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0. 簿記の流れの確認
今までの復習

決算に入る前に、簿記の全体の流れをもう一度確認します。

日々の活動 (商品を売った、備品を買った) 簿記の技術 ① 仕訳:日々の記録をつける 仕訳帳という帳簿に仕訳を記入 最重要! ② 転記:項目ごとに集計する 総勘定元帳という帳簿に仕訳を転記(書き写す) ③ 決算整理前試算表を作成する 帳簿に記録された一年分の取引は膨大な量になるので、結果(例:一年間の売上合計は いくらか)を試算表という一覧表にして、集計ミスがないかチェックします。 ④ 決算整理をする 各項目の中で修正する必要のある項目を修正する (未処理事項の整理/決算整理仕訳) ⑤ 決算整理後試算表を作成する 決算整理した後に再度試算表を作成して ミスがないかチェックします。 ⑥ 帳簿の締切 ⑤を作成して数値にミスがないことを確認した後に、帳簿を締めて、 当期と次期の区切りをつけます(決算振替仕訳) 最終ゴール(財務諸表の作成) 貸借対照表 B/S (会社の財産を表す表) 損益計算書 P/L (会社の経営成績を表す表)

ここからは「決算」について学んでいきます。決算を細かくやっていくので、流れをしっかり押さえてください。

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1. 導入(フック & Why)
最小結論(この単元のゴール)

決算とは、1年に1回「①ズレを直して正しい成績を出す」ことと、「②P/L(成績表)をゼロにリセットして、利益をB/S(貯金)に移す」手続きのことである。

🏃 ストーリー導入:「マラソン大会」と「記録のリセット」

あなたはプロのマラソンランナー(会社)です。
毎日毎日、走り続けています(日々の取引)。

しかし、もし「ゴール(区切り)」がなかったらどうでしょうか?
「今、何キロ走ったか」「タイムは良いのか悪いのか」が永遠にわかりませんよね。これでは目標も立てられません。
だら、会社は「1年」という区切り(会計期間)を設けます。

3月31日、ゴールテープを切った瞬間にやることが2つあります。

①タイムの確定(成績発表)
「今年は〇〇時間で走れた!(利益が出た)」と確定させる。
②記録のリセット(次への準備)
次のレース(来期)も、去年のタイムの続きから走りますか? 走りませんよね。タイマーを「00:00」に戻してスタートラインに立ちます。

この「成績確定」と「タイマーのリセット」こそが、簿記における決算の正体です。

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2. 全体像(俯瞰図・構造マップ)

決算は、だらだらやるのではなく、厳密なステップで進みます。
いきなり修正するのではなく、「まずミスを直してから、調整に入る」のが鉄則です。

決算の5ステップ・マップ

期末日
会計期間の区切り日
ここから決算がスタート
Step 1: 決算整理前試算表の作成
まずは集計!ミスがないかチェック!
※3種類の試算表でチェックする
Step 1.5: 未処理事項の整理
「忘れてた!間違えてた!」を直す
※記帳漏れや誤りを修正し、スタートラインを整える
Step 2: 決算整理
ズレを直して、真実の数字にする!
※在庫計算や減価償却など、7つの項目で数字を磨き上げる
Step 3: 決算整理後試算表の作成
決算整理の結果を最終チェック!
※ここでズレがないことを確認する
Step 4: 帳簿の締切
P/Lをリセットして、B/Sに利益を貯金する!
※ここが簿記のクライマックス!
財務諸表の完成
B/S・P/Lが完成
経営成績と財産が見える化
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3. Step 1:決算整理前試算表(T.B.)でのチェック

日々の仕訳と転記が終わったら、まずは「決算整理前試算表」を作成します。決算整理前試算表を 英語でTrial Balance(トライアル・バランス)、略してT.B.と呼びます。

目的: 仕訳や転記にミスがないか確かめるため。
決算整理前試算表は決算が行われる期末には必ず作成しますが、実務では少なくとも毎月末には作成しています。作成期間が短いほど誤りが早く発見できるからです。
仕組み: 全ての勘定科目の「借方合計」と「貸方合計」を集計します。
ルール: 複式簿記の魔法により、ミスがなければどの試算表も必ず「借方合計 = 貸方合計」になります。もしズレていれば、どこかで書き間違えています。
※貸借平均の原理:
複式簿記において、借方と貸方の金額が常に一致していると言う決まりのことを言います。仕訳では借方と貸方の金額が一致していますから、仕訳、勘定、そしてそれを集計した試算表においても借方と貸方の金額が一致するという原理。

