簿記3級 5要素(資産・負債・純資産・費用・収益)

資産とは?流動・固定・繰延資産の違いと分類のルール

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

資産とは、現金・預金、商品・建物、将来お金を受け取れる権利など、会社にとって価値のある財産(プラスの財産)のことを言います。B/S(貸借対照表)では、その性質に応じて「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つに分けます。

同じ財産でも、現金はすぐに支払いに使えます。商品は、売って代金を受け取ることでお金に変わります。建物は、その中で仕事を続けるために持っているものです。このように、資産には、お金として使うもの、これからお金に変わるもの、長く仕事に使うものがあります。

ところが、全部を足して「資産はいくら」とだけ示すと、この違いが見えなくなります。財産は十分にあるように見えても、その多くが建物なら、目の前の支払いに困ることもあります。だからこそ、いくら持っているかと一緒に、何を持っているかも伝える必要があるのです。そのために、B/Sでは資産を性質ごとに分けて表示します。

資産の中身を、3つに分けて見る
区分どのようなものか
流動資産現金・預金や、通常の商品売買の流れで現金に変わる売掛金・商品など。
固定資産事業で長く使う建物・備品・土地など。すぐに支払いへ回すためではなく、事業を続けるために持つ財産。
繰延資産本来は費用として処理するものですが、固定資産のように効果が将来にわたって長く続くため、特別に資産として残すことが認められたもの。(創立費など)
流動・固定の分け方:正常営業循環基準 → 一年基準

まず、普段の商品売買の流れにあるかで判断します。これが正常営業循環基準です。その流れにない貸付金などは、決算日の翌日から1年以内に回収するかという一年基準(ワンイヤールール)で分けます。

① いつもの商品売買(仕入 → 販売 → 代金の受け取り)の流れにある?正常営業循環基準を先に確認
はい
流動資産商品・売掛金など回収まで1年を超えても
この流れにあれば流動資産
いいえ
② 1年以内に回収する?一年基準(ワンイヤールール)貸付金など、商品売買以外の
「お金を受け取る権利」の場合
はい(1年以内)
流動資産
いいえ(1年超)
固定資産
事業で長く使う建物・備品・土地なども、固定資産に入ります。
繰延資産は、特別に認められた資産本来は費用として処理するものですが、固定資産のように効果が将来にわたって長く続くため、特別に資産として残すことが認められたものです。まとめて今年の費用にせず、何年かに分けて費用にできます。会社をつくるためにかかったお金(創立費)など、認められた一部の支出が対象です。

資産の中身がわかると、財務諸表の作成で「この科目はB/Sのどこに入るのか」を考えやすくなります。そして、財産の役割に目を向けることは、この先に学ぶ「費用」の理解にも役立ちます。

その違いを、流動資産の「商品」と固定資産の「建物」で見てみましょう。どちらも会社の財産ですが、商品は売ることで、建物は何年も仕事に使うことで、会社の収益に役立ちます。役立つタイミングが違うため、費用にするタイミングも変わります。

流動資産(商品)と固定資産(建物)の違い
比べるところ流動資産
商品
固定資産
建物
収益への役立ち方販売して、売上を得る。何年も使い、その間の事業を支える。
費用にする時期売れた期間に、売れた分の原価を費用にする。売れ残りは資産として残す。使う期間に分けて、取得額を少しずつ費用にする。これが減価償却。
その時期にする理由その商品の売上と、売るためにかかった原価を、同じ期間にそろえるため。建物は買った年だけでなく、その後の年にも役立つため。費用も、使う各年に分ける。

商品も建物も、買った代金をすべて購入した年の費用にすると、収益に役立つ時期と、費用を計上する時期がずれてしまいます。そこで、商品は売れた期間に、建物は使う期間に合わせて費用にするのです。

だから、何が流動資産で、何が固定資産なのかを、その役割と一緒に覚えておくことが大切です。「商品は売るため、建物は長く使うため」と捉えられると、商品売買で売れ残りを資産に戻す処理や、建物を減価償却する理由もつながって理解できます。

