簿記3級 5要素(資産・負債・純資産・費用・収益)

【5要素】流動・固定・繰延資産の違いとは?ワンイヤールールと分類基準|簿記3級

「資産がたくさんある=安全な会社」とは限りません!資産の中身をごちゃ混ぜにせず、「流動・固定・繰延」の3つに分ける本当の理由とは?丸暗記に頼らず「1年基準」などのルールを理解することで、会社の健康状態を正しく読み解く力が身につきます。

先に結論

簿記の学習を始めると、現金や建物など、会社にとってプラスの財産をすべて「資産」と呼ぶことを学びます。

しかし、結論から言うと、これらをただの「資産」として同じ箱に混ぜて計算するのは非常に危険です。資産を「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分ける最大の理由は、「会社が“いざという時、すぐに使えるお金”をどれくらい持っているか」を正確に判断するためです。

たとえば、「ウチの会社には資産が1億円あります!」と言っても、中身を開けたら「9,900万円はすぐに売れない自社ビルで、明日の支払いに使える現金は100万円しかない」という状態だったらどうでしょう?あっという間に会社は倒産してしまうかもしれません。

だからこそ、資産は「すぐにお金になるか?」「長く使い続けるか?」といった明確なルールで分類し、B/S(貸借対照表)に記載する必要があるのです。

なぜ資産の分類(流動・固定・繰延)で混乱してしまうのか?

簿記の学習中、この3つの分類がごちゃごちゃになってしまうのには、主に以下の3つの原因があります。

1. 資産を「全部同じプラスの財産」とひとまとめにしてしまう

現金も、商品も、建物も、確かにどれも資産です。しかし「明日すぐに支払いに使える現金」と「これから何十年も使う予定の建物」を同じ感覚で捉えてしまうと、会社の本当の支払い能力(安全性)を読み違えてしまいます。

2. 分ける基準である「1年基準」を知らない

流動資産と固定資産は、なんとなくの感覚で分けているわけではありません。「1年以内に現金になるか(流動)、1年を超えて長く使うか(固定)」という明確なルール(1年基準)が存在します。この基準を知らないと、試験で初めて見る勘定科目が出たときにどちらのグループか判断できなくなります。

3. 「繰延資産」を普通の資産と同じモノだと思い込んでいる

ここが一番のつまずきポイントです。繰延資産(くりのべしさん)は、現金や建物のような「売ってお金になる財産」ではありません。実は「すでに支払ってしまった費用」なのです。しかし、「その効果が未来にも長く続くから、特別に資産の仲間に入れてあげよう」という特殊なルールのせいで混乱を招きやすいのです。

ここからは、この記事の図解を使って、「資産を3つに分ける基準」を図解でスッキリと整理していきましょう。

流動資産・固定資産・繰延資産を図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って解説していきます。

2
Step 2:資産(Assets)

📖 定義: 現金のほか、将来お金を受け取ることのできる権利など。

💡 イメージ:
会社にとってのプラスの財産です。例えば、現金や預金のような「お金そのもの」、売掛金のような「これからお金になる権利」、建物や備品のような「仕事に使うモノ」です。
1 3つの分類(流動資産・固定資産・繰延資産)
資産の「3つの分類」:すぐにお金になる? 長く使う? それとも…?

BSの左側に入る「資産」。現金や商品、建物など、会社にとっての「現時点にあるプラスの財産」であることは学びましたね。

しかし、ひとくちに「資産」と言っても、その性質はまったく違います。たとえば、「明日すぐに支払いに使えるレジの現金」と、「これから何十年も使い続ける予定の自社ビル」を、ただ「資産」として同じ箱に混ぜてしまったらどうなるでしょう?

もし「会社の資産は全部で1億円あります!」と言われても、中身を開けてみたら「9,900万円は売ることのできない建物で、今すぐ使える現金は100万円しかない」という状態だったら、明日の支払いに困って会社が立ち行かなくなってしまうかもしれません。

ここが大事

会社の健康状態を正確に知るためには、「トータルでいくらあるか」だけでなく、「いざという時、すぐに使えるお金がどれくらいあるか」がとても重要になります。

そこで簿記の世界では、資産をさらに「3つのグループ」に分類してBSに記録するルールになっています。

分け方の基準①:「1年基準」

まず、現金や建物といった「財産」を、「1年以内に現金になるか?(すぐ使えるか)」、それとも「1年を超えて長く使うか?」という基準で真っ二つに分けます。

1年以内に現金になるもの ➔ 流動資産(りゅうどうしさん)

1年を超えて長く使うもの ➔ 固定資産(こていしさん)

分け方の基準②:第3の特殊な資産「繰延資産」

そしてもう一つ、少し特殊な「第3の資産」が存在します。それが「繰延資産(くりのべしさん)」です。

これは現金や建物のような「売ってお金になる財産」ではありません。「すでに支払ってしまった費用」です。

【繰延資産とは?なぜ費用なのに資産の箱に入れるの?】

すでに支払った費用なら、普通はそのまま「費用」になりますよね。でも、たとえば会社を立ち上げるための初期費用(創立費)など、「今年お金は払ったけれど、その効果が来年も再来年も、未来に向かって長く続いていく特別な支出」があります。

簿記の世界では、「未来の会社に良い効果をもたらすパワー(価値)がまだ残っているなら、それは会社にとっての一つの財産(資産)と考えてもいいよ!」という特別なルールが認められています。だからこそ、本来は費用であっても「繰延資産」という名前をつけて、資産の仲間にいれることができるのです。

このように、資産は「1年基準」と「特殊な費用」という視点で、以下の図のように「流動資産」「固定資産」「繰延資産」という3つの仲間に分けられます。

資産の中に流動資産・固定資産・繰延資産の三つの種類があるということがわかればok!!

自動
貸借対照表(B/S)
資産
流動資産

1年以内に現金になる資産、または現金そのもの。

現金・売掛金・商品 など

固定資産

1年を超えて、長く使うために持っている資産。

建物・土地・備品 など

繰延資産

効果が長く続くので、特別に資産として残すもの。

創立費 など

負債
純資産

分類の理由を知れば、B/S(貸借対照表)が読めるようになる!

流動資産・固定資産・繰延資産の違いと、分類する理由はイメージできましたか?

資産の分類は、ただ試験のために暗記するものではありません。このルールを知ることで、実際の企業のB/Sを見たときに「この会社はすぐに使える現金(流動資産)がたくさんあるから安全だな」「建物(固定資産)ばかりで手元にお金がないから少し危ないかも?」と、会社の健康状態を読み解けるようになります。

とくに特殊な「繰延資産」の考え方は、今後学習を進める上で非常に重要な視点になりますので、ここでしっかりと理屈を押さえておきましょう!

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この記事では、「資産の3つの分類」の考え方を分かりやすく整理しました。関連する学習記事では、この資産の分類ルールが、他の「負債」や「純資産」とどのように関わり合って一つのB/Sを作り上げているのか、点ではなく繋がりで確認できます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。