簿記の5要素 (The 5 Elements of Bookkeeping)
重要度:★★★▼
簿記の5要素 (The 5 Elements of Bookkeeping)
会社の活動を分類する「資産・負債・純資産・収益・費用」の5つの箱のこと。
どんなに複雑な取引も、必ずこの5つのどれかに入る。例外はない。
導入(フック & Why)
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会社のあらゆる活動は、最終的に「資産・負債・純資産・収益・費用」という5つの箱(グループ)のどれかに分類されることを理解する。
あなたの部屋が散らかっているとします。片付けるためには、収納ボックスにラベルを貼って仕分ける必要がありますよね。
「衣類」「本」「文房具」……。
簿記も全く同じです。
会社の中で日々発生する「商品を売った」「ペンを買った」「借金をした」という大量の出来事(取引)を、たった5つのボックスに放り込んで整理する。これが簿記の正体です。
どんなに複雑な取引も、必ずこの5つのどれかに入ります。例外はありません。
この「5つの箱」の名前と中身さえ覚えれば、あなたはもう簿記の半分を理解したも同然です。
全体像(俯瞰図・構造マップ)
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まずは、なぜ5つに分けるのか、そしてなぜB/S・P/Lには決まった要素しか載らないのか、構造を整理しましょう。
1 なぜ5要素に分けるのか
会社で起きる変化は、突き詰めると次の2種類しかありません。
- いま何がどれだけ残っているか(財産の状態)
- この期間でどれだけ増えたか・減ったか(儲けの結果)
そこで、取引で動くものを「性質」で分類すると、最終的に5つに整理できます。
- 財産そのもの … 資産
- 返さないといけない財産 … 負債
- 借金を差し引いた自分の取り分 … 純資産
- もうけを減らす原因 … 費用
- もうけを増やす原因 … 収益
この5つに分けると、取引が起きても「どの性質が動いたか」で迷いにくくなります。
2 なぜ「資産・負債・純資産」がB/Sなのか
B/S(貸借対照表)は 一定時点の財産の状態を表す表 です。
「いま残っているもの」を知りたいので、載せるのはこの3つだけです。
- 資産:財産そのもの(現金、預金、商品、備品など)
- 負債:返さないといけない負債(借入金、買掛金など)
- 純資産:借金を差し引いた自分の取り分(元手+これまでの利益の蓄積)
費用・収益は「期間でどれだけ増減したか」の話なので、時点の表(B/S)には直接は載せない、という整理です。
3 なぜ「費用・収益」がP/Lなのか
P/L(損益計算書)は 一定期間の成績(もうけ)を表す表です。
期間のもうけは、基本的にこれで決まります。
だからP/Lは、この2要素(+その差額としての利益)で構成されます。
- 収益:稼ぎ(売上、受取利息など)
- 費用:犠牲(仕入、給料、水道光熱費など)
- 利益:収益と費用の差額(純粋な儲け)
Step 0:そもそも「取引」とは?
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各要素の説明に入る前に、「簿記で記録すべきこと」と「記録しなくていいこと」のルールを決めましょう。
簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)が増減すること。(金額で表せるもの)
つまり、どんなに重大な出来事(契約締結や採用など)でも、5要素(お金やモノ)が動いていなければ、簿記では「取引なし」として無視します。
【具体例】| ケース | 一般的な感覚 | 簿記上の判断 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 土地を買う契約書にサインした | 「大きな取引をした!」 | × 取引ではない | サインしただけでは、まだ土地(資産)もお金(資産)も動いていないから。 |
| 優秀な店長を採用した | 「良い人材を得た!」 | × 取引ではない | 「人」には値段をつけられない(資産ではない)ため、金額で表せないから。 |
| 火災で建物が燃えた | 「事故だ!取引じゃない!」 | ○ 取引である | 建物という資産が減少(消失)したから。(※修繕費や損失として記録する) |