費用の扱いは、分類に加えて個々の資産の性質によって決まります。たとえば、土地は固定資産ですが、建物のように減価償却はしません。

詳しい解説

流動資産・固定資産・繰延資産

2
Step 2:資産(Assets)
▼

📖 定義: 現金のほか、将来お金を受け取ることのできる権利など。

💡 イメージ:
会社にとってのプラスの財産です。例えば、現金や預金のような「お金そのもの」、売掛金のような「これからお金になる権利」、建物や備品のような「仕事に使うモノ」です。
1 3つの分類(流動資産・固定資産・繰延資産)
資産の「3つの分類」:すぐにお金になる? 長く使う? それとも…?

BSの左側に入る「資産」。現金や商品、建物など、会社にとっての「現時点にあるプラスの財産」であることは学びましたね。

しかし、ひとくちに「資産」と言っても、その性質はまったく違います。たとえば、「明日すぐに支払いに使えるレジの現金」と、「これから何十年も使い続ける予定の自社ビル」を、ただ「資産」として同じ箱に混ぜてしまったらどうなるでしょう?

もし「会社の資産は全部で1億円あります!」と言われても、中身を開けてみたら「9,900万円は売ることのできない建物で、今すぐ使える現金は100万円しかない」という状態だったら、明日の支払いに困って会社が立ち行かなくなってしまうかもしれません。

ここが大事

会社の健康状態を正確に知るためには、「トータルでいくらあるか」だけでなく、「いざという時、すぐに使えるお金がどれくらいあるか」がとても重要になります。

そこで簿記の世界では、資産をさらに「3つのグループ」に分類してBSに記録するルールになっています。

分け方の基準①:「1年基準」

まず、現金や建物といった「財産」を、「1年以内に現金になるか?(すぐ使えるか)」、それとも「1年を超えて長く使うか?」という基準で真っ二つに分けます。

1年以内に現金になるもの ➔ 流動資産(りゅうどうしさん)

1年を超えて長く使うもの ➔ 固定資産(こていしさん)

分け方の基準②:第3の特殊な資産「繰延資産」

そしてもう一つ、少し特殊な「第3の資産」が存在します。それが「繰延資産(くりのべしさん)」です。

これは現金や建物のような「売ってお金になる財産」ではありません。「すでに支払ってしまった費用」です。

【繰延資産とは?なぜ費用なのに資産の箱に入れるの?】

すでに支払った費用なら、普通はそのまま「費用」になりますよね。でも、たとえば会社を立ち上げるための初期費用(創立費)など、「今年お金は払ったけれど、その効果が来年も再来年も、未来に向かって長く続いていく特別な支出」があります。

簿記の世界では、「未来の会社に良い効果をもたらすパワー(価値)がまだ残っているなら、それは会社にとっての一つの財産(資産)と考えてもいいよ!」という特別なルールが認められています。だからこそ、本来は費用であっても「繰延資産」という名前をつけて、資産の仲間にいれることができるのです。

このように、資産は「1年基準」と「特殊な費用」という視点で、以下の図のように「流動資産」「固定資産」「繰延資産」という3つの仲間に分けられます。

資産の中に流動資産・固定資産・繰延資産の三つの種類があるということがわかればok!!

自動
貸借対照表(B/S)
資産
流動資産

1年以内に現金になる資産、または現金そのもの。

現金・売掛金・商品 など

固定資産

1年を超えて、長く使うために持っている資産。

建物・土地・備品 など

繰延資産

本来は費用として処理するものですが、固定資産のように効果が将来にわたって長く続くため、特別に資産として残すことが認められたもの。

創立費 など

負債
純資産

よくある質問

流動資産と固定資産は、金額の大小で分けますか?

金額ではなく、財産の性質で分けます。まず普段の商品売買の流れにあるかを見て、その流れにない貸付金などは、決算日の翌日から1年以内に回収するかで判断します。

すべての資産を一年基準だけで分類してよいですか?

先に正常営業循環基準を確認します。商品や売掛金など、通常の商品売買の流れにあるものを分類したうえで、それ以外の資産について一年基準を使います。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。