・決算整理前試算表の3つの種類

種類 特徴 目的
① 合計試算表 借方と貸方の「総額(合計)」を書く。 転記漏れや計算ミスがないかチェックするのに最適。
② 残高試算表 借方と貸方の差額である「残高(いま幾らか)」だけ書く。 B/SやP/Lを作る直前の形。実務で一番よく使う。
③ 合計残高試算表 合計と残高の「両方」を書く。 情報量は多いが、作るのが大変。
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4. Step 1.5:未処理事項の整理(ミスの修正)

決算整理前試算表ができたら、すぐに決算整理!……ではありません。
その前に、「やるべきことをやっていなかった(未処理)」ものを片付ける必要があります。
決算整理前試算表を作ってみて、「あ!この取引を記帳し忘れてた!」「金額を間違えてた!」と気づくことがあります。
決算整理に入る前に、まずは「当たり前の記録」を完璧にしなければなりません。 これを「未処理事項」と呼びます。

取引の記帳漏れ
忘れていた取引を追加で仕訳する。
記録の誤り
間違った仕訳を修正する(訂正仕訳)。
【鉄則】
この「未処理事項」を修正して初めて、正しい決算整理に進むことができます。
「マイナスをゼロに戻す作業」だと思ってください。
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5. Step 2:決算整理(ズレの修正)

ミスを直したら、いよいよ「数字を磨き上げる(価値を修正する)」作業に入ります。 これが「決算整理仕訳」です。
これは「ミス」ではなく、「時間の経過やルールの適用」によって発生するズレを直す作業です。

本質的には
  • 「今年の費用は今年のものに、今年の収益は今年のものに揃える(帳尻合わせ)」
  • 「価値が上がったり下がったりしているものがあれば、正しい価値に直す」
    (持っていた株が値上がりしていたら、その分資産は増えるので資産を増やして現時点の正しい価値に合わせてあげる)

をしているだけです。

1 3級で学ぶ決算整理事項(7つの帳尻合わせ・価値合わせ)
決算整理項目 目的(結局何をしているのか?)
① 売上原価の算定 費用を今年の費用だけに揃える。
仕入れたけど、まだ売れ残っている在庫を今年の費用から引く。
(しーくり・くりしー)
② 現金過不足 帳簿を事実に合わせる。
帳簿と実際の現金が合わない場合、原因不明分を「雑損・雑益」で調整する。
③ 貸倒れの見積もり 費用を今年の費用に揃える。
「返ってこないかも…」というリスク(貸倒引当金)を、今年の費用にする。
④ 減価償却 費用を今年の費用に揃える。
建物や車が「1年使って古くなった価値」を計算して、今年の費用にする。
⑤ 貯蔵品の振替 費用を今年の費用に揃える。
使いきれずに余った切手などを費用から、”貯蔵品”という資産にして繰り越す。
⑥ 当座借越 負債の場所を正しくする。
当座預金のマイナス分を「当座借越(借入金)」という負債に直す。
⑦ 経過勘定項目 費用・収益を今年のものに揃える。
前払いや未払いなど、期間のズレを調整する。
💄 【イメージ:化粧直し】

Step 1.5で顔を洗って(ミス修正)、Step 2でメイク(価値修正)をして、正しい姿(財務諸表)に整える作業です。

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6. Step 3:決算整理後試算表の作成

決算整理が終わったら、もう一度試算表を作成して数字のズレがないか最終チェックします。これが「決算整理後試算表」です。

目的: 決算整理仕訳の漏れ・誤りを見つけるため。
確認ポイント: 借方合計 = 貸方合計になっているか。

ここでOKなら、次の帳簿の締切(決算整理振替)に進みます。

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7. Step 4:帳簿の締切(決算振替・繰越)

いよいよ、簿記のクライマックスです。
ここでは「決算振替仕訳」という手続きを行います。
まず、簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)は、決算日を迎えると「2つの異なる運命」をたどることを知ってください。

1 グループごとの「運命」の違い

決算日(3月31日)の夜、それぞれのグループはどうなるのでしょうか?

① P/Lグループ(収益・費用)の運命 ➡ 「リセット(ゼロになる)」

P/Lは「1年間の成績表」です。
来年の4月1日になったら、売上はまたゼロからスタートしなければなりません。(去年の売上を引きずっていたら、今年の頑張りがわかりませんよね?)