| 現金が盗まれた | 「犯罪だ!取引じゃない!」 | ○ 取引である | 現金という資産が減少したから。 |
ここから、5つの要素の厳密な定義と中身を見ていきましょう。
Step 1:資産(Assets)
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将来のキャッシュ・インフロー(現金の流入)をもたらす能力があるもの。
イメージ: 会社が持っている「お金」や、将来「お金になる権利」、会社運営に役立つ「モノ」。
1 資産の二つの性格(まだ理解できなくてok)
(ここはまだ理解できなくてok。一通りやった後で戻ってくると一気に理解が深まります。)
資産には大きく分けて2つのタイプがあります。ここを理解すると、簿記の景色が変わります。
=「お金そのもの」
現金や、待っていればお金になる権利(売掛金など)。
これはずっと「お金」のままです。
- 現金
- 売掛金
- 貸付金
=「費用のカタマリ」
商品、建物、車などがこれです。
これらは、「買った瞬間は資産」ですが、「使ったり売ったりすると費用に変身」します。
- 商品 ▶売れると 仕入(費用)
- 建物 ▶古くなると 減価償却費(費用)
※「将来の費用を前払いして持っている状態」なのです。
2 三つの分類
B/Sに載せる際は、お金になるスピードや使う期間で3つに分けます。
現金のほか、預金・売掛金などのように短期間(一年以内)で現金に換えることのできるもの
土地や建物のように長期間(一年を超えて)使用する目的で持っている資産
効果が長続きするから特別に資産扱いするもの(創立費など)
3 勘定科目の例と解説
| 分類 | 勘定科目 | 解説 |
|---|---|---|
| 流動資産 | 現金 | 硬貨・紙幣を記録するために使用。※他社の小切手(すぐ換金できる証券)も簿記上、現金として扱います。(備考欄のwhy①カード参照。) |
| 普通預金 | 普通預金への貯金を記録する場合に使用。普通預金とは、日常的に使う銀行口座(通帳がある預金)。 | |
| 当座預金 | 当座預金への預金を記録するために使用。当座預金とは(小切手・手形)の決済専用口座のこと。引き落とし専用で利息がつかないのが特徴。 | |
| 受取手形 | 手形(期日に確実にお金をもらえる証券)を受けとった場合に使用します。(代金を後で受け取ることのできる債権。) | |
| 電子記録債権 | 手形のデジタル版(電子データ上の権利)。(代金を後で受け取ることのできる債権と考えます。) | |
| 売掛金 | 商品を販売し、ツケで販売した時に使用します。(代金を後で受け取ることのできる債権。) | |
| 有価証券 | 株式や国債・社債など。 | |
| 商品 | 販売目的の商品の在庫額。 | |
| 未収入金 | 商品以外(備品・有価証券等)を売却し、代金を未だに受け取っていない場合。(代金を後で受け取ることのできる債権。) | |
| 固定資産 | 建物 | ビル、店舗等の建物を建てた時、買った時に使用します。 |
| 土地 | 土地を購入した時に使用します。 | |
| 備品 | PC・デスク等を購入した時に使用します。 | |
| 車両運搬具 | 営業車・トラック等を購入した時に使用します。 | |
| 特許権 | 特許権や著作権のように、法律で定められた権利も資産となり、記録します。 | |
| 繰延資産 | 創立費 | 会社設立にかかった費用などをこの勘定科目で記録します。 |
4 「営業活動」と「それ以外(投資活動・財務活動など)」①
なぜ「売掛金」と「未収入金」を分けるのか?
「売掛金(うりかけきん)も、未収入金(みしゅうにゅうきん)も、どちらも『あとでお金をもらえる権利』だよね? 面倒だから全部まとめて『あとでもらえる金』じゃダメなの?」
結論から言うと、絶対にダメです。
なぜなら、簿記には「営業活動(本業=メインの商売)」と「それ以外(サブの活動)」を明確に区別して表示しなければならないという鉄則があるからです。
あなたが銀行の融資担当者だとして、あるラーメン屋に融資をするか審査していると想像してください。
その店長がこう言いました。「うちは先月、100万円の売上がありました!」
これを聞いて、あなたは「お、繁盛してるな!」と思いますか?
