簿記3級 5要素(資産・負債・純資産・費用・収益)

【5要素】純資産とは?資産・負債との違いと「資本金」「利益」の仕組み|簿記3級

「純資産=本当の自分の財産」って、結局「自分」って誰のこと?そんな簿記3級で一番最初の「?」をスッキリ解決!資産・負債との決定的な違いや、純資産の正体である「株主の取り分・会社の正味の財産」についてわかりやすく解説します。

先に結論

簿記の学習を始めると、B/S(貸借対照表)の右下に「純資産(じゅんしさん)」という箱が登場します。教科書にはよく「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産です」と書かれていますが……「純資産って一体何?」と混乱していませんか?

この記事では、資産から負債を引いたただの計算結果ではない、「純資産の本当の正体」と「資本金と利益剰余金」の意味を、初学者向けにわかりやすく解説します!

なぜ「純資産」の意味でつまずいてしまうのか?

初学者が純資産の概念でモヤモヤしてしまう原因は、主に以下の3つです。

1. 「会社のお金=社長(自分)のお金」だと勘違いしている

簿記の世界では、「会社」と「社長(または出資者)」はまったく別の存在として考えます。簿記はあくまで「会社という独立した組織のお財布」を記録するものです。ここを切り離して考えず、日常生活の感覚で「会社のお金は社長のもの」と混同してしまうと、純資産が「誰の持ち分なのか」がわからなくなってしまいます。

2. 負債と純資産を「右側にあるもの」と単語だけで丸暗記している

貸借対照表(B/S)の右側には「負債」と「純資産」が並んでいますが、この2つは性質が180度違います。銀行から借りた「負債(借金)」は後で必ず返さなければなりませんが、株主(出資者)から集めた「純資産(元手)」は返す必要がありません。この「返済義務があるか・ないか」の基準を後回しにすると、仕訳の意味が理解できなくなります。

3. 「資本金」と「利益剰余金」の箱を分けずに覚えている

純資産の中には大きく2つの箱があります。これを「株主が最初に出資してくれたお金(=資本金)」と、「会社が自らの営業活動で稼いだ利益の蓄積(=利益剰余金)」に分けて考えないと、決算のときに「なぜP/Lで計算した利益が純資産に合流するのか」がわからず、ただの丸暗記になってしまいます。

ここからは、会社設立のストーリーを使って、純資産の正体をスッキリと紐解いていきましょう。

純資産を図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って解説していきます。

1 会社設立ストーリーで理解する
純資産は「誰の取り分」なのか?

前回のステップでは、会社のお金やモノの残高(資産)と、将来支払わなければならない義務(負債)について学びました。

ここからは、B/Sの右下の箱、「純資産(じゅんしさん)」について見ていきます。 実は、簿記を勉強する人が一番最初に「?」とつまずくのが、この純資産です。よく「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産」と説明されますが、こう思いませんでしたか?

「本当の自分の財産って……そもそも『自分』って誰のこと?」

私(あなた)のこと? 社長のこと? それとも会社のこと? この謎を解くためには、「会社ってそもそも何?」という大前提を知る必要があります。 ここがわかると、簿記が一気に面白くなりますよ!

1 大前提:「会社」とは、商売をする「ロボット」である

まず、簿記の世界の絶対ルールを一つ覚えましょう。 それは、「人間(あなた)」と「会社」は、まったくの別人であるということです。

イメージとしては、あなたが商売をするために「○○株式会社」という名前のお手伝いロボットを作ったと考えてください。 この「○○株式会社」は、自分専用の「お財布」を持っています。

簿記の世界では、あなた(人間)の個人的なお財布のことは一切気にしません。 あくまで「ロボットのお財布にいくら入って、いくら出ていったか」だけを記録します。 あなたはそのロボットに指示を出す操縦士(社長)にすぎません。

2 ロボットのお財布にお金を入れる「2つの方法」

さて、このロボット(○○株式会社)にカフェの商売をさせたいのですが、最初はロボットのお財布が空っぽです。 スタート資金として1,000万円が必要です。ロボットのお財布にお金を入れるには、次の2つの方法しかありません。

方法①:ロボットが、銀行から借りる(=負債)