やること①: 決算振替仕訳①
・各収益勘定と各費用勘定の残高をすべて「損益勘定」という集計勘定に移動させ、残高をゼロにします。

結果:
・各収益勘定と各費用勘定の残高はゼロになります(=帳簿の締切)
・損益勘定に収益と費用の残高が集められることで、結果的に損益勘定には収益と費用の差額(=当期純利益)だけが残ります。

やること②: 決算振替仕訳②
・損益勘定で計算された当期純利益を純資産の「繰越利益剰余金勘定」に移動させ、損益勘定の残高をゼロにします。

結果:
・損益勘定の残高はゼロになります(帳簿の締切)
・繰越利益剰余金勘定(純資産)に当期純利益が移動される。
これにより実質的に、「1年間で稼いだ分(P/L)」が「会社の財産(B/S)」に積み上がるのです。
② B/Sグループ(資産・負債・純資産)の運命 ➡ 「繰り越し(続く)」

B/Sは「財産目録」です。
3月31日に決算が終わっても、金庫の現金や借金は消えません。翌朝4月1日にもそのまま残っています。

やること: 決算振替仕訳は不要。(残高を他の勘定に移動させる(=振替)する訳ではないため。)
・残高をゼロにしてリセットせず、そのまま来年の帳簿に残高を「繰り越し」ます。
補足(初学者向け):
帳簿の締切は、P/Lグループを先に締めてから、B/Sグループを締めるのが基本です。
これは、P/Lで計算された当期純利益を、B/Sの純資産(繰越利益剰余金)へ移す必要があるためです。
2 plグループの帳簿の締切

では、具体的にどうやって「リセット」し、「利益を移動」させるのか?
そのために行うのが、以下の3つの決算振替仕訳です。

決算振替仕訳①:費用・収益の残高を、「損益」勘定に移す

各費用勘定を損益勘定に移す

目的: 今年の「費用」勘定をゼロにする(リセット)。
方法: 費用のホームは「左」なので、「右(貸方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の左側に移します。

実際の決算振替仕訳
××
××
例:
100
100

各収益勘定を損益勘定に移す

目的: 今年の「収益」勘定をゼロにする(リセット)。
方法: 収益のホームは「右」なので、「左(借方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の右側に移します。

実際の決算振替仕訳
××
××
例:
100
100
決算振替仕訳②:「損益」勘定の残高を、「繰越利益剰余金」勘定に移す

目的: 確定した利益を、純資産(自分の財産)に加える。
方法: 「損益」勘定に残っている差額(利益)を、B/Sの「繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)」へ移動させます。

実際の決算振替仕訳
××
××
⚠️ 超重要 「利益」が「財産」に変わる瞬間

ここで、多くの初学者が勘違いしやすい「タイミング」について解説します。
皆さんは、「商品を売って利益が出た瞬間」に、純資産(繰越利益剰余金)が増えていると思っていませんか?
実は、まだ増えていません。
「当期純利益」が「繰越利益剰余金(純資産)」に移動するのは、この「仕訳②」を切った瞬間だけなのです。

  • 決算整理後 試算表(T.B.)の段階:
    まだ「繰越利益剰余金」は去年のままの数字です。当期の利益はまだ含まれていません。
  • 決算振替仕訳(仕訳③)の瞬間:
    ここで初めて、収益と費用の差額が「純資産」の箱に注ぎ込まれます。
    この瞬間、当期の利益が「会社の財産」に確定します。
【結論】
この「決算振替仕訳」こそが、P/L(今年の成績)からB/S(会社の財産)へバトンが渡される、唯一の架け橋なのです。
だから、この仕訳を忘れると、いくら稼いでもB/Sの純資産は増えないままになってしまいます。
繰越利益剰余金はいくら?という引っ掛け問題が非常に多いです。聞かれたタイミングによって今年の利益を入れた数字なのか、去年までの繰越利益常勤の金額でいいのか引っ掛けになるので気をつけてください
3 【復習と深掘り】あの時の「矢印」の正体

以前、「B/S・P/L、勘定、仕訳」の単元で、「B/SとP/Lの関係(利益のゆくえ)」という図解を見たのを覚えていますか?

【以前のイメージ図の復習】
  • P/Lで計算された「当期純利益」が、矢印でB/Sの「純資産」に合流する。
  • これによって、B/Sの貸借がピタッと一致する。
復習( B/SとP/Lの関係(利益のゆくえ))

P/Lで計算された「当期純利益」は、最終的にB/Sの「純資産」に合流します。
純資産は、「元手(資本金)」と「過去の利益の蓄積(利益剰余金)」の2階建て構造になっています。

貸借対照表 (B/S) 資産 負債 純資産 資本金(元手) 利益剰余金(利益の蓄積) 損益計算書 (P/L) 費用 当期純利益 収益 ここに合流!
P/Lで計算された当期純利益は、最終的に純資産の「利益の蓄積(利益剰余金)」の欄に持っていきます。
🤔 初学者のギモン 利益を足したら、B/Sのバランスが崩れませんか?

