簿記って何? (Introduction to Bookkeeping)
重要度:★★★▼
簿記って何? (Introduction to Bookkeeping)
「帳簿(ちょうぼ)記入(きにゅう)」の略。お金の出入りを記録する技術のこと。
最終ゴールは2つだけ。「いくら儲かったか(成績表)」と「いくら持っているか(財産目録)」を作ること。
導入(フック & Why)
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簿記とは、会社の「家計簿」をつけることであり、最終的に「いくら儲かったか(成績表)」と「いくら持っているか(財産目録)」の2つの報告書を作ることがゴールである。
想像してみてください。あなたは念願のカフェをオープンしました。
毎日、お客さんが来て、コーヒーが売れ、豆を仕入れ、家賃を払います。
しかし、あなたは「メモ(記録)」を一切取っていませんでした。
1年後、あなたはこう思うはずです。
「あれ? 今、手元にお金があるけど、これは儲かったお金なの? それとも銀行から借りたお金だっけ?」
「来月、家賃を払うお金は足りるのかな?」
「この店は、結局うまくいってるの? いってないの?」
記録がないと、「自分の現在地」も「進むべき方向」もわかりません。これでは経営(舵取り)ができませんし、銀行もお金を貸してくれません。
だからこそ、会社には「お金の動きを記録するルール」が必要です。それが「簿記」です。
全体像(俯瞰図・構造マップ)
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まずは、簿記という活動の「地図」を見てみましょう。
簿記は、日々の活動を記録し、最終的に「決算書(財務諸表)」というレポートを作るプロセスです。
簿記の流れ
【簿記の技術(6つのステップ)】
↓ ① 仕訳(最重要):日々の記録をつける
↓ ② 転記:項目ごとに集計する
↓ ③ 試算表作成:集計ミスがないかチェック
↓ ④ 決算整理:ズレを修正する
↓ ⑤ 決算整理後試算表:最終チェック
↓ ⑥ 帳簿の締切:今年を終わらせる
【最終ゴール】
↓ 財務諸表(B/S・P/L)の作成
頻出用語早見表(この単元のキーワード)
この単元では、以下の言葉の「イメージ」だけ掴めればOKです。
| 用語 | 定義(正しい意味) | 意味(ざっくりイメージ) |
|---|---|---|
| 簿記 | 企業の日々の取引を記録・計算・整理する技術のこと。 | お金の「日記帳」兼「家計簿」。 |
| 財務諸表 | 企業の財政状態と経営成績を報告する書類の総称。(決算書とも呼ぶ) | 会社の「健康診断書」や「通知表」。 |
| 貸借対照表 (B/S) |
決算日時点の財産の状態を表す表。 | 決算日に現金がいくらあるか。借金がいくらあるか。 |
| 損益計算書 (P/L) |
一定期間(=会計期間:通常は一年間)の収益・費用・利益を表す表。 | 今年の利益(=収益-費用)はいくら?? |
| 会計期間 | 記録や計算を行う区切りとなる期間。通常は1年(4/1〜3/31など)。 | 「集計の区切り」。 (ここからここまで!の期間) |
| 期首 | 会計期間の始まりの日。(4月1日など) | 「スタート地点」。 |
| 期末 | 会計期間の終わりの日。(3月31日など)。決算日とも言う。 | 「ゴール地点」。 |
| 当期 | 今行っている会計期間(期首から期末まで)。 | 「今年の活動期間」。 |
Step 1:言葉の定義(簿記=帳簿記入)
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「簿記」という言葉は、「帳簿(ちょうぼ)記入(きにゅう)」の真ん中の文字をとった略語だと言われています。
つまり、「ノート(帳簿)に、お金のやり取りを記録(記入)すること」です。
ただし、お小遣い帳のような「お菓子 100円」という単純なメモではなく、会社規模の複雑な取引を誰が見てもわかるように整理するための「世界共通のビジネス言語」とお考えください。
Step 2:簿記の2つの目的(B/SとP/L)
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簿記の目的は、会社の状態を数字でわかるようにすることです。
その目的は大きく2つあります。
- 一定時点(ある日)の財産の状態を明らかにする
- 一定期間(たとえば1年間)のもうけの結果を明らかにする
この2つを数字で示すために、財務諸表を作成します。
代表的な財務諸表が、次の2つです。
- 貸借対照表(B/S):一定時点の財産の状態
- 損益計算書(P/L):一定期間のもうけの結果
貸借対照表(B/S)
:ある日(一定時点)の財産の状態を示す表です。
ふつうは期末(例:3/31)時点の状態をまとめます。
- 今、現金や預金はいくらある?(資産)
- 今、借金はいくらある?(負債)
- 資産から負債を引いた純資産はいくら?
今どれくらい資産がある?
損益計算書(P/L)
:一定期間(会計期間)の経営成績(もうけの結果)を示す表。
たとえば 4/1〜3/31の1年間で、どれだけもうかったかをまとめます。
- この1年間で、売上(収益)はいくら?
- そのために、費用はいくらかかった?
- 結果として、利益(または損失)はいくら?
この1年間でどのくらい収益があった?