実は、中身を見たらこうでした。
- ケースA: ラーメンがバカ売れして100万円入ってきた。
- ケースB: ラーメンは全然売れなかったが、店の冷蔵庫やバイクをリサイクルショップに売って100万円入ってきた。
【判断の違い】
ケースAなら、「本業が順調だから、来月も儲かるだろう」と判断してお金を貸せます。
ケースBなら、「資産を切り売りしているだけで、店は潰れる寸前だ」と判断してお金を貸せません。
もし、簿記でこれを区別せずに記録していたら、銀行や投資家は「この会社の実力」を見誤ってしまいます。
だからこそ、「本業で発生した権利(売掛金)」なのか、「それ以外で発生した権利(未収入金)」なのかを、名前を変えて厳格に区別するのです。
| 区分 | 活動の内容 | あとでお金をもらう権利(資産) | あとでお金を払う義務(負債) |
|---|---|---|---|
| ① 営業活動 (本業=メインの商売) |
商品を売買する (いつもの商売) |
売掛金 (うりかけきん) |
買掛金 (かいかけきん) |
| ② それ以外 (サブの活動) |
備品や土地を売買する (たまにある活動) |
未収入金 (みしゅうにゅうきん) |
未払金 (みばらいきん) |
商品(本業のモノ) を売ってツケにした ➡ 「売掛金」
備品(本業以外のモノ) を売ってツケにした ➡ 「未収入金」
商品(本業のモノ) を買ってツケにした ➡ 「買掛金」
備品(本業以外のモノ) を買ってツケにした ➡ 「未払金」
5 「営業活動」と「それ以外(投資活動・財務活動など)」②
ここで一つ、クイズを出します。 「土地を買ったときの勘定科目は何でしょうか?」
「簡単だよ、『土地』でしょ?」と思ったあなた。 半分正解で、半分間違いです。
実は、簿記では「何を買ったか(モノ)」ではなく、「何のために買ったか(目的)」によって名前(勘定科目)が変わるのです。
ケーススタディ:パン屋 vs 不動産屋
土地を買った目的: その土地の上に店を建てて、パンを焼いて売るため。
扱い: パンを売る(本業)ための土台・装備として長く使う。
勘定科目: 「土地」(固定資産)
土地を買った目的: その土地を誰かに高く転売して儲けるため。
扱い: パン屋にとっての「パン」と同じで、売り物そのもの。
勘定科目: 「商品」(流動資産)
なぜ区別するの?(ここが重要!)
もし不動産屋が、販売目的の土地を「固定資産(土地)」として記録してしまったらどうなるでしょうか?
- B/Sの誤解: 「この不動産屋、売るものが全然ないぞ(在庫がない)? その割に、自社ビル(固定資産)はやたら広いな…」と勘違いされます。
- P/Lの誤解: その土地が売れたとき、「売上(本業の儲け)」ではなく、「固定資産売却益(臨時の儲け)」になってしまいます。不動産屋なのに「本業の売上がゼロ」なんてことになりかねません。
売るために持っているモノ(営業活動目的で所持(本業)) ➡ 「商品」
使うために持っているモノ(営業活動目的以外で所持(土台)) ➡ 「備品」「土地」「建物」「車両運搬具」
Step 2:負債(Liabilities)
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将来のキャッシュ・アウトフロー(現金の流出)をもたらすもの。
イメージ: 将来必ず支払わなければならない義務。マイナスの財産。
1 ポイント:利息との関係
嫌なものですが、「他人のお金を使ってビジネスを大きくする」ためには必要不可欠なものです。
「支払期限が来たらお金が出ていく」と覚えておきましょう。
お金を借りている(負債)と、お礼として「支払利息」(費用)を払う必要があります。
逆にお金を貸している(資産)と、お礼として「受取利息」(収益)をもらえます。
「負債持ってる=費用発生の予感」「資産持ってる=収益発生の予感」とイメージしておくと完璧です!
2 色々な決済方法と勘定科目(まとめ)
簿記の最初の壁、それは『勘定科目が多すぎる!』こと。特に『後払い』や『手形』は混乱しやすいので、ここで整理しておきましょう。
| 取引の内容 | 売った時に使用する勘定科目 | 買った時に使用する勘定科目 |
|---|---|---|
| 通貨で払う 硬貨や紙幣そのもの |
現金 | 現金 |
| 小切手で払う 「銀行から払います」という紙。 すぐ現金化できるため、もらった側は「現金」。 |
現金 ※他人振出小切手 |
当座預金 ※自己振出小切手 |
| 後で払う(本業) (商品売買のツケ) |
売掛金 | 買掛金 |
| 後で払う(それ以外) (備品などのツケ) |
未収入金 | 未払金 |
| 手形を使う 証書を使用することで、口約束(ツケ)よりも強制力が法律によって高まります。 |
