簿記3級 固定資産・減価償却

固定資産の期中売却の仕訳|減価償却は何か月分?月割りで解説

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

期中売却は、まず売却までの減価償却を行い、その後の帳簿価額と売却代金を比べます。

前期末から売却日までにも、固定資産は事業で使われています。その期間の費用を記録せずに売却すると、古い帳簿価額で損益を計算してしまいます。そこで、次の順に進めます。

  1. 売却までの当期の減価償却費を求める

    定額法の年額に、当期の使用月数÷12を掛けます。対象にするのは、当期首から売却までの使用期間です。

  2. 売却時点の帳簿価額を求める

    間接法なら、期首の累計額に当期の減価償却費を加えます。取得原価から、この売却時点の累計額を差し引きます。

  3. 売却仕訳を組み立てる

    売却時点の帳簿価額と代金を比較し、差額を売却益または売却損にします。固定資産と、それに対応する累計額も取り消します。

減価償却と売却の仕訳は、1本にまとめることもあります。その場合、間接法では当期に追加した累計額が左右で相殺され、借方には期首の累計額が残ります。計算は売却時点の金額、仕訳の合算は同じ科目の相殺と分けて考えましょう。

詳しい解説

固定資産の期中売却

6 期中で売却
🍞 期中売却のストーリー

オーブンを売る日は、ちょうど決算日(1年の区切りの日)とは限りません。むしろ、営業している年の途中(期中)で売ることのほうが多いです。

ここで絶対にやってはいけないのが、いきなり売却の仕訳に入ることです。

なんで?:いきなり売却の計算をしてはいけない理由

最後に決算を行ってから、売却する今日までの数ヶ月間、オーブンは毎日がんばってパンを焼いてお店の売上に貢献してくれましたよね。
ということは、「使った分だけ、さらに価値が減っているはず」です。

前期末のデータのまま計算してしまうと、「今日時点の本当の価値」とズレてしまいます。だから、売る直前に「今年使った分の減価償却費」をきっちり計算して、今日現在の最新の価値(帳簿価額)にアップデートしてあげる必要があるのです。

そのため、期中売却は必ず次の「考える順番(2ステップ)」を守って進めます。

考える順番
  1. 減価償却の仕訳を切る。
  2. 売却の仕訳を切る。
問題

取得原価120,000円、年間減価償却費24,000円の備品がある。前期末の減価償却累計額は48,000円であった。
この備品を当期4月1日から6月30日まで使用し、6月30日に65,000円で現金売却した。間接法で仕訳しなさい。

解答
減価償却の仕訳
6,000
6,000
売却の仕訳
54,000
65,000
1,000
120,000
仕上げ:2つの仕訳を1つに合体させよう

ここまでの「減価償却の仕訳」と「売却の仕訳」という2つの仕訳は、同じ日(6月30日)に行う処理なので、ガッチャンコと1本にまとめて書くのが試験での一般的な解答になります。

合体させるときは、「減価償却累計額」の相殺(引き算)に注目します。

「1」の仕訳で、右側(貸方)に6,000円記帳した。
「2」の仕訳で、左側(借方)に54,000円記帳した。

左右で同じ科目が登場したときは引き算をします。54,000円から6,000円を引くと、差し引き48,000円が左側に残ります。

この「48,000円」という数字、どこかで見覚えはありませんか?そう、「売る前の、前期末時点の累計額」そのものです!

6,000
48,000
65,000
1,000
120,000

このように、2本の仕訳をまとめて1本の仕訳として表示することもあります。
ただし、考え方としては、まず売却日までの減価償却を計上する、そのあとで売却の仕訳をする、という2段階で追うほうが分かりやすくて安全です。

解説
ステップ1:減価償却の仕訳を切る

4月1日から6月30日までの3ヶ月間、オーブンを働かせました。1年で24,000円価値が減るオーブンなので、3ヶ月分を日割り(月割り)で計算します。

24,000円 × 3ヶ月/12ヶ月 = 6,000円(当期の減価償却費)
売却前に、3ヶ月分の減価償却を計上する仕訳
6,000
6,000

これで、減価償却累計額に6,000円が追加され、減価償却累計額は48,000+6,000=54,000円となりました。

ステップ2:売却の仕訳をする 確定した最新の価値を使って、売却をする仕訳
54,000
65,000
1,000
120,000

今までと同様に売却の仕訳を切ります。
このときに、減価償却累計額のマイナスする額は、48,000円ではなく、54,000円を使用してください。

コラム:売却の仕訳

ちなみに今までは、先に帳簿価額を計算して、売却損益を出してから仕訳を切ってきました。

実は、わざわざ先に「いまの価値(帳簿価額)」を計算しなくても、分かっている数字からパズルのように仕訳を組み立てていくだけで、自然と「損なのか益なのか」「金額はいくらなのか」を導き出すことができます。

簿記ならではの「貸借差額(たいしゃくさがく)」を使った、とても便利なテクニックを見てみましょう。

まずは、すでに分かっている数字をどんどん仕訳に埋めていきます。

本体を消す: 備品を手放したので、右側(貸方)に「備品 120,000」と取得原価のまま書きます。

累計額を消す: セットだったマイナス記録を左側(借方)に書いて消します。ここで使うのは前期末の48,000円ではなく、当期の6,000円を足した最新の54,000円です。

お金をもらう: 現金が65,000円増えたので、左側(借方)に「現金 65,000」と書きます。

54,000
65,000
120,000

ここまで埋めたら、左右の合計金額を見比べてみましょう。

右側(貸方)の合計:120,000円

左側(借方)の合計:119,000円(54,000円 + 65,000円)

左右のバランスを一致させるためには、左側(借方)にあと1,000円足りませんよね。

この「足りない差額」を埋めるように、損益の勘定科目を書き込みます。

左側(借方)が足りない → 費用の発生なので「固定資産売却損」

右側(貸方)が足りない → 収益の発生なので「固定資産売却益」

今回は左側が1,000円足りないので、左側に「固定資産売却損 1,000」と書き込めば仕訳の完成です!

54,000
65,000
1,000
120,000
裏側の理屈も確認しておこう

差額でポンと答えを出しましたが、この仕訳の裏側ではちゃんと理屈が通っています。

本日における最新の帳簿価額(現在の価値)は、「取得原価 120,000円 - 減価償却累計額 54,000円 = 66,000円」だとわかりますよね。

「66,000円の価値があるものを、65,000円で売ったから1,000円損をした」。先ほど出した貸借差額の答えと、理屈がぴったり一致していることが確認できます。

よくある質問

期中に売却するときも、減価償却は必要ですか?

売却まで使っていた期間の減価償却を先に行います。その費用を反映してから、売却時点の帳簿価額と売却代金を比べます。

期中売却の月割りは、いつから数えますか?

前期以前から使っている資産なら、当期首から売却までの使用期間が対象です。取得してからの全期間ではなく、まだ当期の費用にしていない期間を確認します。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。