|
| 他人振出し小切手を受け取った時 | 売掛金回収などで、取引先振出し小切手を受け取った |
現金××
/
相手科目××
※直ちに当座預金に預けた時は「現金」ではなく「当座預金」で処理 |
|
| 小切手の受け取りと当座預金の預け入れが同時の時 | 小切手を受け取って、ただちに当座預金とした。 |
現金××
/
相手科目××
当座預金××
/
相手科目××
※現金 ×× / 相手科目 ×× ではなく、当座預金で処理する。 ※現金で補充したなら「現金」、当座預金で補充したなら「当座預金」。 考え方
現金 ×× / 相手科目 ××:報告
当座預金 ×× / 現金 ××:補給
同時に処理すると、現金が相殺されるため、最終形は「費用 ×× / 現金等 ××」になります。 |
|
| 小口現金 | 小口現金を前渡ししたとき(設定時) | 経理が小口係に一定額を渡して、小口現金を持たせる |
小口現金××
/
現金××
|
| 小口現金で支払った時 | 小口係が交通費・消耗品などを現金で支払った(領収書を保管) |
仕訳なし
※定額資金前渡制度では、支払都度ではなく報告・補給時にまとめて記帳する。 |
|
| 支払いの報告を受けた時 | 領収書がまとめて提出され、経理が費用内容を確定させた |
費用××
/
小口現金××
※小口現金という財布から費用を支払ったと考える。費用ではないケースもたまにある。 |
|
| 小口現金を補給した時 | 使った分を補給した(補給だけ行う) |
小口現金××
/
現金など××
※現金で補充したなら「現金」、当座預金で補充したなら「当座預金」。 |
|
| 報告と補給が同時の時 | 領収書提出(報告)と同時に、小口現金に補給した。 |
費用××
/
現金など××
※現金で補充したなら「現金」、当座預金で補充したなら「当座預金」。 考え方
費用 ×× / 小口現金 ××:報告
小口現金 ×× / 現金 ××:補給
同時に処理すると、小口現金が相殺されるため、最終形は「費用 ×× / 現金等 ××」になります。 |
|
| 普通預金 | 預け入れた時 | 現金を銀行に預けた/売掛金が振り込まれた |
普通預金××
/
相手科目××
|
| 引き出した時 | 普通預金から引出/引落(家賃・水道光熱費など) |
相手科目××
/
普通預金××
|
|
| 定期預金 | 預け入れた時 | 現金で定期預金に預け入れた |
定期預金××
/
現金××
|
| 引き出した時 | 定期預金から現金で引き出した |
現金××
/
定期預金××
|
|
| 当座預金 | 預け入れた時 | 当座預金に預け入れた |
当座預金××
/
相手科目××
|
| 引き出した時 | 小切手を振り出して支払った(当座預金から支払った) |
相手科目××
/
当座預金××
|
|
| 自己振出しの小切手を受け取った時 | 自社が以前振り出した小切手が未決済で戻ってきた(支払取消) |
当座預金××
/
相手科目××
※例:買掛金など。 |
他人振出し小切手(受取側の目線)
「相手の銀行口座(相手の当座預金)から支払われる約束の紙」
→ 自社の当座預金は動いていないので 当座預金は使わない
→ すぐ換金できるので 現金として受け取る(原則)
自己振出し小切手(自社の目線)
「自社の当座預金から支払うために発行した“支払命令書”」
→ 振り出した瞬間に 当座預金が減る(支払ったのと同じ扱い)
→ 返ってきたら 当座預金の減少を取り消す(当座預金が戻る)
※ちなみに、この自社振出し小切手/他社振出し小切手の話は当座預金のところでも出てきます。
違う面から自社振出し小切手、他社振出し小切手について話していますが、同じことを話しているので復習感覚で読んでください。
簿記3級でいう「現金」は、ただの“お札と小銭”だけではありません。
大きく分けると次の2つです。
手元にあるお金(紙幣・硬貨)。財布・金庫の中身。
“受け取ったら、すぐ現金化できる(すぐ使える)”ため、試験上は現金と同じグループに入れて扱うもの。
【通貨代用証券】
