簿記3級 5要素(資産・負債・純資産・費用・収益)

純資産とは?資本金・利益との関係を株式会社の仕組みから解説

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

資産は、会社が持つお金・モノ・代金を受け取る権利などの財産です。負債は、借入金など、会社が返済・支払いをしなければならない義務です。資産から負債を差し引いた、会社の「正味の財産」が純資産です。

なぜ負債を引くのでしょうか。会社が持つ財産の中には、借入れなどで用意した分もあるからです。持っている財産から、返済・支払いが必要な分を除いて考えることで、会社に正味でどれだけの財産があるかがわかります。株式会社では、この残りを、会社に出資した人である「株主の持ち分」と捉えます。

貸借対照表(B/S)で見る、資産・負債・純資産
資産会社が持つ財産の全体現金・売掛金・商品・備品など
負債返済・支払いなどの義務
純資産資産から負債を引いた残り
株主が出資した元手資本金など
会社に残した利益の蓄積利益剰余金
資産 − 負債 = 純資産

では、その純資産は、どのようにできるのでしょうか。図の中の「株主が出した元手」と「会社が稼いで残した利益」に分けると、わかりやすくなります。

株主が出した元手 → 資本金など
株主が、会社に事業を行ってもらうために出資した分です。借入金のような返済義務はなく、会社の活動を支える元手になります。

会社が稼いで残した利益 → 利益剰余金
会社は、その元手を使って事業を行います。そこで得た利益のうち、配当などで社外に出さず会社に残した分が積み重なったものです。純資産には、株主から受け入れた元手だけでなく、こうした事業の成果も含まれます。

B/Sでは、左の資産で「財産をどんな形で持っているか」、右の負債・純資産で「その財産をどう用意してきたか」を見ます。借入れなどで用意した分は負債、株主の出資や会社に残した利益による分は純資産。同じ会社の財産を、この2つの面から表しているのです。

詳しい解説

純資産とは?資本金と利益剰余金の違い

1 会社設立ストーリーで理解する
純資産は「誰の取り分」なのか?

ここからは、B/Sの右下の箱、「純資産(じゅんしさん)」について見ていきます。 実は、簿記を勉強する人が一番最初に「?」とつまずくのが、この純資産です。よく「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産」と説明されますが、こう思いませんでしたか?

「本当の自分の財産って……そもそも『自分』って誰のこと?」

私(あなた)のこと? 社長のこと? それとも会社のこと? この謎を解くためには、「会社ってそもそも何?」という大前提を知る必要があります。 ここがわかると、簿記が一気に面白くなりますよ!

1 大前提:「会社」とは、商売をする「ロボット」である

まず、簿記の世界の絶対ルールを一つ覚えましょう。 それは、「人間(あなた)」と「会社」は、まったくの別人であるということです。

イメージとしては、あなたが商売をするために「○○株式会社」という名前のお手伝いロボットを作ったと考えてください。 この「○○株式会社」は、自分専用の「お財布」を持っています。

簿記の世界では、あなた(人間)の個人的なお財布のことは一切気にしません。 あくまで「ロボットのお財布にいくら入って、いくら出ていったか」だけを記録します。 あなたはそのロボットに指示を出す操縦士(社長)にすぎません。

2 ロボットのお財布にお金を入れる「2つの方法」

さて、このロボット(○○株式会社)にカフェの商売をさせたいのですが、最初はロボットのお財布が空っぽです。 スタート資金として1,000万円が必要です。ロボットのお財布にお金を入れるには、次の2つの方法しかありません。

方法①:ロボットが、銀行から借りる(=負債)

ロボットが自ら銀行へ行き、1,000万円を借りました。銀行は「ロボットにお金を貸しただけ」です。 ロボットは後で、必ず銀行にこのお金を返さなければなりません。

これが「負債(借金)」です。

方法②:ロボットが、「ご主人様」を募集する(=純資産)

もう一つの方法は、「このロボットの『ご主人様』になりませんか?」と人間たちに呼びかける方法です。 あなたや、知り合いのAさん、Bさんが「この○○株式会社は将来稼いでくれそうだから、自分たちのお金をあげよう!」と決めたとします。

あなた達は、自分のポケットマネーをロボットのお財布に入れました。 するとロボットは、お金をくれたお礼として、チャリン!と「ご主人様チケット」を発行して渡してくれます。

実は、この「ご主人様チケット」のことこそが、「株式(かぶしき)」です。 そして、チケットをもらった人(あなた、Aさん、Bさん)のことを「株主(かぶぬし)」と呼びます。

3 だから純資産は「ご主人様(株主)の財産」!

