簿記3級 固定資産・減価償却

減価償却とは?買った年に全額を費用にしない理由

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

減価償却は、建物や備品などの取得原価を、使う期間に分けて費用にする仕組みです。

長く使う備品は、買った年だけでなく、その後の年も売上に役立ちます。購入額を最初の年にすべて費用にすると、最初の年だけ負担が大きくなり、翌年以降には対応する費用が残りません。

そこで購入時はいったん資産にし、役立つ期間に少しずつ「減価償却費」へ移します。それぞれの年の収益と、その収益を得るための費用を対応させるためです。

支払いと費用計上を分ける
時点何を記録するか
取得したとき購入代金や付随費用を、建物・備品などの資産にまとめる。
使う期間の決算当期に配分する額を減価償却費にし、資産の帳簿価額を減らす。

減価償却のたびに、現金をもう一度支払うわけではありません。支払ったお金の記録と、何年分の費用にするかの記録は別です。

この配分を毎年同じ額にするのが定額法です。1年分の額を決め、年の途中から使ったときは使用月数に合わせます。計算も仕訳も、「使う期間に費用を分ける」という目的からつながります。

詳しい解説

減価償却

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まずは、この考え方から
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🏪 ストーリー:あなたの店のレジが“少しずつ減る”

あなたが小さなお店を経営していて、会計用のレジ(備品)を 100,000円 で買ったとします。

このレジは、買ったその日だけ使って終わりの使い捨てではありません。これから何年にもわたって毎日お店で働き、売上を生み出し続けてくれる大切な“相棒(売上を生む道具)”です。

さて、ここで少し想像してみてください。

10万円のレジを現金で買った日、あなたはお財布から10万円を支払いました。

人間の感覚だと、「今日、10万円の重い『費用(出費)』がかかったなぁ」と、その日のうちに全額をマイナスとして処理したくなりますよね。

でも、もしその感覚のまま、買った年(1年目)の帳簿に10万円すべてを「費用」として記録してしまったら、一体どうなるでしょうか?

買った年(1年目)

まだ使い始めたばかりなのに、10万円分の出費がズドンと重くのしかかり、今年の利益がガクンと小さく(大赤字に)見えてしまいます。

2年目以降

レジはその後も毎日お店でがんばって売上を出してくれているのに、帳簿上のレジの費用はもうゼロです。そのため、利益がめちゃくちゃ大きく(実力以上に大儲けしているように)見えすぎてしまいます。

これでは、その年ごとの正しい経営成績(どれくらい効率よく稼げたか)がガタガタになってしまい、自分でも本当に商売がうまくいっているのかどうか分からなくなってしまいます。

💡 だから「減価償却(げんかしょうきゃく)」が必要!

減価償却を一言でいうと、「固定資産は、使った年に、使った分だけを費用にする」という仕組みです。

買ったタイミングだけで利益が大きくぶれないように、毎年の売上と、それを支えてくれた道具の費用を公平にペア(対応)にするための、とても優しい知恵なのです。

🧐 でも待って、「使った分」ってどうやって測るの?

ここで誰もが「レジがどれくらい減ったかなんて、目に見えないのにどうやって計算するの?」と疑問に思いますよね。

実は、簿記の世界では「今年はたくさんボタンを押したから多めに減らそう」といった細かいことはしません。そんなことをしたら、人によって計算がバラバラになってしまいます。

そこで、「このレジはこれから5年使う予定だから、毎年きれいに5等分して、同じ金額ずつ価値が減っていくことにしよう!」と、あらかじめシンプルな定規(ルール)を決めて計算します。

10万円を5年で割るから、1年あたり 20,000円 ずつ。

100,000円 ÷ 5年 = 20,000円

この「毎年同じ金額ずつ減らす」という計算方法を、のちほど詳しく学ぶ定額法と呼びます。

さらに、「もし年の途中の7月にレジを買ったらどうするの?」という問題も出てきます。7月に買ったなら、最初の年は12ヶ月のうち「7月から12月までの6ヶ月間」しか使っていませんよね。
丸1年フルに使っていないのに、他の年と同じように「一年分の20,000円」まるごと費用にするのは、どう考えても不公平です。

だから、最初の年だけは、使った月数の分だけをきっちり計算(月割計算)してあげます。
今回だと6ヶ月しか使っていないので、最初の年の費用は以下の内容になります。

20,000円 × 6ヶ月/12ヶ月 = 10,000円

このように、減価償却の計算はまったく難しく考える必要はありません。要するに、

① まず「その資産を1年間使ったら、いくら分を費用にするのが公平か」を、使う予定の年数で割って決める。

② あとは「今年は何か月使ったか」を数えて、その分だけ費用にする。

たったこれだけです。

まるでスマホの料金や月額のサブスクのように、「自分たちが使った期間の分だけをピッタリ費用にする」という、誰にでも納得できる理にかなった計算ルールなのです。

よくある質問

固定資産を買った年に、全額を費用にしないのはなぜですか?

建物や備品は、その後の年の売上にも役立つからです。購入時はいったん資産にし、使う期間に分けて費用にすることで、それぞれの年の収益と対応させます。

減価償却をすると、その分だけ現金が減りますか?

減価償却の仕訳で現金をもう一度支払うわけではありません。取得時の支払いとは別に、取得原価のうち当期に対応する分を費用へ移す処理です。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。