他人振り出し小切手(=他人(取引先)が振り出した小切手)
→ 小切手は「銀行に行けば支払ってもらえる(換金できる)」という性質を持ちます。
取引先が振り出した小切手を受け取った側(=当社)から見ると、すぐ現金化できる紙なので、原則は現金として扱います。
(※ただし「ただちに当座預金とした」と問題文にあれば当座預金で処理します。ここは当座預金の章の判定ルールどおり。)
郵便為替証書
→ これは「郵便局(ゆうちょ)を通じて、現金を送ったり受け取ったりするための証書」です。
受け取った側は、その証書を郵便局等で手続きすれば現金として受け取れる(換金できる)ので、簿記では現金(通貨代用証券)として扱います。
イメージとしては「現金を直接渡す代わりに、現金と引き換えできる証書を渡す」という感じです。
送金小切手
→ これは、銀行が発行する「支払いを確実にするための小切手」です。
(個人の小切手より“銀行が関与している分、より確実な支払手段”というイメージ。)
受け取った側は銀行に持っていけば現金化(または預金へ入金)できるため、簿記では現金(通貨代用証券)として扱います。
イメージは「銀行が保証に近い形で用意した“現金引換券”」です。
ここで重要なのは、簿記の「現金」は “見た目が現金っぽいか”ではなく、現金としての性質(すぐ使える/すぐ換金できる)で決まるという点です。
初心者が一番混乱するのがここです。“現金っぽいのに現金じゃない”代表を押さえましょう。
• 他人の小切手を受け取った → 原則 現金
• 自分の小切手は支払の道具 → 当座預金(現金ではない)
他人振出し小切手(受取側の目線)
「相手の銀行口座(相手の当座預金)から支払われる約束の紙」
→ 自社の当座預金は動いていないので 当座預金は使わない
→ すぐ換金できるので 現金として受け取る(原則)
自己振出し小切手(自社の目線)
「自社の当座預金から支払うために発行した“支払命令書”」
→ 振り出した瞬間に 当座預金が減る(支払ったのと同じ扱い)
→ 返ってきたら 当座預金の減少を取り消す(当座預金が戻る)
※ちなみに、この自社振出し小切手/他社振出し小切手の話は当座預金のところでも出てきます。
違う面から自社振出し小切手、他社振出し小切手について話していますが、同じことを話しているので復習感覚で読んでください。
現金=通貨(紙幣・硬貨)+通貨代用証券(すぐ換金できるもの)
例:切手、コピー用紙、電車代、宅配の着払い、急ぎの消耗品、来客用のお茶…など。
でも少額の支払いのたびに「経理に申請→承認→出金→記帳」を繰り返すと、現場の動きが止まります。
そこで “現場のスピード”と“お金の管理”を両立するために、会社は「小さな財布」を別に用意します。これが小口現金です。
つまり 会社のお金の置き場所が「会社の金庫(現金)」から「小口係の財布(小口現金)」に移っただけです。
小口現金が増えて、現金が減ると考えます。
小口現金がその分だけ減ると考えます。
登場人物を置くとイメージしやすくなります。
① スタート:最初に一定額を渡す(例:10,000円)
② 支払う:小口係(または社員)がその場で支払う
③ 期間が来たら:領収書をまとめて経理に報告(提出)←ここで記帳
④ 経理が精算:内容をチェックして、使った分だけ補給する
| Step | タイトル | やること | 仕訳 |
|---|---|---|---|
| 1 | ① スタート:最初に一定額を渡す(例:10,000円) |
|
(借)小口現金 10,000 / (貸)現金 10,000 |
| 2 | ② 支払う:小口係(または社員)がその場で支払う |
|
仕訳なし |
| 3 | ③ 期間が来たら:領収書をまとめて経理に報告(提出)←ここで記帳 |
|
(借)旅費交通費 2,000 (借)消耗品費 1,500 / (貸)小口現金 3,500 |
| 4 | ④ 経理が精算:内容をチェックして、使った分だけ補給する |
|
(借)小口現金 3,500 / (貸)現金 3,500 |
ここでこう思いましたよね?
