導入(フック & Why)
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簿記のゴールは「B/SとP/Lの定位置(ホームポジション)」を覚えることであり、日々の記録(仕訳)は「増えたら定位置、減ったら逆」という単純なルールで書けるようになること。
あなたはレストランのシェフ(経理担当)です。
簿記の一連の流れは、料理に例えるとよく分かります。
「野菜を買ってきた」「肉を焼いた」。これが毎日の出来事です。
日々のできごと買ってきた食材をどう扱うか、指示書(レシピ)にメモします。「野菜は左の鍋へ」「肉は右の皿へ」。これが仕訳です。
左・右への変換最終的に、お客様に出す「完成した料理」です。
完成写真(B/S,P/L)初心者は、完成した料理(B/S・P/L)のイメージがないまま、いきなり「調理手順(仕訳)」を丸暗記しようとしてパニックになります。
しかし、プロは違います。「完成写真」が頭に入っているから、「あ、この野菜は最終的に左側に盛り付けるんだな」と、調理法(仕訳)が自然とわかるのです。
だからこそ、まずは「」を頭に焼き付けましょう。
全体像(俯瞰図・構造マップ)
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これから学ぶ3つの用語は、バラバラのものではなく、密接にリンクしています。
下から上へ積み上げる「3段階の構造」をイメージしてください。
最終的な「報告書」。簿記のゴールであり、全ての数字の終着点。
勘定科目ごとの「集計ボックス」。現金ボックス、売上ボックスなど。
ここで集計した最終的な数字を、上の財務諸表へ持っていく。
日々の取引を「左」と「右」に振り分ける変換作業。
勘定に数字を記入するための指示書(メモ)。
つまり、「B/SとP/Lを作るために、勘定という箱に集計したくて、そのために仕訳を切る」のです。
Step 1:完成図を知る(ホームポジションの理屈)
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すべての基準はここにあります。
5つの要素が、B/SとP/Lの「左右どちら」にいるのか。
下の図解のように、5つの要素は、それぞれの表の中で、左右どちらに表示されるかが決まっています。
これを「ホームポジション」といいます。
資産のホームポジションは左(借方)、負債のホームポジションは右(貸方)、収益のホームポジションは右(貸方)です。
「ホームポジションはどっちだっけ?」と迷ったら、下の完成図を頭に思い描いてください。
図解:B/SとP/Lのホームポジション(完成図)
なぜ資産は左で、負債は右なのか。そしてなぜ費用は左なのか。
これから、その理由を順番に見ていきます。
Step 2:集計箱を知る(勘定・Tフォーム)
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前回のStep 1で、簿記のゴールである「B/SとP/Lの完成図(ホームポジション)」を頭に入れましたね。
では、その完成図に載っている「最終的な数字」は、日々の出来事からどうやって計算しているのでしょうか?
1. まずはゴール(B/SとP/L)を振り返る
簿記の最終ゴールであるB/SとP/Lの中には、「勘定科目(名前)」と「その金額」がズラリと並んでいます。
- 現金100
- 建物120
- 土地80
- 商品40
- …
- 借入金70
- 未払金20
- …
- 資本金120
- 利益剰余金80
- …
- 売上原価120
- 水道光熱費40
- …
- 売上220
- 受取利息40
- …
「現金が最終的に100円残っている」「水道光熱費を合計40円使った」
この「最終的な合計金額(100円や40円)」を求めるのが目的ですが、毎日のお金の出入りを、ノートの端っこで「100たす、50ひく…」と計算しているわけではありません。
2. 計算のための道具(勘定)
実は、簿記ではこんな感じで集計をしています。
勘定科目(現金や売上など)ごとに、一つ一つ以下のような「勘定(かんじょう)」という専用の集計ボックスを用意するのです。
真ん中に線が引いてあり、形がアルファベットの「T」に似ているので、「T字勘定」や「Tフォーム」と呼ばれます。
では、実際に「現金」の集計ボックス(T字勘定)がどう使われているかを見てみましょう。
現金のホームポジション(定位置)はB/Sの「左側(資産)」でしたね。
T字勘定では、「ホームポジション側 = プラス(増える)側」になります。つまり、現金の場合は「左が増える側、右が減る側」です。
① 現金が増えたら: 左側(借方)にドンドン書き溜めます。(合計400円入ってきた)
② 現金が減ったら: 右側(貸方)にドンドン書き溜めます。(合計300円出ていった)
③ 期末(決算)に計算する: 左の合計(400)と右の合計(300)を差し引きして、「最終的に現金がいくら残っているか」を計算します。
今回だと、左側に100円多く残っていますね。この「最終的に残った100円(残高)」を、ゴールのB/Sの左側へ持っていくのです。
このT字勘定という部屋を使って、
「最終的に現金がいくらあるのか」「最終的に売上がいくらだったのか」
を計算・集計するのです。
次は、T字勘定の具体的な使い方(記入・計算)を学んでいきます!
