簿記3級 固定資産・減価償却

修繕費と改良費の違い|費用か資産か、具体例で見分ける

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

修繕と改良は、「元の状態に戻す支出か、価値や使える期間を増す支出か」で分けます。修繕は費用、改良は固定資産に加算します。

同じ建物や備品にお金をかけても、得られる効果は同じとは限りません。壊れた部分を直して元通りにするのか、新たな機能を加えて今後も役立つようにするのか。まずは、支出によって何が変わったかを読み取ります。

修繕と改良の判断
区分支出の目的使う勘定科目
修繕(収益的支出)通常の維持管理や、壊れた部分の原状回復。修繕費(費用)
改良(資本的支出)価値・性能を高める、または耐用年数を延ばす。建物・備品など、改良した固定資産の科目(資産)

修繕は、当期の維持管理のための費用です。改良は、その効果が将来にも続くので、資産に加えて以後の期間へ配分します。「改良費」は支出の呼び方で、ここでは費用科目として仕訳しません。

どちらも現金で支払ったなら、貸方は現金です。変わるのは借方で、修繕なら修繕費、備品の改良なら備品を記録します。問題文に修繕と改良の内訳があれば、その指定に沿って分けます。

詳しい解説

修繕と改良

5
Step 3:修繕と改良 ― 「元に戻す」のか、「前より良くする」のか
▼
🍞 オーブンのお手入れを考える

冒頭の物語で、長く使うオーブンのお手入れには「直す」と「パワーアップさせる」の2つの道があることをお話ししましたね。まずは、具体的な金額を当てはめてあのストーリーを振り返ってみましょう。

扉の修理に30,000円支払った
壊れて熱が逃げる扉を、元通りに直してもらいました。これはマイナスをゼロに戻しただけです。そのため、かかった30,000円は今年の費用として処理して終わらせます。

高性能センサーを120,000円で追加した
たくさんのパンが綺麗に焼けるように、新しい機能を追加しました。これはゼロからプラスへ進化させた状態です。そのため、かかった120,000円は費用にせず、オーブンという「資産」の価値に直接上乗せします。

このように、同じ「固定資産にお金をかけた」という状況でも、目的によって処理が全く異なります。

1 修繕と改良

物語のイメージをつかんだところで、これを簿記の正式なルールとして整理しましょう。固定資産に対する支出は、以下の2つに分類して記帳します。

🪛 修繕(収益的支出とも呼ばれます)

意味:壊れた箇所の「原状回復(元に戻すこと)」や、通常の「維持管理」のための支出です。

処理:新たな価値を付け加えたわけではないため、全額をその年の費用として「修繕費(費用)」で処理します。

✨ 改良(資本的支出とも呼ばれます)

意味:固定資産の「価値を高める」ための支出や、「寿命(耐用年数)を延ばす」ための支出です。

処理:パワーアップした効果が将来にわたって会社の売上に貢献するため、費用にはせず、「固定資産(建物や備品など)」の金額に加算(資産の増加)します。

判断のポイントまとめ

直しただけか? → 元に戻しただけなら「修繕費(費用)」
前より良くなったか? → 価値や寿命がアップしたなら「固定資産(資産)に加算」

2 修繕 仕訳紹介

修繕は、壊れた固定資産を元の状態に戻しただけの支出です。新しい価値は増えていないので、費用で処理します。

基本の仕訳
XXX
XXX
POINT

借方(左側):費用の発生
「直したけれど、前より良くなったわけではない」と読めるときは、費用のホームポジションである借方(左側)に「修繕費」と記入します。資産には足しません。
貸方(右側):資産の減少など
代金を支払った手段(現金、当座預金、未払金など)を記入します。

3 改良 仕訳紹介

改良は、固定資産を前より良い状態にする支出です。価値や性能が上がり、その効果がこの先も続くので、固定資産に加算します。

基本の仕訳
XXX
XXX
POINT

借方(左側):資産の増加
「前より良くなり、その効果が将来も続く」と読めるときは、資産のホームポジションである借方(左側)に、パワーアップさせた固定資産の勘定科目(建物を良くしたなら建物、備品を良くしたなら備品)を記入し、資産の価値に加算します。
貸方(右側):資産の減少など
代金を支払った手段を記入します。

よくある質問

修繕と改良は、何を基準に分けますか?

元の状態に戻すための支出か、価値や使える期間を増す支出かで分けます。修繕は費用、改良は固定資産の金額に加えます。

改良したときは「改良費」という費用科目を使いますか?

この記事で扱う改良は、建物や備品などの固定資産に加算します。「改良費」は支出の呼び方であり、修繕費と同じように当期の費用にするわけではありません。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。