簿記3級 決算・帳簿・財務諸表

決算整理とは?必要な理由と決算の流れをわかりやすく解説

決算整理は、期中の記録を正しいB/S・P/Lに直すための処理です。

先に結論

決算整理は、期中の記録を正しいB/S・P/Lに直すための処理です。

簿記3級では、用語の意味を丸暗記するよりも、取引の流れとホームポジションを結びつける方が安定します。

減価償却、貸倒引当金、経過勘定はどれも決算日時点の正しい金額に直す作業です。

なぜ間違えるのか

「決算整理」の判断基準を後回しにする

決算整理は、期中の記録を正しいB/S・P/Lに直すための処理です。この結論を先に置かずに問題文を読むと、似た用語や勘定科目に引っ張られやすくなります。

「決算整理」を単語だけで覚える

減価償却、貸倒引当金、経過勘定はどれも決算日時点の正しい金額に直す作業です。名前の意味だけで覚えるより、取引の流れの中でどこに置くかを確認する方が実戦で使いやすくなります。

決算の目的を見失う

減価償却、貸倒引当金、経過勘定はどれも決算日時点の正しい金額に直す作業です。決算整理や帳簿処理は、期中の記録を正しいB/S・P/Lへ直す作業として見ると混乱しにくくなります。

決算整理を教科書の流れで解説

ここからは、effbokiの実際の教科書を使って解説していきます。

2 P/Lグループの帳簿の締切

まずは、P/Lグループの帳簿の締切から見ていきます。
では、具体的にどうやって「リセット」し、「利益を移動」させるのか?
そのために行うのが、以下の2つの決算振替仕訳です。

決算振替仕訳①:費用・収益の残高を、「損益」勘定に移す
目的:

各収益勘定と各費用勘定の残高をすべて「損益勘定」という集計勘定に移動させ、残高をゼロにします。

結果:
  • 各収益勘定各費用勘定残高ゼロになります(=帳簿の締切
  • 損益勘定に収益と費用の残高が集められることで、結果的に損益勘定には収益と費用の差額(=当期純利益)だけが残ります
具体的な手順

下の2つの決算振替仕訳を切ることで、費用・収益の残高を「損益」勘定に集めます。

仕訳① 各費用勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「費用」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 費用のホームは「左」なので、「右(貸方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の左側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
××
××
仕訳② 各収益勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「収益」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 収益のホームは「右」なので、「左(借方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の右側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
××
××
決算振替仕訳②:「損益」勘定の残高を、「繰越利益剰余金」勘定に移す
目的:

損益勘定で計算された当期純利益を純資産の「繰越利益剰余金勘定」に移動させ、損益勘定の残高をゼロにします。

結果:
  • 損益勘定残高ゼロになります(帳簿の締切)
  • 繰越利益剰余金勘定(純資産)に当期純利益が移動される。
  • これにより実質的に、「1年間で稼いだ分(P/L)」が「会社の財産(B/S)」に積み上がるのです。
具体的な手順

下の決算振替仕訳を切ることで、損益勘定の残高を「繰越利益剰余金」勘定へ移します。

仕訳③ 損益勘定の残高を繰越利益剰余金勘定に移す
  • 目的: 確定した利益を、純資産(自分の財産)に加える。
  • 方法: 「損益」勘定に残っている差額(利益)を、B/Sの「繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)」へ移動させます。
💡 実際の決算振替仕訳
××
××
! 超重要:「利益」が「財産」に変わる瞬間

ここで、多くの初学者が勘違いしやすい「タイミング」について解説します。
皆さんは、「商品を売って利益が出た瞬間」に、純資産(繰越利益剰余金)が増えていると思っていませんか?
実は、まだ増えていません。
「当期純利益」が「繰越利益剰余金(純資産)」に移動するのは、この「仕訳③」を切った瞬間だけなのです。

図解:当期純利益が純資産に入るタイミング
期末日
会計期間の区切り日
ここから決算作業がスタート!
Step 1: 決算整理前試算表の作成
まずは集計!1年間の仕訳に「転記ミス」がないかチェックする。
※3種類の試算表でチェックする
Step 1.5: 未処理事項の整理
「忘れてた!間違えてた!」という人間的なミスを直す。
※記帳漏れや誤りを修正し、スタートラインを整える
Step 2: 決算整理
ミスではなく、ルールの適用による「ズレ」を直して、真実の数字に磨き上げる!
※在庫計算や減価償却など、7つの項目において数字を磨き上げる
Step 3: 決算整理後試算表の作成
決算整理の結果に計算ミスがないか、最終チェック!
※ここでズレがないことを確認する
Step 4: 帳簿の締切
P/Lをリセットして、今年の利益をB/S(貯金)へ移す!
※ここが簿記のクライマックス!
財務諸表の完成
B/S・P/Lが完成
経営成績と財産が見える化

当期純利益が純資産(繰越利益剰余金)へ移動するのは、Step 4「帳簿の締切」で決算振替仕訳を切ったタイミングです。
つまり、Step 3「決算整理後試算表の作成」の段階では、まだ純資産(繰越利益剰余金)に当期の利益(当期純利益)は入っていません。

