簿記3級 経過勘定

繰延べと見越しの違い|翌期分を外す?当期分を加える?

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

繰延べは、記録済みの費用・収益から翌期分を外すこと。見越しは、まだ記録していない当期分を加えることです。

家賃や保険料、利息などは、支払った日や受け取った日と、サービスの対象期間が一致するとは限りません。決算では、当期に受けた・提供したサービスの分だけを、当期の費用・収益にするように調整します。

繰延べと見越しの違い
処理決算時の状態何を調整するか
繰延べ先に支払い・受取りをし、翌期分まで費用・収益に記録している。翌期分を当期から外し、前払費用・前受収益として持ち越す。
見越し当期のサービスは発生しているが、代金は未払い・未受取りで、費用・収益も未記録。未記録の当期分を加え、未払費用・未収収益も記録する。

繰り延べた分には、翌期にサービスを受ける権利や提供する義務が残ります。見越した分には、あとでお金を受け取る権利や支払う義務が残ります。そのため、費用・収益の相手に資産・負債の科目が登場します。

計算するときも、最初に「外す翌期分」か「加える当期分」かを決めます。それから対象月数を数えると、月割りの数字と仕訳の意味がつながります。

詳しい解説

費用・収益の繰延と見越し

1
1. まずは、この考え方から
▼
🎬 サブスクの支払いで考える

あなたは11月に、動画配信サービスの「1年分(12ヶ月分)」の料金 12,000円 をドカンと一括で前払いしました。
そして12月末、お店の決算(今年の締め日)を迎えました。
さて、今年の「正しい費用」はいくらでしょうか?

お金は12,000円払いましたが、今年実際にサービスを楽しんだのは、11月と12月の「たった2ヶ月分(2,000円)」だけですよね。

残りの「10ヶ月分(10,000円)」は、今年の費用ではなく、来年楽しむための権利です。

ここが一番大事なポイントです。
簿記の世界では、「お金を払った日(もらった日)」ではなく、「実際にサービスを使った期間(提供した期間)」で今年の費用や収益を計算します。

決算の日に
「ちょっと待て、払ったお金のなかに来年の分が混ざってるぞ!」と今年の成績から追い出したり、
逆に「もう今年の分のサービスを使っているのに、まだ払ってない(帳簿に載ってない)ぞ!」と今年の成績に付け足したり
という、お金と期間のズレを直す「帳尻合わせ」の作業を行います。
これが、この単元で学ぶ「繰延(くりのべ)・見越し(みこし)」の正体です。

2
2. 全体の流れをつかもう
▼
1 2-1. 構造マップ(地図)

この単元でやることは、ズレの修正だけです。ズレには大きく分けて以下の2つの方向しかありません。専門用語の難しさに騙されないでください。

① 繰延(くりのべ) = 払いすぎ・もらいすぎ(後回しにする)

状況: すでにお金は動いたが、その中に「来年の分」まで含まれている。

処理: 来年の分を今年の成績から「減らす(追い出す)」。

結末: 追い出した分は、来年の権利や義務として「資産・負債」へチェンジして持ち越します。

② 見越し(みこし) = まだ払ってない・もらってない(先取りする)

状況: まだお金は動いていないが、すでに「今年の分」のサービスを使っている(提供している)。

処理: 今年の分を今年の成績へ「増やす(付け足す)」。

結末: 付け足した分は、後で払う義務やもらう権利として「資産・負債」へチェンジして持ち越します。

2 2-2. 頻出パターン早見表(この4つが全て)
パターン名 状況(お金と期間のズレ) 使う勘定科目(決算時) 決算整理仕訳の型(最小形)
費用の繰延(来年へ追い出す) 払いすぎ(来年の分まで払った) 前払費用
×××
×××
収益の繰延(来年へ追い出す) もらいすぎ(来年の分までもらった) 前受収益
×××
×××
費用の見越し(今年に付け足す) まだ払ってない(今年の分がすでに発生済) 未払費用
×××
×××
収益の見越し(今年に付け足す) まだもらってない(今年の分がすでに発生済) 未収収益
×××
×××
3
本編 Step 0:前提ルール「月割り計算」をマスターする
▼

繰延・見越しでは、「いくら分ズレているか?」を計算します。簿記3級では基本的に月割りで計算します。

1年分の金額 × (ズレている月数 ÷ 12ヶ月)
⚠️ 指折り確認の鉄則

月の計算は頭の中だけでやらず、必ず指を折って数えてください。
(例:8月1日〜12月31日なら、8, 9, 10, 11, 12で「5ヶ月」)

最後に、ここを確認

  • 期間を「当期分」と「翌期分」に分けてみましょう。

    保険料なら保障を受けた期間、家賃なら借りた期間が基準です。お金を払った日・受け取った日だけで、すべてを当期分にするわけではありません。

  • 決算整理のあと、当期分だけが残れば正解です。

    記録済みの金額に翌期分が混ざっていたら、繰延べで取り除きます。まだ記録されていない当期分があれば、見越しで加えます。仕訳の前に「いくら減らすか・足すか」を言葉で確認すると整理できます。

よくある質問

繰延べと見越しは、何が違いますか?

繰延べは、すでに記録した費用・収益から翌期分を外すことです。見越しは、当期に発生したのにまだ記録していない費用・収益を加えることです。

入金日や支払日だけで、費用・収益の時期を決めないのはなぜですか?

お金をやり取りする日と、サービスを受ける・提供する期間がずれることがあるからです。決算では、当期のサービスに対応する費用・収益へそろえます。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。