受取手形 | 支払手形 |
| 電子記録債権を使う 手形の電子データ版。 紛失リスクがなく安全。 |
電子記録債権 | 電子記録債務 |
3 勘定科目の例と解説
| 勘定科目 | 解説 |
|---|---|
| 借入金 | 銀行などからの借金。返済義務。 |
| 支払手形 | 代金を支払うために、「〇月〇日に払います」と書いた紙(手形)を渡した場合の義務。(代金を後で支払わなくてはいけない債務。) |
| 電子記録債務 | 手形のデジタル版の支払い義務。(代金を後で支払わなくてはいけない債務。) |
| 買掛金 | 商品仕入のツケ(代金を後で支払わなくてはいけない債務。) |
| 未払金 | 商品以外(備品等)を買ったツケ。(代金を後で支払わなくてはいけない債務。) |
| 預り金 | 給料天引きした税金など、一時的に預かっている他人のお金。 |
| 引当金 | 将来発生することが予想される特定の支出に備えた見積額。(将来支払わなくてはいけない債務と考えます。) 例:修繕引当金…将来の建物などの修繕費用に備える為の引当金 :賞与引当金…将来の従業員に支給するボーナスに備える為の引当金 |
Step 3:純資産(Net Assets)
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イメージ: 「誰にも返さなくていい、本当の自分の財産」。銀行(負債)に全部返したあとに、最後に残る部分。
1 会社設立ストーリーで理解する
一番わかりにくいこの要素、会社を作るストーリーで理解しましょう。
【会社設立ストーリー:1,000万円集めたい!】 あなたが会社を作ろうとして、1,000万円必要だとします。
手元に1,000万円増えますが、「あとで返してね(利息もつけてね)」と言われます。
これは「負債」です。失敗したら借金地獄です。
「このビジネスに賭けるよ!返さなくていいから、成功したら配当を頂戴!」とお金を出してもらいました。
これが「純資産(資本金)」です。
会社法という法律でも、この純資産は重要視されます。
つまり、純資産は「①元手(資本金)」と、ビジネスが始まってから増えた「②儲けの蓄積(利益剰余金)」の2層構造になっています。
2 純資産についてもっと細かく(二級レベル)
簿記2級以上を見据え、純資産を「株主資本」と「評価・換算差額等」の2つに分けて理解しましょう。三級では「評価・換算差額」は無視して、純資産は「元手+稼ぎ」と考えてokです。
=「確定した自分のもの」
- 資本金(元手): 最初に株主からもらったお金。
- 利益剰余金(稼ぎ): 商売をして、実際に稼いで確定した利益の蓄積。
=「含み益(まだ確定してないけど増えてる分)」
ここがレベルアップの肝です。例えば、株を買って値上がりした場合を想像してください。
100円で買った株が、決算日に120円になっていた(まだ売っていない)。
資産(株)は100円から120円に増えました。
差額の20円は「儲け」ですか?
→ 「儲け」ではあるが、売るまでは「実現」していない。
P/L(損益計算書)のルールでは、「実際に売るまでは儲け(収益)にしてはいけない」ことになっています(慎重に計算するため)。※後述:実現主義
でも、B/S(貸借対照表)は「今の財産」を表すので、120円の価値があることは事実です。
そこで、この20円を「その他有価証券評価差額金」という名前で、純資産の「別室」にそっと置いておくのです。
「売れば儲けになるけど、まだ売ってないから『利益』には混ぜないでおくね。でも財産としては増えてるから『純資産』には入れておくよ」という保留ボックスです。
3 勘定科目の例と解説
| 勘定科目 | 解説 |
|---|---|
| 資本金 | 株主から出資してもらった元手。 |
| 利益剰余金 | 過去の利益の蓄積(稼ぎ)。 |
Step 4:費用(Expenses)
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イメージ: 会社が収益を獲得するためには、商品を仕入れたり、給料を支払ったり、電話代を支払ったり…。このような収益を獲得するために費やした出費を「費用」を言います。
1 費用収益対応の原則
ポイント
(ここは空白です)
ストーリーで理解
あなたはTシャツ屋さんです。
- 4月:Tシャツを 10枚(1枚100円) 仕入れました(合計 1,000円)。
- 4月:そのうち 4枚 売れました。
- 5月:残りの 6枚 が売れました。
4月に、Tシャツ10枚分(1,000円)を全額「費用」にしてしまって大丈夫でしょうか?
Tシャツの仕入代は、どのタイミングで費用にするのが正しいのでしょうか?
