簿記3級 固定資産・減価償却

帳簿価額(簿価)とは?取得原価との違いと売却損益の計算

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

帳簿価額(簿価)は、帳簿に残っている資産の金額です。減価償却する固定資産では、取得原価から減価償却累計額を差し引いて求めます。

帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額

取得原価は、資産を使える状態にするまでにかかった金額です。そこから、これまでに費用にした分を除いた残りが簿価になります。帳簿上の未費用化額であって、中古市場で今売れる値段を表すものではありません。

3つの金額のつながり
用語何の金額か
取得原価購入代金と、運送費・据付費などの付随費用の合計。
減価償却累計額取得してから、これまでに減価償却した金額の合計。
帳簿価額取得原価から、すでに減価償却した分を除いた残り。

売却するときは、この残りを手放して代金を受け取ります。だから、売却損益は売却代金と売却時点の簿価を比べて求めます。代金のほうが多ければ売却益、少なければ売却損、同じなら損益はありません。

取得原価より安く売っても、簿価より高ければ売却益になります。過去に費用にした金額をもう一度損失に含めないために、比較の基準を簿価にそろえます。

詳しい解説

帳簿価額と売却損益

8
Step 6:売却②/除却②(減価償却している有形固定資産の売却、除却)
▼
あの日のオーブンを数字で振り返る

いよいよ、長年がんばってくれたオーブンとお別れする日が来ました。手放すときも「売る」か「捨てる」かの2つの道がありましたね。具体的な数字で振り返ってみましょう。

たとえば、取得原価320,000円のオーブンを数年使い、減価償却累計額が220,000円になっていたとします。このとき、オーブンの「いまの価値(帳簿価額)」は 100,000円 です。

中古業者に 120,000円 で売った(売却)
100,000円の価値のものを120,000円で売れたので、20,000円の「得」をしました。

完全に壊れてしまったので捨てた(除却)
お金は1円も入ってきません。そのため、いまの価値である100,000円が丸ごとそのまま「損」になります。もし捨てるのにお金(廃棄費用)がかかったら、その分さらに損が増えます。

1 帳簿価額(帳簿価格)

手放すときの計算で絶対に欠かせないのが「帳簿価額(ちょうぼかがく)」です。
固定資産は、買った年にいきなり全額を費用にするのではなく、減価償却によって毎年少しずつ費用にしていきます。つまり、買ったときの総額のうち、まだ費用になっていない残り(まだ使い終わっていない価値)が帳簿価額です。
つまり帳簿価額は「帳簿に残る金額」である。ということです。

取得原価 買ってきた時の値段
−
減価償却累計額 今まで費用にしてきた総額
=
帳簿価額 現在の価値

売却損益を出すときは、売却価格と帳簿価額を比べて損益を出します。

売却価額 売った金額
−
帳簿価額 現在の価値
=
売却損益 差額
なぜ、取得原価ではなく帳簿価額と比べるのか?

売却損益を出すときに、なんで『買ったときの値段(取得原価)』ではなく『いまの価値(帳簿価額)』と比べるの?と疑問に思った人もいるかもしれません。

例:取得原価600,000円、減価償却累計額200,000円なら、帳簿価額は400,000円です。
買ったときは600,000円だったオーブンも、すでに数年間パンを焼いて売上を作ってくれました。その「すでに役立った分(たとえば200,000円)」は過去に使い終わった部分です。だから手放す日に見るべきなのは、最初の600,000円ではなく「いま会社にいくら分の価値が残っているか(400,000円)」なのです。手放すときは、常にこの帳簿価額と勝負します。

具体例でイメージする:買って、使って、売るまで

パン屋さんのオーブンで、流れをそのまま追ってみましょう。
1つの例を最後まで見ると、帳簿価額と売却の関係がかなり見えやすくなります。

1. 買ったとき

オーブンを600,000円で買いました。
この時点では、まだ使っていないので、600,000円全部が会社に残っている価値です。
したがって、買った直後の帳簿価額は600,000円です。

2. 2年使ったあと

毎年100,000円ずつ減価償却すると、2年で200,000円は「使った分」として費用になります。
すると、600,000円のうち、もう使い終わったのは200,000円。
つまり現在の価値(帳簿価額)は400,000円ということになります。

3. 450,000円で売ったとき

ここでオーブンを450,000円で売ったとします。
現在の価値(帳簿価額)は400,000円なので、400,000円のものを450,000円で手放したことになります。
したがって差額の50,000円は、固定資産売却益です。

売却損益との関係

売却損益は、いつでも売却代金と帳簿価額の差額で決まります。
見るべき数字は、この2つだけです。

  • 売却代金 > 帳簿価額 → 固定資産売却益
  • 売却代金 < 帳簿価額 → 固定資産売却損
  • 売却代金 = 帳簿価額 → 売却損益は出ない
具体例でイメージしてみよう

たとえば、いまの価値(帳簿価額)が「400,000円」のオーブンを売るとします。

  • 450,000円で売れたら? 400,000円の価値のものを450,000円で売れたので、50,000円の得(固定資産売却益)です。
  • 380,000円でしか売れなかったら? 400,000円の価値のものなのに380,000円しか手に入らなかったので、20,000円の損(固定資産売却損)です。

このように整理すると、「なんだ、結局はいまの価値より高く売れたか安く売れたかを見ればいいだけか!」とイメージが湧きやすくなります。

よくある質問

帳簿価額は、今売れる値段のことですか?

違います。減価償却する固定資産では、取得原価から減価償却累計額を差し引いた、帳簿に残る金額です。中古市場の売値を表すものではありません。

固定資産の売却益・売却損は、何と何を比べますか?

売却代金と、売却時点の帳簿価額を比べます。売却代金が帳簿価額を上回れば売却益、下回れば売却損です。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。