簿記3級 5要素・資産

流動資産と固定資産の違い|同じモノでも勘定科目が変わる理由

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

勘定科目は、モノの名前だけでは決まりません。「本業で売るために持つのか」「自社で使うために持つのか」によって、同じモノでも会社にとっての役割が変わるからです。

同じ「建物」でも、必ず「建物」という勘定科目になるわけではありません。建物を販売する会社が、
お客さんに売るために持つ建物 →「商品(流動資産)」
自社の事務所として長く使う建物 →「建物(固定資産)」
となります。

同じ会社の、同じ「建物」でも目的で変わる
建物の使い道持つ目的資産としての科目・分類
お客さんに売る建物本業として販売し、売上を得るため商品(流動資産)
自社の事務所にする建物自社で長く使い、事業を行う場所にするため建物(固定資産)

「営業活動かどうか」で見るのは、その建物を売ることが会社の本業なのかという点です。事務所も本業を支えますが、お客さんに売るための在庫ではありません。だから、販売用の建物と自社用の建物は、科目も資産の分類も分けます。

この区別があることで、B/Sを見る人は「これから売る在庫」と「事業で使い続ける財産」を見分けられます。売ったときも、商品販売による本業の成績と、使っていた建物を手放した損益が混ざりません。

「建物だから建物」と決めず、「この会社は、何のためにこの建物を持つのか」と考える。これが、目的から勘定科目を選ぶ基本です。なお、販売用の建物を商品として三分法で記録する場合、購入時の仕訳には「仕入」を使います。

詳しい解説

営業活動かどうかで変わる勘定科目

5 「営業活動(本業)」と「営業活動(本業)以外」で勘定科目が変わる②

ここで一つ、クイズを出します。
「会社で土地を買ったときの勘定科目は何でしょうか?」

「簡単だよ、『土地』でしょ?」と思ったあなた。実は、半分正解で、半分間違いです。
簿記の世界では、「何を買ったか(モノ)」ではなく、「何のために買ったか(目的)」によって名前(勘定科目)が変わるという、とても重要なルールがあります。

同じ「土地」を買ったとしても、あなたの会社の「本業」が何かによって、扱いが180度変わってしまうのです。具体例を見てみましょう!

ケースA:あなたが「パン屋」の場合
  • 買った目的: その土地の上に自分たちのお店を建てて、パンを焼いて売るため。
  • 扱い: その土地は、パンを売る(本業)の為の土台として、長く使い続けることになります。
勘定科目:
「土地(固定資産)」を使用します。
💡 なぜ区別するの?(もし間違えたらどうなる?)

もしパン屋が、お店を建てるための土地を「商品(流動資産)」として記録してしまったらどうなるでしょう?

B/Sの誤解: 決算書を見た銀行の人は、「このパン屋、パンじゃなくて土地を売るための在庫(商品)を大量に抱えているぞ?」と勘違いしてしまいます。

P/Lの誤解: 将来、お店を移転するためにこの土地を売ったとき、臨時で入ってきたお金にもかかわらず「本業の売上(パンが売れた利益)」に混ざってしまいます。これでは、パンがどれくらい売れているのか本当の成績がわからなくなってしまいます。

ケースB:あなたが「不動産屋」の場合
  • 買った目的: その土地を誰かに高く転売して、利益を出すため。
  • 扱い: その土地は、パン屋にとっての「パン」と同じように、「本業の”商品”」となります。
勘定科目:
「商品(流動資産)」を使用します。
💡 なぜ区別するの?(もし間違えたらどうなる?)

もし不動産屋が、販売目的の土地を「土地(固定資産)」として記録してしまったらどうなるでしょう?

B/Sの誤解: 「この不動産屋、売るものが全然ないぞ(在庫ゼロ)? その割に、自社ビル用の土地(固定資産)はやたら広いな…」と勘違いされてしまいます。

P/Lの誤解: その土地が売れたとき、「売上(本業の儲け)」ではなく、「固定資産売却益(臨時の儲け)」になってしまいます。不動産屋なのに「本業の売上がゼロ」という、あり得ない成績表が出来上がってしまいます。

✅ 結論:モノを見るな、目的を見ろ!
  • 売るために持っているモノ(営業活動目的=本業) ➡ 「商品」
  • 使うために持っているモノ(営業活動以外=土台) ➡ 「備品」「土地」「建物」

よくある質問

同じ建物でも勘定科目が変わるのはなぜですか?

会社にとっての役割が違うからです。本業で販売するための建物は商品、自社の事務所として長く使う建物は固定資産の建物として扱います。

事務所も営業に使うのに、商品にはならないのですか?

ここで見るのは、本業でお客さんに売るための在庫かどうかです。事務所は仕事をするために使い続ける財産なので、販売用の商品とは分けます。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。