2 簿記の5要素とT字勘定
T字勘定の「どっちに書いたらプラスになるの?」というルールは、Step 1で学んだ「ホームポジション(完成図)」と完全に連動しています。
5つの要素が、それぞれどの箱でどう集計されるのか見てみましょう。
→ 残高は左に残る
→ B/Sの借方に載る。
→ 残高は右に残る
→ B/Sの貸方に載る。
→ 残高は右に残る
→ B/Sの貸方(純資産)に載る。
→ 残高は左に残る
→ P/Lの費用に載る。
→ 残高は右に残る
→ P/Lの収益に載る。
- 現金100
- ……
- 借入金120
- ……
- 資本金115
- ……
- 水道光熱費42
- ……
- 売上185
- ……
Step 3:究極のルール「仕訳(しわけ)」
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さあ、いよいよ簿記のメインイベント、「仕訳(しわけ)」に入ります。
でも、難しく構える必要はまったくありません。Step 2で学んだ「T字勘定」のルールさえわかれば、仕訳はただの「メモ書き」に過ぎないからです。
1 なぜ「仕訳」が必要なのか?(仕訳の正体)
今までT字勘定(Tフォーム)のルールを学んできました。
「じゃあ、取引があったら直接Tフォームに書き込めばいいじゃないか?」と思いますよね。
しかし、いきなり勘定に直接記入・記録を行うと、記録漏れや書き間違い(左右反対など)が生じる恐れがあります。
そこで、「仕訳」という準備作業(メモ)を行ってから、勘定に記録をします。
仕訳とは、取引の記録内容をコンパクトに要約したものであり、いわば「勘定へ記録するときの指示書」です。
「『現金勘定の借方(左)に100円を書け』『借入金勘定の貸方(右)に100円を書け』という命令文」なのです。
以前、「複式簿記(1つの取引を『2つの側面』から記録すること)」という内容を勉強しましたね。一つの出来事をどうやって同時に記録するのでしょうか?
そのための記録方法が仕訳です。
仕訳は、取引を二つの側面に分けて、左右(借方と貸方)に同時に記録する方法なのです。
多くの初心者が仕訳で挫折するのは、「『現金を借りた時の仕訳』を丸暗記しよう!」とするからです。
プロは絶対に丸暗記しません。次のような「思考の順序」でパズルを解いています。
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ゴール(T字勘定)をイメージする:
「現金を増やしたいな。現金は資産グループだから、ホームポジションは左(借方)だ。ってことは、現金のT字勘定では『左』に書き込みたいな。」 -
指示書(仕訳)を書く:
「T字勘定の『左』に書き込みたいから、指示書(仕訳)も『左側』に【現金】と書こう。」
これだけです。
「T字勘定の書きたい側に、仕訳も書く」。
常に「T字勘定と仕訳はセット」でイメージするクセをつけてください。