「支払った瞬間に帳簿に書くのが普通じゃないの?」
• 小口現金は支払い回数が多く少額なので、1回ごとに経理が仕訳すると手間が大きすぎる
• だから 領収書をまとめて受け取ったタイミングで、経理がまとめて仕訳する運用がよく使われます
• 経理が領収書をチェックしてから記帳するのは、
「何に使ったか(費用科目)が正しいか」、「証拠がそろっているか」を確認するためです
普通預金は、日常の資金決済に使う「銀行に置いてある資産」です。
したがって、普通預金が増えたら借方、減ったら貸方で処理します。
代表パターン:
• 預け入れ:(借)普通預金 / (貸)現金
• 引き出し・引落:(借)相手科目 / (貸)普通預金
定期預金も資産勘定です。3級では「普通預金から定期預金へ移す」「定期預金を解約して普通預金へ戻す」の2パターンが中心です。
代表パターン:
• 預け替え:(借)定期預金 / (貸)普通預金
• 解約戻し:(借)普通預金 / (貸)定期預金
• 会社が「小切手・手形」で支払いや受け取り(決済)をするための銀行口座です。
普通預金が「振込・引落の口座」だとしたら、当座預金は “小切手を使用した決済専用の口座”というイメージです。
• 小切手は、会社の世界において
「現金を持ち歩かずに高額を安全に支払う」「支払いの証拠を残す」ために使われます。
当座預金は「小切手」という紙を使って支払います。
• 会社が取引先に支払う
1. 小切手を振り出して渡す
2. 取引先が銀行に持っていく
3. 銀行が当座預金から引き落として、取引先に支払う(または取引先口座へ入金)
実際に引き落とされるのは相手が銀行に小切手を持って行った時ですが、実務上「小切手を振り出した時点で、当座預金から支払ったのと同じ」という考えより、
「小切手を支払ったタイミングで仕訳を切ります。」(試験もこの前提で出ます)。細かいことは考えず、小切手を振り出したら当座預金の減少!って覚えてokです。
又、「小切手で支払った」と「当座預金で支払った」は同じ意味の言葉です。試験においてもどちらかの言葉を使われるので、ここで覚えて意おきましょう。
• 現金で払う:その場で手元の現金が出ていく → 仕訳は(借)商品(貸)現金
• 小切手で払う(=当座預金で払う):手元の現金は出ていかない。代わりに当座預金が減る → 仕訳は(借)商品(貸)当座預金
他人振出しの小切手は、当社から見れば すぐ現金化できる「通貨代用証券」です。
したがって、受け取った時点で「現金にほぼ等しいものを手に入れた」と考え、現金勘定で処理します。
ここで大切なのは、動くのは“相手(他社)の当座預金”であって、“当社の当座預金”ではないという点です。
当社の当座預金はまだ増えていません(銀行に預け入れていない)ので、当座預金勘定は使いません。
具体例:商品を500円で売って、相手先が振出した小切手を受け取った。
(借)現金 500 / (貸)売掛金 500
「ただちに当座預金とした」とは、
小切手を受け取った直後に、すぐ銀行へ持って行って当座預金に預け入れた(=受取と預入が同時)とみなす言葉です。
頭の中では実は2段階が起きています。
1. 受取(現金として受け取った)
2. 預入(その現金を当座預金へ預けた)
これをまとめて書くので、(借)当座預金になります。
具体例:商品を500円で売って、相手先が振出した小切手を受け取って直ちに当座預金とした。
(借)当座預金 500 / (貸)売上 500
自社振出しの小切手は、そもそも 「当社の当座預金から支払うための道具」です。
それが相手から未決済(相手が銀行に当小切手を持っていかなかった)のまま戻ってきた場合、外部からお金を受け取ったのではなく、
「以前、支払いとして記録した当座預金の減少が“なかったことになる(取消)”」という性質です。
だから、当座預金を元に戻す(取り消す)ために (借)当座預金を使います。
具体例:以前、商品300円を小切手で支払って買ってきたが、その小切手が後日戻ってきた。
• 支払時:(借)仕入 300 / (貸)当座預金 300
• 戻り:(借)当座預金 300 / (貸)買掛金 300
当座預金はその残高を超えて小切手を振り出すことはできないが,あらかじめ取引先の金融機関と当座借越契約を結んでおけば,当座預金残高を超えても借越限度額までの小切手を振り出すことができる。
この場合に当座預金残高を超えて引き出した額を当座借越といい,実質的には銀行からの借入金を意味する。
(初学者向けに噛み砕いて説明)
当座預金は資産ですが、当座預金が不足したまま小切手を振り出すと、口座残高がマイナスになります。