Step 3:誰のために作るのか?(利害関係者)
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簿記で作った「決算書」は、誰が見るのでしょうか? これを利害関係者(ステークホルダー)と呼びます。
| 相手 | 何を見たい?なぜ見たい? |
|---|---|
| 経営者(自分) | 儲けと財産 経営判断をするため。「来年はもっと広告を出そうか?」など。 |
| 銀行(債権者) | 返済能力 「お金を貸しても、ちゃんと返してくれる会社かな?」 |
| 税務署 | 正しい利益 「儲けをごまかしてないかな? 正しい税金を払ってね。」 |
| 出資者(株主) | 将来性 「この会社にお金を出して(株を買って)損しないかな?」 |
Step 4:簿記の種類(商業簿記 vs 工業簿記)
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簿記には大きく分けて2つの種類があります。初級・3級で学ぶのは「商業簿記」です。
商業簿記(3級)
小売業・商社など
商品を「仕入れて売る」業種。計算がシンプル。
※まずはここから!
工業簿記(2級)
製造業(メーカー)
材料を買って「加工して(作って)売る」業種。
「いくらで作れたか(原価計算)」が必要になる。
Step 5:単式簿記と複式簿記(簿記の最大の発明)
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ここがこの単元で一番面白いところです。簿記には記録方法が2つあります。
1 単式簿記(たんしきぼき)
いわゆる「お小遣い帳」や「家計簿」です。
現金の増減は分かりますが、「商品」の管理ができません。
もし仕入や返品、そして商品の売上を繰り返した場合、『今、手元にいくら分の商品があるのか?』が帳簿を見てもパッと分からなくなってしまいます。
2 複式簿記(ふくしきぼき)
これが私たちが学ぶ簿記です。
- 側面1: 現金という資産が1,000円減った。
- 側面2: 商品という資産が1,000円増えた。
- 側面1: 現金という資産が100万円増えた。
- 側面2: 借金という負債が100万円増えた。
このように、どんな取引も「2つの側面」を持っています。
1つの取引に対して、片方だけでなく両側面から記録するのが複式簿記です。
これにより、単にお金の動きだけでなく、「なぜ動いたか」「今どうなっているか」を立体的に捉えることができます。
これこそが、世界中で単式簿記ではなく複式簿記が採用されている理由であり、簿記の最大の発明と言われるゆえんです。
3 これからの勉強と複式簿記
①「2つの側面」と「5要素(5つのグループ)」のつながり
複式簿記は「1つの取引を2つの側面から記録する」と言います。
この“2つの側面”は、もっと分かりやすく言うと 「5要素(資産・負債・純資産・費用・収益)という5つのグループのうち、どこがどう動いたか」 という見方です。
取引が起きると、必ず会社の状態(=財産やもうけの計算)に変化が出ます。
その変化は、5つのグループの中で、最低でも2つが同時に動く形で表れます。
- 資産(現金)が減る
- 資産(商品)が増える
つまり、「2つの側面」とは、“どのグループが増えて、どのグループが減ったか(または増えたか)をセットで見る”ということです。
次のStep6では、この“5つのグループ(5要素)”を先に覚えて、取引を整理しやすくします。
②「同時に記録する」って、どうやってやるのか?
では、1つの取引で動いた2つ(以上)のグループを、どうやって同時に記録するのでしょうか。
そのためのルールが 「仕訳」 です。
仕訳は、取引を
の2か所に分けて書き、動いた要素を同時に記録する方法です。
次のStep7では、
- どの要素が「借方」になりやすいのか
- どの要素が「貸方」になりやすいのか
- 取引を見た瞬間に、左右に振り分けるコツ
を練習していきます。
Step 6:簿記の5要素(5つのグループ)
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すべての取引は、最終的に以下の5つのグループ(要素)のどれかに分類されます。
「どの箱に入るかな?」と仕分けるための、5つの専用ボックスだと思ってください。
-
① 資産 (Assets)現金、建物、商品など。
会社が持っている「プラスの財産」。 -
② 負債 (Liabilities)借入金、未払金など。
将来払わないといけない「マイナスの財産(借金)」。 -
③ 純資産 (Net Assets)資本金など。
返さなくていい「会社の元手」。資産から負債を引いた残り。
-
④ 収益 (Revenue)売上、受取利息など。
会社に入ってくる「儲けのもと」。 -
⑤ 費用 (Expenses)仕入、給料、家賃など。
収益を得るために使った「コスト」。
5つのグループは、あくまで「チーム分け」です。
実際に帳簿に書くときは、もっと具体的な「名前(ラベル)」を使います。
これを「勘定科目」と呼びます。
※次の単元で、どんな勘定科目があるか詳しく見ていきます!
今は「5つのグループの中にも、具体的な名前(勘定科目)があるんだな」というイメージだけでOKです。
簿記の世界には、この5人しか登場人物がいません。
どんなに複雑な取引でも、必ずこの5人の誰かが増えたり減ったりしています。
まずは「これは資産かな? 費用かな?」と区別できるようになることが第一歩です。
Step 7:仕訳(しわけ)とは
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いよいよ簿記の核心、「仕訳」のルールです。
仕訳とは、取引を「借方(左)」と「貸方(右)」に振り分ける作業のことです。
最強のルール:ホームポジション
5つの要素には、それぞれ「定位置(ホームポジション)」が決まっています。
これがすべての基本になります。この図だけは絶対に覚えてください!
- 要素が増えた(発生した)ときは、「ホームポジション(定位置)」に書く。
- 要素が減った(取り消した)ときは、「逆側(反対側)」に書く。
- 左右の金額の合計は、必ず一致する。
実践:仕訳を作ってみよう
例:商品を現金 100円で仕入れた(買った)。
思考プロセス:
- 「商品」という資産が増えた → 資産のホームは左(借方) → 左に「商品 100」
- 「現金」という資産が減った → 資産の逆は右(貸方) → 右に「現金 100」
これが「仕訳」の完成形です!