銀行の借金とは違い、ご主人様(株主)がロボットに入れてくれたお金は、ロボットにとって「絶対に返さなくていいお金」になります。 その代わり、ご主人様チケットを持っている人には、最強の権利が与えられます。

お小遣いをもらう権利

ロボットが商売で稼いだ儲けは、すべてご主人様のものです。 「○○株式会社、稼いだお金をお小遣い(配当金)として分けてね!」ともらうことができます。

チケットを高く売る権利

ロボットが大活躍すれば、「そのロボットのご主人様になりたい!」という人が現れます。 そうしたら、自分のご主人様チケットを別の人に高値で売って、大儲けすることができます。

さあ、これで「純資産」の正体がハッキリしましたね。

資産

今、ロボットのお財布にあるすべてのお金やモノ。

負債

ロボットが、銀行などに「必ず返さなければならない」お金。

純資産

資産から負債を引いた残り。= ご主人様チケットを持っている人たち(株主)の本当の取り分!

そう、「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産」の「自分」とは、「ご主人様(株主)」のことだったのです! もしあなた1人でお金を出して「○○株式会社」を作ったなら、純資産は「あなた個人の取り分」になります。

4 純資産の「2つの箱」:最初にもらったお金と、自分で稼いだお金

この純資産(ご主人様の取り分)には、大きく分けて「2つの箱(勘定科目)」が用意されています。

第1の箱:ご主人様からもらった最初のお金(資本金)

ストーリーの方法②で、ご主人様たちがロボットのお財布に最初に入れてくれた1,000万円のことです。 ビジネスを始めるための土台となるお金で、これを「資本金(しほんきん)」と呼びます。

第2の箱:ロボットが自分で稼いだお金(利益剰余金)

ロボットがカフェの商売を始め、1年間頑張った結果、300万円の黒字(利益)が出たとします。 この「ロボットが自分で稼ぎ出し、ご主人様のために貯め込んだお金」が、この箱にコツコツと積み上がっていきます。 これを「利益剰余金(りえきじょうよきん)」と呼びます。

つまり純資産、ご主人様が最初に出してくれた「①元手(資本金)」と、ロボットが後から頑張って稼いだ「②儲けの蓄積(利益剰余金)」の2層構造になっているのです。

「純資産」とはただの小難しい計算結果ではなく、「ご主人様たちがロボットに託した期待(資本金)」と、「ロボットがこれまで稼いできた頑張りの結晶(利益剰余金)」が詰まった、とても大切な場所なのです。

最後に、ここを確認

  • 純資産は「資産全体−負債」で考えます。

    現金だけを見るのではなく、商品・建物・売掛金なども含む資産全体から、返済や支払いなどの義務を差し引きます。その残りが、会社に対する株主の持ち分です。

  • 出資と、商売で得た利益を分けて見ましょう。

    株主が出した元手が「資本金」、会社に蓄積した利益が「利益剰余金」です。どちらも純資産の内訳ですが、増えた理由が違います。会社の現金を、そのまま株主個人のお金と考えないことも大切です。

よくある質問

純資産は、現金の残高と同じですか?

同じではありません。純資産は、現金や商品などの資産全体から、返済・支払いが必要な負債を差し引いた正味の財産です。

資本金と利益剰余金は何が違いますか?

資本金は株主が出資した元手を表し、利益剰余金は会社が稼いで残してきた利益を表します。どちらも純資産の一部ですが、成り立ちが違います。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。