仕入代は、「買った月」ではなく、売れた月(売上が立った月)に対応させて費用にします。
-
4月:4月に売れた 4枚分 を費用にする
→ 4枚 × 100円 = 400円
※4月には10枚分(1,000円)を支払っていますが、費用にできるのは4月に売れた4枚分だけです。「支払った額=費用」ではありません。 -
5月:5月に売れた 6枚分 を費用にする
→ 6枚 × 100円 = 600円
もし 4月に仕入代1,000円を全部費用にしてしまうと、月ごとの儲けが壊れます。
- 4月:4枚しか売っていないのに、10枚分の費用が出る
→ 大赤字に見える(4枚分の売上に対して、10枚分の費用) - 5月:6枚売れているのに、費用が出ないように見える
→ 利益が出すぎて見える(6枚分の売上に対して、費用がゼロに見える)
結果として、月ごとの儲けがぐちゃぐちゃになり、正しい成績がわからなくなります。
このように、売上(収益)と費用は対応させなければならないという簿記の考え方があります。
これを 「費用収益対応の原則」 といいます。
「この売上(収益)を得るために、どれだけの犠牲(費用)がかかったか」を 同じ月(同じ期間)でそろえて計算するのが、会計の基本です。
実務での処理方法(今は完全に理解できなくてOK)
ここから先は実務的な話です。今すぐ完璧に理解できる必要はありません。
簿記初級を一通り学んだ後に戻ってくると、「なるほど」と理解しやすくなります。
方法①:購入時は「資産(商品)」、売れたら「費用(売上原価)」にする(王道)
4月
Tシャツを購入した時点では、まだ売れていないので費用にしません。
まず 資産(勘定科目:商品) として記録します。
→「商品という資産を 1,000円(100円×10枚) 持っています」
- 4枚売れたので、4枚分の売上(収益)を計上する
- 売上に対応する分を費用にする必要があるので、4枚分を費用(売上原価)にする
商品(資産)を4枚分減らし、減らした分を費用にする(=資産→費用へ振替える)
売上と費用がすでに対応しているので、特に追加の調整は不要です。
5月
- 6枚売れたので、6枚分の売上(収益)を計上する
- 売上に対応する分を費用にするため、6枚分を費用(売上原価)にする
商品(資産)を6枚分減らし、減らした分を費用にする
こちらも売上と費用が対応しているので、追加の調整は不要です。
方法②:いったん費用にして、あとで「決算(帳尻合わせ)」で直す(3級で頻出)
この方法は、簿記3級で特に頻出です。
ポイントは、「あとで帳尻を合わせる(=決算)」という考え方です。
※「帳尻合わせる作業」を 決算 といいます。
4月
「どうせ売れるから、いったん全部費用にしておいて、あとで調整しよう!」
→ 10枚分(1,000円)を一旦費用(仕入)にする
- 4枚売れたので、4枚分の売上(収益)を計上する
- 仕入はすでに全額費用にしているため、売上時点で新たに費用計上はしない
4月は4枚しか売れていないのに、費用が10枚分のままだと多すぎます。
そこで、売れていない 6枚分(600円) を費用から取り消して、商品(資産)に戻す必要があります。
(費用を減らして、資産に振り替える)
5月
「今月は全部売るから、また先に費用にしておこう」という考え方で進める
(前月末に資産へ戻した6枚分を、再度費用側へ動かすイメージ)
- 6枚売れたので、6枚分の売上(収益)を計上する
- 6枚分はすでに費用計上済みなので、新たに費用計上はしない
今月は予定通り6枚すべて売れ、売上(6枚分)に対して費用(6枚分)も対応しているため、決算(帳尻合わせ)は不要です。
補足
仕入は、「買った時点で費用」ではありません。
売れた分だけが費用になります。
売れ残った分は、まだこれから売って収益を生むものなので、
「資産(商品)」として残ると考えてください。
2 勘定科目の例と解説
| 勘定科目 | 解説 |
|---|---|
| 仕入 | 商品を仕入れた時に使用します。 |
| 給料 | 従業員の給料を支払った時に使用します。 |
| 通信費 | 電話、ネット、切手代など。 |
| 旅費交通費 | 交通費、宿泊費等。 |
| 水道光熱費 | 電気、ガス、水道代。 |
| 広告宣伝費 | 会社の宣伝のために出費した金額。 |
| 支払利息 | 借金の利息を支払った時。 |
| 減価償却費 | 固定資産(建物など)が古くなって価値が減った分を費用にします。 |
| 支払い家賃 | 家賃を支払った時。 |
Step 5:収益(Revenues)
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イメージ: 収益は売上だけではありません。利息を稼いだり、株で利益を得たり、会社にとって利益を生み出すもの全てが収益となります。
1 ポイント(実現主義)
ここが超重要です。簿記では、「お金をもらった時」に売上にするわけではありません(これはお小遣い帳の考え方=現金主義)。
簿記では、「商品を渡した時」や「サービスを提供し終わった時」に売上として記録します。これを「実現主義」といいます。
簿記の記録:今日、「売上」計上!(お金はまだだけど、やるべきことはやったから!)
2 勘定科目の例と解説
| 勘定科目 | 解説 |
|---|---|
| 売上 | 商品を売った(引き渡した)ことで得られる収入。 |
| 受取手数料 | 仲介手数料など。 |
| 受取利息 | 預金や貸付金の利子。 |
Step 6:利益(Profit)
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Step 4とStep 5の差額です。
【重要】 もし「費用」の方が「収益」より多ければ、それは当期純損失(赤字)となります。