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1. 導入(フック & Why)

仕訳の仕組みについて、大体わかってきましたか?
ここからは、実際に手を動かして「仕訳の実践」を行ってみましょう。

具体的な取引のパターン(仕訳の種類)を分解し、
「現金100円借りてきた」➡「借方100、貸方100、現金と借入金が動く!」
という練習をどんどん積み上げていきます。

どんな取引があって、どんな取引の時どんな勘定科目が動くのか。
また、その勘定科目が属するグループによって、借方と貸方どちらに書けばいいのか。
これについて「センス」を磨いていきましょう。

💪 誤解しないでください。

センスは元からある物ではなく、ゼロから磨く物です。
これから皆さんがやるべきことは、小学1年生が計算ドリルをやったように、一つ一つの取引を分解し、「これは現金だ」「これは借方だ」と積み上げていくことだけです。
最初はゆっくりで大丈夫。数をこなせば、必ず「当たり前」になります。
一緒に頑張りましょう。

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2. 全体像(俯瞰図・構造マップ)

5つの勘定をT字勘定の形で並べ、増加する場所を色で示します。図そのものがT字勘定です。上段に資産・負債・純資産、下段に費用・収益を配置しています。

T字勘定の左右で「増加/減少」が決まります。

資産
増加
減少
負債
減少
増加
純資産
減少
増加
費用
増加
減少
収益
減少
増加

B/S・P/Lのホームポジション

貸借対照表(B/S)
資産
  • 現金
  • ……
負債
  • 借入金
  • ……
純資産
  • 資本金
  • ……
損益計算書(P/L)
費用
  • 水道光熱費
  • ……
利益(差額)
収益
  • 売上
  • ……
1
Step 1:資産(Assets)の取引
0 今回使用する勘定科目一覧

まずは「資産」です。ホームは左(借方)です。
資産が増えたら「左」、減ったら「右」に書きます。

1 現金を銀行に預け入れた
手元の現金100円を、銀行の普通預金口座に預けた。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 普通預金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「普通預金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
普通預金 (資産)
増加 100
現金 (資産)
減少 100
2 商品を売って、ツケにした
商品を売り上げ、代金100円は掛け(後払い)とした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 売掛金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「売掛金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 売上(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「売上のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
売掛金 (資産)
増加 100
売上 (収益)
増加 100
3 土地を買った
1,000円の土地を買い、代金は現金で支払った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 土地(資産)を手に入れた(増えた) ➡ 資産の増加は左 ➡ 「土地のT字勘定の『左』に1,000と書きたい!」
  • 現金(資産)が出ていった(減った) ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に1,000と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
1,000
1,000
③ 結果(T字勘定への反映)
土地 (資産)
増加 1,000
現金 (資産)
減少 1,000
4 他の会社にお金を貸した
従業員に現金100円を貸し付けた。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 貸付金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「貸付金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が出ていった(減った) ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
貸付金 (資産)
増加 100
現金 (資産)
減少 100
5 備品を買って、代金は後払いにした
お店で使うパソコン(備品)を100円で購入し、代金は月末払いとした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 備品(資産)を手に入れた(増えた) ➡ 資産の増加は左 ➡ 「備品のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 未払金(負債)が増えた ➡ 負債の増加は右 ➡ 「未払金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
備品 (資産)
増加 100
未払金 (負債)
増加 100
2
Step 2:負債(Liabilities)の取引
0 今回使用する勘定科目一覧

次は「負債」です。ホームは右(貸方)です。
負債が増えたら「右」、減ったら(返したら)「左」に書きます。

1 銀行からお金を借りた
銀行から現金100円を借り入れた。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 現金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「現金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 借入金(負債)が増えた ➡ 負債の増加は右 ➡ 「借入金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
現金 (資産)
増加 100
借入金 (負債)
増加 100
2 商品を仕入れて、ツケにした
商品100円を仕入れ、代金は掛け(後払い)とした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 仕入(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「仕入のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 買掛金(負債)が増えた ➡ 負債の増加は右 ➡ 「買掛金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
仕入 (費用)
増加 100
買掛金 (負債)
増加 100
3 借金を返済した
借入金100円を、現金で返済した。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 借入金(負債)が減った(消えた) ➡ 負債の減少は左 ➡ 「借入金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が出ていった(減った) ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
借入金 (負債)
減少 100
現金 (資産)
減少 100
5 買掛金を支払った
ツケておいた買掛金100円を、現金で支払った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 買掛金(負債)が減った(消えた) ➡ 負債の減少は左 ➡ 「買掛金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
買掛金 (負債)
減少 100
現金 (資産)
減少 100
3
Step 3:純資産(Net Assets)の取引
0 今回使用する勘定科目一覧