ロボットが自ら銀行へ行き、1,000万円を借りました。銀行は「ロボットにお金を貸しただけ」です。 ロボットは後で、必ず銀行にこのお金を返さなければなりません。

これが「負債(借金)」です。

方法②:ロボットが、「ご主人様」を募集する(=純資産)

もう一つの方法は、「このロボットの『ご主人様』になりませんか?」と人間たちに呼びかける方法です。 あなたや、知り合いのAさん、Bさんが「この○○株式会社は将来稼いでくれそうだから、自分たちのお金をあげよう!」と決めたとします。

あなた達は、自分のポケットマネーをロボットのお財布に入れました。 するとロボットは、お金をくれたお礼として、チャリン!と「ご主人様チケット」を発行して渡してくれます。

実は、この「ご主人様チケット」のことこそが、「株式(かぶしき)」です。 そして、チケットをもらった人(あなた、Aさん、Bさん)のことを「株主(かぶぬし)」と呼びます。

3 だから純資産は「ご主人様(株主)の財産」!

銀行の借金とは違い、ご主人様(株主)がロボットに入れてくれたお金は、ロボットにとって「絶対に返さなくていいお金」になります。 その代わり、ご主人様チケットを持っている人には、最強の権利が与えられます。

お小遣いをもらう権利

ロボットが商売で稼いだ儲けは、すべてご主人様のものです。 「○○株式会社、稼いだお金をお小遣い(配当金)として分けてね!」ともらうことができます。

チケットを高く売る権利

ロボットが大活躍すれば、「そのロボットのご主人様になりたい!」という人が現れます。 そうしたら、自分のご主人様チケットを別の人に高値で売って、大儲けすることができます。

さあ、これで「純資産」の正体がハッキリしましたね。

資産

今、ロボットのお財布にあるすべてのお金やモノ。

負債

ロボットが、銀行などに「必ず返さなければならない」お金。

純資産

資産から負債を引いた残り。= ご主人様チケットを持っている人たち(株主)の本当の取り分!

そう、「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産」の「自分」とは、「ご主人様(株主)」のことだったのです! もしあなた1人でお金を出して「○○株式会社」を作ったなら、純資産は「あなた個人の取り分」になります。

4 純資産の「2つの箱」:最初にもらったお金と、自分で稼いだお金

この純資産(ご主人様の取り分)には、大きく分けて「2つの箱(勘定科目)」が用意されています。

第1の箱:ご主人様からもらった最初のお金(資本金)

ストーリーの方法②で、ご主人様たちがロボットのお財布に最初に入れてくれた1,000万円のことです。 ビジネスを始めるための土台となるお金で、これを「資本金(しほんきん)」と呼びます。

第2の箱:ロボットが自分で稼いだお金(利益剰余金)

ロボットがカフェの商売を始め、1年間頑張った結果、300万円の黒字(利益)が出たとします。 この「ロボットが自分で稼ぎ出し、ご主人様のために貯め込んだお金」が、この箱にコツコツと積み上がっていきます。 これを「利益剰余金(りえきじょうよきん)」と呼びます。

つまり純資産、ご主人様が最初に出してくれた「①元手(資本金)」と、ロボットが後から頑張って稼いだ「②儲けの蓄積(利益剰余金)」の2層構造になっているのです。

「純資産」とはただの小難しい計算結果ではなく、「ご主人様たちがロボットに託した期待(資本金)」と、「ロボットがこれまで稼いできた頑張りの結晶(利益剰余金)」が詰まった、とても大切な場所なのです。

純資産は「計算結果」ではなく「期待と頑張りの結晶」!

純資産の正体、そして株主(出資者)との関係はイメージできましたか?

純資産は、単に「資産から負債を引いた残り」という冷たい数式ではありません。

株主が会社に託した期待(資本金)」と、「会社がこれまで商売をして稼いできた頑張りの結晶(利益剰余金)」が詰まった、会社にとって一番大切な場所なのです。

この「返す必要のない会社の正味の財産」というイメージを持っておくと、今後「株式の発行」や「配当金の支払い」といった少し難しい仕訳が出てきても、パズルのようにスラスラ解けるようになりますよ!

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この記事では、「純資産」の考え方を分かりやすく整理しました。関連する学習記事では、この純資産が日々の取引(仕訳)の中でどのように増減し、最終的なB/S・P/Lにどう繋がっていくのかを、より体系的に確認できます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。