導入(フック & Why)
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細かい仕訳の話に入る前に、「なぜ決算で面倒な帳尻合わせをするのか?」という全体像を、りんご屋さんのストーリーでイメージしてみましょう。
あなたは「りんご屋さん」の店長です。今年はじめてお店をオープンし、農家から1個100円のりんごを100個仕入れてきました(仕入にかかった金額を10,000円とします)。
三分法のルールに従い、買った瞬間にすべて費用にしたので、あなたの帳簿には「仕入(費用)10,000円」と記録されています。
この1年間、あなたは一生懸命りんごを売りました。今日はいよいよ1年の総決算である「決算日」です。
お店の利益は、「利益 = 今年の売上 - 今年の費用」で計算しますよね。
それは、売上から引いていい費用は「今年売れた商品の分の費用だけ」ということです。
さて、お店の奥にあるダンボールを数えてみると、今年仕入れた100個のりんごのうち、20個が売れ残っていました(つまり、売れたのは80個です)。
本当は80個しか売れていないのに、「今年の売上(80個分)」に対して、「今年の費用(100個分)」をぶつけることになってしまいます。
まだ売れていない20個分の金額まで今年の費用に入ってしまうため、費用が多すぎて、今年の利益が不当に少なくなってしまいます。
ズレてしまったのなら、決算の日に帳簿を直す「帳尻合わせ」をすればいいだけです!
100個仕入れたうち、20個が売れ残っているなら、「今年本当に売れたりんご(今年の正しい費用)」は何個でしょうか? 計算は簡単です。
本当の費用は「80個分」なのに、三分法では期中に仕入れた商品を「いったん全部売れるもの」と考え、仕入れた額をすべて費用として記録します。そのため、帳簿上は「仕入100個分」のままになっています。ズレていますよね。
だから決算の日に、費用の中から「今年の売れ残り(20個)」を引くことで、「今年本当に売れた分(80個)」だけを費用として残すという調整を行うのです。
ここまでは「今年オープンしたばかりのお店」を例にしましたが、実際の商売では、これに加えて「去年から売れ残っていたりんご(期首商品)」があることも多いですよね。
たとえば、去年からの残りが30個あったとしましょう。
すると、今年お店にあったりんごは、全部で130個(去年の残り30個 + 今年の仕入100個)になります。
決算日にダンボールを数えて、最終的に20個売れ残っていたら、「今年本当に売れたりんご」は何個でしょうか? 計算は簡単です。
これが、決算で行う「売上原価(今年売れた商品の原価)の算定」の完全な姿です。
本当の費用は「110個分」なのに、三分法では期中に仕入れた商品だけをいったん「仕入」として費用にしているため、帳簿上は「仕入100個分」のままです。去年から残っていた30個分も、今年売れたなら今年の費用に含める必要があります。やはりここでもズレていますよね。
だから決算の日には、「去年の残り」を足して、「今年の売れ残り」を引くことで、「今年本当に売れた分」だけを費用として残すという大掛かりな帳尻合わせを行うのです。
つまり、簿記の式で表すと、(期首商品 + 当期仕入額)- 期末商品 = 売上原価 となります。
ここからは、今のりんご屋さんのストーリーを、簿記の勘定科目や仕訳に落とし込んで、もう少し細かく見ていきましょう。