「純資産(右側)だけ増えて、左側と合わなくなるのでは?」と心配になるかもしれません。
大丈夫です。利益が出ているということは、その分だけ「資産(現金など)」も増えているからです。

上:B/Sの変化(合計の見え方)
① 期首B/S
貸借対照表
資産 (100)
負債 (40)
純資産 (60)
借方合計: 100 / 貸方合計: 100
経済活動
100円の商品を130円で売る
② 期末B/S(利益未振替)
貸借対照表
資産 (130)
負債 (40)
純資産 (60)
借方合計: 130 / 貸方合計: 100
一致しない
P/Lの利益を
純資産へ
③ 期末B/S
貸借対照表
資産 (130)
負債 (40)
純資産 (90)
借方合計: 130 / 貸方合計: 130
一致した!
当期純利益30を純資産に入れる
損益計算書(黒字)
費用 (100)
当期純利益 (30)
収益 (130)

当期純利益30を純資産に入れると、期末B/Sの貸借がピタッとそろいます。

あの時は、仕組みを直感的に理解してもらうために、あえて簡易的に「P/LからB/Sへ利益が飛んでいく」とお話ししました。
しかし、ここまで「決算」を学んだ皆さんなら、あの矢印の「本当の正体」が分かるはずです。

POINT 「矢印」の正体は「決算振替仕訳」だった

図解では自動的に利益が移動しているように見えましたが、実際には勝手に移動するわけではありません。この仕訳こそが、あの矢印の実体です。

POINT 「純資産」の正体は「繰越利益剰余金」だった

正確には「繰越利益剰余金」という専用の勘定科目に入ります。今までの利益を蓄積させて貯めておく場所です。

POINT 「P/L」の正体は「損益勘定」だった

以前は「P/Lの利益」としていましたが、正確には、決算の時だけ登場する「損益」勘定で計算された差額のことです。

【まとめ:レベルアップした理解】
以前の簡易的な理解 今回の詳細な理解(プロの視点)
P/Lの利益が… 「損益」勘定で計算された差額(当期純利益)を…
勝手に移動して… 「決算振替仕訳」を切ることで…
B/S의 純資産に入る。 「繰越利益剰余金」勘定(純資産)へ移動させる。

この「決算振替仕訳」は、B/SやP/L(財務諸表)を作成する「直前」に行われます。
この手続きを経ることで、初めて「当期純利益が含まれた正しい繰越利益剰余金」になり、B/Sが完成するのです。

4 図解で流れを理解

勘定の振り替えイメージ(決算振替仕訳)

費用の勘定(例)
決算整理仕訳直後の勘定は以下の通りになっていることが多いです。
支払利息
諸口 2,000
諸口 500
借方合計 2,000 貸方合計 500
差額:借方残高 1,500
仕入
諸口 25,000
諸口 5,000
借方合計 25,000 貸方合計 5,000
差額:借方残高 20,000
これを以下ではこのように表します。
支払利息
残高 1,500
仕入
残高 20,000
合計 21,500
収益の勘定(例)
決算整理仕訳直後の勘定は以下の通りになっていることが多いです。
受取利息
諸口 200
諸口 1,200
借方合計 200 貸方合計 1,200
差額:貸方残高 1,000
売上
諸口 5,000
諸口 30,000
借方合計 5,000 貸方合計 30,000
差額:貸方残高 25,000
これを以下ではこのように表します。
受取利息
残高 1,000
売上
残高 25,000
合計 26,000
借方残高を損益の借方へ
決算振替仕訳①
(損益)1,500 (支払利息)1,500
(損益)20,000 (仕入)20,000
貸方残高を損益の貸方へ
決算振替仕訳①
(受取利息)1,000 (損益)1,000
(売上)25,000 (損益)25,000
損益
損益
支払利息 1,500
仕入 20,000
受取利息 1,000
売上 25,000
借方合計 21,500
貸方合計 26,000
差額:貸方残高 4,500

借方合計(当期の費用の合計)と貸方合計(当期の収益の合計)の差額(26,000-21,500=4,500)は当期純利益となる。
※貸方に残額が出た場合(費用<収益)は「当期純利益」
借方に残高が出た場合(費用>収益)は「当期純損失」となる。
尚、この差額は決算振替仕訳によって繰越利益剰余金(純資産に持っていく)

支払利息
残高 1,500
損益勘定 1,500
借方合計1,500 貸方合計1,500
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)
仕入
残高 20,000
損益勘定 20,000
借方合計20,000 貸方合計20,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)