この マイナス部分は、銀行が一時的に立て替えた=借金(負債) なので、当座借越(負債)として扱います。
当座預金は 資産の勘定科目なので、B/Sでは 資産の位置(借方側)に載るべきものです。
ところが当座預金がマイナス(貸方残高)になると、資産が負債のような形になってしまい、B/Sの見せ方として不自然です。
資産の勘定科目は、必ずB/Sの借方に載せなければいけないのです。
そこで、マイナス分は実質的に借金なので、
決算でB/Sを作るときは 当座預金のマイナス部分を「当座借越(負債)」に振り替えて表示します。
(実務で2が多い理由)
:期中にプラス・マイナスが何度も入れ替わるたびに振替すると手間だから。決算で表示さえ正しければよい、という考え方です。試験でもこちらが多いです。
ここでは、話がブレないように 代表例を固定します。
さらに、分かりやすいように数値も固定します。
当座預金20,000しかないのに買掛金38,000を小切手で支払う。不足分18,000は銀行から借金したと考える。
「当座預金勘定(資産)」がマイナスになった分は、「当座借越勘定(負債)」を使用する。
売掛金32,000が当座に入金
※当座借越(負債)18,000を先に返済し、残り14,000が当座預金(資産)になる
いま当座預金が14,000ある状態で、買掛金25,000を小切手で支払う。不足分11,000は銀行から借金したと考える。(=不足 11,000 が当座借越)
二勘定制は期中ですでに不足分を当座借越にしているので、期末に特別な振替は基本的に不要です。
決算は帳尻合わせ。期中からしっかりやってる時は決算整理は必要ないんです。
(期末のB/Sは「当座預金(資産)」と「当座借越(負債)」がそのまま載る)
当座預金20,000しかないのに買掛金38,000を小切手で支払う。不足分18,000は銀行から借金したと考える。
が、当座預金勘定が貸方残高(マイナス)になろうが、そのままにしておく。(期中は「当座借越勘定」を使用しない)
売掛金32,000が当座に入金
(借)当座預金 15,000 / (貸)売掛金 15,000
※マイナス 8,000 を相殺して、借方残高 7,000(プラス)に戻る
この例では期末時点の残高で表示(振替が必要か判断)
この例では期末時点で当座預金が プラス(借方残高7,000)なので、振替は不要。
(参考:もし期末に当座預金がマイナスなら)
(借)当座預金 ××× / (貸)当座借越 ×××
現金・小口現金・預金は基本的に 資産 です。
この一本で、現金・預金の仕訳がほぼ切れます。
B/S・P/Lへの影響
• P/L:費用(消耗品費)↑
• B/S:資産(現金)↓
「お金の置き場所が、手元→銀行に移動しただけ」。資産内の振替。
(借)小口現金 10,000 / (貸)現金 10,000
定額資金前渡制度では、この時点では仕訳しない。
(借)旅費交通費 2,000
(借)消耗品費 1,500
(貸)小口現金 3,500
当座預金から、小口現金というお財布にお金を移した。
(借)小口現金 3,500 (貸)当座預金 3,500
(用語解説の「当座借越」で理屈と2方式の全体像は理解済み。
ここでは 試験形式の例題で「手を動かして型にする」ステップです。
① 支払(不足が出る)
当座預金 12,000 しかないのに 20,000 支払 → 不足 8,000 が当座借越
(借)買掛金 20,000 / (貸)当座預金 12,000 / (貸)当座借越 8,000
② 入金(借越返済→残りが当座預金)
売掛金 15,000 入金
まず借越 8,000 を返し、残り 7,000 が当座預金へ
(借)当座借越 8,000
(借)当座預金 7,000 / (貸)売掛金 15,000
一勘定制は「期中は当座預金でそのまま動かす」。
期末にB/Sを作るとき、当座預金がマイナスなら当座借越へ振替します。
① 支払(期中は当座預金でそのまま記帳)
(借)買掛金 20,000 / (貸)当座預金 20,000
※当座預金は貸方残高 8,000(マイナス)になる状態
② 入金(期中は当座預金でそのまま記帳)
(借)当座預金 15,000 / (貸)売掛金 15,000
※マイナス 8,000 を相殺して、借方残高 7,000(プラス)に戻る
③ 決算時(期末にマイナスなら振替/プラスなら不要)
この例では期末時点の残高で表示(振替が必要か判断)
この例では期末時点で当座預金が プラス(借方残高7,000)なので、振替は不要。
(参考:もし期末に当座預金がマイナスなら)
(借)当座預金 ××× / (貸)当座借越 ×××