「純資産」です。ホームは右(貸方)です。
会社設立時や、利益が出た時に動きます。

1 会社を作った(元手を入れた)
株主が1,000円を出資し、株式会社を設立した。払込金は普通預金とした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 普通預金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「普通預金のT字勘定の『左』に1,000と書きたい!」
  • 資本金(純資産)が増えた ➡ 純資産の増加は右 ➡ 「資本金のT字勘定の『右』に1,000と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
1,000
1,000
③ 結果(T字勘定への反映)
普通預金 (資産)
増加 1,000
資本金 (純資産)
増加 1,000
2 増資をした(追加で元手を入れた)
事業拡大のため、追加で株式を発行し、現金1,000円の払い込みを受けた。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 現金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「現金のT字勘定の『左』に1,000と書きたい!」
  • 資本金(純資産)が増えた ➡ 純資産の増加は右 ➡ 「資本金のT字勘定の『右』に1,000と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
1,000
1,000
③ 結果(T字勘定への反映)
現金 (資産)
増加 1,000
資本金 (純資産)
増加 1,000
4
Step 4:費用(Expenses)の取引
0 今回使用する勘定科目一覧

「費用」です。ホームは左(借方)です。
発生したら「左」に書きます。

1 家賃を払った
今月分の家賃100円を現金で支払った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 支払家賃(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「支払家賃のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
支払家賃 (費用)
増加 100
現金 (資産)
減少 100
2 従業員の給料を払った
従業員の給料100円を現金で支払った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 給料(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「給料のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
給料 (費用)
増加 100
現金 (資産)
減少 100
3 広告を出して代金は後払いにした
チラシ広告を出し、代金100円は来月末払いとした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 広告宣伝費(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「広告宣伝費のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 未払金(負債)が増えた ➡ 負債の増加は右 ➡ 「未払金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
広告宣伝費 (費用)
増加 100
未払金 (負債)
増加 100
4 交通費を支払った
電車代100円を現金で支払った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 旅費交通費(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「旅費交通費のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 現金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「現金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
旅費交通費 (費用)
増加 100
現金 (資産)
減少 100
5 借金の利息を払った
借入金の利息100円が、普通預金から引き落とされた。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 支払利息(費用)が発生した ➡ 費用の増加は左 ➡ 「支払利息のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 普通預金(資産)が減った ➡ 資産の減少は右 ➡ 「普通預金のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
支払利息 (費用)
増加 100
普通預金 (資産)
減少 100
5
Step 5:収益(Revenue)の取引
0 今回使用する勘定科目一覧

最後は「収益」です。ホームは右(貸方)です。
発生したら「右」に書きます。

1 商品を現金で売った
商品100円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 現金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「現金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 売上(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「売上のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
現金 (資産)
増加 100
売上 (収益)
増加 100
2 商品を掛け(ツケ)で売った
商品100円を売り上げ、代金は掛けとした。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 売掛金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「売掛金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 売上(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「売上のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
売掛金 (資産)
増加 100
売上 (収益)
増加 100
3 仲介手数料を受け取った
知り合いの仕事を手伝い、手数料100円を現金で受け取った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 現金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「現金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 受取手数料(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「受取手数料のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
現金 (資産)
増加 100
受取手数料 (収益)
増加 100
4 預金の利息がついた
銀行の普通預金口座に、利息100円が入金された。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 普通預金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「普通預金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 受取利息(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「受取利息のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
普通預金 (資産)
増加 100
受取利息 (収益)
増加 100
5 家賃を受け取った
所有しているビルの一室を貸し出し、家賃100円を現金で受け取った。
① 頭の中のイメージ(ゴール)
  • 現金(資産)が増えた ➡ 資産の増加は左 ➡ 「現金のT字勘定の『左』に100と書きたい!」
  • 受取家賃(収益)が発生した ➡ 収益の増加は右 ➡ 「受取家賃のT字勘定の『右』に100と書きたい!」
② 指示書の作成(仕訳を切る)
100
100
③ 結果(T字勘定への反映)
現金 (資産)
増加 100
受取家賃 (収益)
増加 100
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