決算振替仕訳をすることで、費用勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=費用勘定の帳簿の締切)

受取利息
損益勘定 1,000
残高 1,000
借方合計1,000 貸方合計1,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)
売上
損益勘定 25,000
残高 25,000
借方合計25,000 貸方合計25,000
決算振替仕訳によって残高が釣り合った(ゼロになった)

決算振替仕訳をすることで、収益勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=収益勘定の帳簿の締切)

決算振替仕訳②
(損益)4,500 (繰越利益剰余金)4,500
損益
損益
支払利息 1,500
仕入 20,000
繰越利益剰余金 4,500
受取利息 1,000
売上 25,000
借方合計 26,000
貸方合計 26,000

決算振替仕訳をすることで、損益勘定は借方と貸方がぴったり一致します。
その結果、各勘定の残高はゼロになり、翌期へ持ち越しません。(=損益勘定の帳簿の締切)

繰越利益剰余金(純資産)
 

繰越利益剰余金には、決算振替仕訳によって、
前期繰越(前期から繰り越してきた今までの利益の蓄積)に当期純利益(当期新たに生み出した利益)が加算された金額になります。
繰越利益剰余金は純資産(B/S項目)なので、期末でいったん締める必要がなく、翌期へそのまま繰り越してOKです(貸借が揃わなくても問題ありません)。

5 締切後の費用収益勘定の例

決算振替仕訳を行うと、各勘定の借方と貸方が一致し、残高はゼロになります。
ここでは「締切後の勘定」の実際の姿を、費用勘定・収益勘定・損益勘定それぞれの例で確認しましょう。

費用の例(締切後)

決算振替仕訳で貸方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

支払利息
借方
貸方
4/10 普通預金 600
8/25 未払利息 300
12/05 現金 100
合計 1,000
3/31 損益 1,000
合計 1,000
余白線(斜線)
借方と貸方の行数が違うとき、空欄を「調整」するために引きます。
合計線
記入が終わったら一度区切り、ここで合計金額を書きます。
締切線(二重線)
帳簿を締め切る最後の線。合計金額の下に引きます。
収益の例(締切後)

決算振替仕訳で借方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

受取利息
借方
貸方
3/31 損益 1,200
合計 1,200
4/12 普通預金 500
7/10 未収利息 400
11/18 現金 300
合計 1,200
損益の例(締切後)

収益と費用を集めた結果、損益勘定も借方=貸方にそろい、残高はゼロになります。

損益
借方
貸方
3/31 仕入 500
3/31 給料 400
3/31 支払家賃 300
3/31 通信費 200
3/31 支払利息 100
合計 1,500
3/31 売上 1,000
3/31 受取利息 300
3/31 受取手数料 200
合計 1,500
3 BSグループの帳簿の締切

B/S(資産・負債・純資産)の勘定は、決算後も翌期へ繰り越すのがポイントです。
「次期繰越」と「前期繰越」を書いて、帳簿を整えます。

B/Sグループは、P/Lグループと違って決算振替仕訳はしません。理由はカンタンで、B/Sは「今の時点で持っている財産・借金・元手(ストック)」だからです。
決算振替仕訳は「収益・費用をゼロにして、損益を純資産へ移す」ための手続きなので、B/S項目には必要ありません。
もしB/Sでも決算振替をしてしまうと、現金や借入金などの残高が消えてしまい、翌期のスタートがずれてしまいます。だから、B/Sは仕訳はきらず、勘定上の締切のみ(次期繰越 → 締切線 → 前期繰越)で正しく引き継ぐだけでOKです。

資産の例(現金)

資産の各勘定科目において、残高が借方にあるので、貸方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

現金
借方
貸方
4/1前期繰越2,000
4/05売掛金回収600
6/12売上400
8/20受取利息100
10/03雑収入150
12/18備品売却250
合計3,500
5/15仕入400
11/10給料400
3/31次期繰越2,700
合計3,500
4/1前期繰越3,500
負債の例(買掛金)

負債の各勘定科目において、残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

買掛金
借方
貸方
5/20買掛金支払1,500
11/28買掛金支払1,100
3/31次期繰越3,000
合計5,600
4/1前期繰越3,000
4/08仕入800
6/25仕入600
8/14仕入500
10/02仕入400
12/10仕入300
合計5,600
4/1前期繰越5,600
純資産の例(繰越利益剰余金)

純資産の各勘定科目も負債と同じように残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

繰越利益剰余金
借方
貸方
3/31次期繰越1,500
合計1,500
4/1前期繰越900
3/31損益600
合計1,500
4/1前期繰越1,500
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8. Step 5:実践!決算振替の仕訳