  • 決算整理後 試算表(T.B.)の段階:
    まだ「繰越利益剰余金」は去年のままの数字です。当期の利益はまだ含まれていません。
  • 決算振替仕訳(仕訳③)の瞬間:
    ここで初めて、収益と費用の差額が「純資産」の箱に注ぎ込まれます。
    この瞬間、当期の利益が「会社の財産」に確定します。
✅ 【結論】

この「決算振替仕訳」こそが、P/L(今年の成績)からB/S(会社の財産)へバトンが渡される、唯一の架け橋なのです。
だから、この仕訳を忘れると、いくら稼いでもB/Sの純資産は増えないままになってしまいます。

※繰越利益剰余金はいくら?という引っ掛け問題が非常に多いです。聞かれたタイミングによって今年の利益を入れた数字なのか、去年までの繰越利益剰余金の金額でいいのか引っ掛けになるので気をつけてください。
4 図解で流れを理解

勘定の振り替えイメージ(決算振替仕訳)

100%
費用の勘定(例)
決算整理仕訳直後の勘定は以下の通りになっていることが多いです。
支払利息
諸口 2,000
諸口 500
借方合計 2,000 貸方合計 500
差額:借方残高 1,500
仕入
諸口 25,000
諸口 5,000
借方合計 25,000 貸方合計 5,000
差額:借方残高 20,000
これを以下ではこのように表します。
支払利息
残高 1,500
仕入
残高 20,000
合計 21,500
収益の勘定(例)
決算整理仕訳直後の勘定は以下の通りになっていることが多いです。
受取利息
諸口 200
諸口 1,200
借方合計 200 貸方合計 1,200
差額:貸方残高 1,000
売上
諸口 5,000
諸口 30,000
借方合計 5,000 貸方合計 30,000
差額:貸方残高 25,000
これを以下ではこのように表します。
受取利息
残高 1,000
売上
残高 25,000
合計 26,000
借方残高を損益の借方へ
決算振替仕訳①
(損益)1,500 (支払利息)1,500
(損益)20,000 (仕入)20,000
貸方残高を損益の貸方へ
決算振替仕訳①
(受取利息)1,000 (損益)1,000
(売上)25,000 (損益)25,000
損益
損益
支払利息 1,500
仕入 20,000
受取利息 1,000
売上 25,000
借方合計 21,500
貸方合計 26,000
差額:貸方残高 4,500

借方合計(当期の費用の合計)と貸方合計(当期の収益の合計)の差額(26,000-21,500=4,500)は当期純利益となる。
※貸方に残額が出た場合(費用<収益)は「当期純利益」
借方に残高が出た場合(費用>収益)は「当期純損失」となる。
尚、この差額は決算振替仕訳によって繰越利益剰余金(純資産に持っていく)

支払利息
残高 1,500
損益勘定 1,500
借方合計1,500 貸方合計1,500
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)
仕入
残高 20,000
損益勘定 20,000
借方合計20,000 貸方合計20,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)

決算振替仕訳をすることで、費用勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=費用勘定の帳簿の締切)

受取利息
損益勘定 1,000
残高 1,000
借方合計1,000 貸方合計1,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)
売上
損益勘定 25,000
残高 25,000
借方合計25,000 貸方合計25,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)

決算振替仕訳をすることで、収益勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=収益勘定の帳簿の締切)

決算振替仕訳②
(損益)4,500 (繰越利益剰余金)4,500
損益
損益
支払利息 1,500
仕入 20,000
繰越利益剰余金 4,500
受取利息 1,000
売上 25,000
借方合計 26,000
貸方合計 26,000

決算振替仕訳をすることで、損益勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=損益勘定の帳簿の締切)

繰越利益剰余金(純資産)
 

繰越利益剰余金には、決算振替仕訳によって、
前期繰越(前期から繰り越してきた今までの利益の蓄積)に当期純利益(当期新たに生み出した利益)が加算された金額になります。
繰越利益剰余金は純資産(B/S項目)なので、期末でいったん締める必要がなく、翌期へそのまま繰り越してOKです(貸借が揃わなくても問題ありません)。

5 締切後の費用収益勘定の例

流れは大体つかめましたか?
決算振替仕訳を行うと、各勘定の借方と貸方が一致し、残高ゼロになります。
ここからは、実際に試験で出てくる勘定の形で、締切後の各勘定がどのようになっているのかを復習がてら確認していきましょう。

費用の例(締切後)

決算振替仕訳で貸方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

収益の例(締切後)

決算振替仕訳で借方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

損益の例(締切後)

収益と費用を集めた結果、損益勘定も借方=貸方にそろい、残高はゼロになります。

教科書で前後の流れまで確認

この続きは教科書で確認できます

この記事では、effboki教科書の中から「決算整理」の考え方を記事向けに整理しました。教科書本編では、簿記についてもっと体系的に、点ではなく繋がりで確認できます。

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