簿記3級 5要素

当期純利益と繰越利益剰余金の関係|いつ加わるのかを図解

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

今年の利益は、いつ「繰越利益剰余金」に加わるのでしょうか。

当期純利益を繰越利益剰余金へ移すのは、帳簿の締切のときです。その前の「決算整理後残高試算表」の繰越利益剰余金には、まだ当期純利益は含まれていません。一方、財務諸表のB/Sには、当期純利益を加えた繰越利益剰余金を載せます。

一年の間に、会社は商品を売り、家賃などの費用を払いながら事業を続けます。その記録は、まず売上や家賃といった収益・費用の勘定に積み重なります。利益が出るたびに、繰越利益剰余金へ書き込むわけではありません。

やがて期末を迎え、決算整理で今年の収益と費用をそろえます。ここで作るのが「決算整理後残高試算表」です。利益を計算するための数字はそろいましたが、繰越利益剰余金への振替は、このあとの作業です。

決算の流れで見ると、利益を移すのはここ
  1. 期中日々の取引を記録する

    取引のたびに仕訳を切り、各勘定へ転記します。

  2. 決算整理の前決算整理前試算表

    期中の取引の記録に間違いがないかを確認するため、各勘定の数字を集めます。借方・貸方の合計を照らし合わせ、転記や集計の誤りをチェックします。

  3. 期末決算整理をする

    売れ残りや減価償却などを反映し、今年の収益・費用をそろえます。

  4. 決算整理の後決算整理後残高試算表

    決算整理の仕訳を反映した残高を集め、転記や集計に誤りがないかを確認します。

  5. 帳簿を締め切る帳簿の締切

    収益・費用はゼロに戻し、資産・負債・純資産は翌年へ引き継ぎます。

    P/Lグループの締切(収益・費用の勘定)

    決算振替仕訳を切り、次の2段階で残高を振り替えます。

    1. 収益・費用の残高を「損益」勘定へ集める

      売上や家賃などの各勘定から、損益勘定へ振り替える仕訳を切ります。収益・費用の勘定は残高がゼロになり、損益勘定に残る差額が当期純利益です。

    2. 当期純利益を「繰越利益剰余金」へ移す

      損益勘定に残った当期純利益を、繰越利益剰余金へ振り替える仕訳を切ります。損益勘定の残高はゼロになり、繰越利益剰余金に今年の利益が加わります。

    B/Sグループの締切(資産・負債・純資産の勘定)

    繰越しの仕訳は切らず、勘定に「次期繰越」と記入します。

    現金や借入金などの残高は、翌年へそのまま引き継ぎます。繰越利益剰余金も、②で当期純利益を加えたあとの残高を引き継ぎます。

  6. 財務諸表の作成B/S・P/Lの作成

    B/Sで期末の財政状態を、P/Lで今年の経営成績を示します。B/Sの繰越利益剰余金には、当期純利益を加えた金額を載せます。

このように、今年の収益と費用は「損益」に集まり、その差額が繰越利益剰余金へ引き継がれます。収益・費用の勘定はゼロになり、翌年の記録を新しく始められます。

だから、問題で繰越利益剰余金を聞かれたら、「締切前の試算表の数字か、利益を反映したB/Sの数字か」に注目しましょう。なお、財務諸表を締切前の試算表から作る場合も、B/Sには当期純利益を反映します。

詳しい解説

当期純利益はいつ繰越利益剰余金に振り替える?

! 超重要:「利益」が「財産」に変わる瞬間

ここで、多くの初学者が勘違いしやすい「タイミング」について解説します。
皆さんは、「商品を売って利益が出た瞬間」に、純資産(繰越利益剰余金)が増えていると思っていませんか?
実は、まだ増えていません。
「当期純利益」が「繰越利益剰余金(純資産)」に移動するのは、この「仕訳③」を切った瞬間だけなのです。

図解:当期純利益が純資産に入るタイミング
期末日
会計期間の区切り日
ここから決算作業がスタート!
Step 1: 決算整理前試算表の作成
まずは集計!1年間の仕訳に「転記ミス」がないかチェックする。
※3種類の試算表でチェックする
Step 1.5: 未処理事項の整理
「忘れてた!間違えてた!」という人間的なミスを直す。
※記帳漏れや誤りを修正し、スタートラインを整える
Step 2: 決算整理
ミスではなく、ルールの適用による「ズレ」を直して、真実の数字に磨き上げる!
※在庫計算や減価償却など、7つの項目において数字を磨き上げる
Step 3: 決算整理後試算表の作成
決算整理の結果に計算ミスがないか、最終チェック!
※ここでズレがないことを確認する
Step 4: 帳簿の締切
P/Lをリセットして、今年の利益をB/S(貯金)へ移す!
※ここが簿記のクライマックス!
財務諸表の完成
B/S・P/Lが完成
経営成績と財産が見える化

当期純利益が純資産(繰越利益剰余金)へ移動するのは、Step 4「帳簿の締切」で決算振替仕訳を切ったタイミングです。
つまり、Step 3「決算整理後試算表の作成」の段階では、まだ純資産(繰越利益剰余金)に当期の利益(当期純利益)は入っていません。

  • 決算整理後 試算表(T.B.)の段階:
    まだ「繰越利益剰余金」は去年のままの数字です。当期の利益はまだ含まれていません。
  • 帳簿の締切における決算振替仕訳の瞬間:
    ここで初めて、収益と費用の差額が「純資産」の箱に注ぎ込まれます。
    この瞬間、当期の利益が「会社の財産」に確定します。
✅ 【結論】

この「決算振替仕訳」こそが、P/L(今年の成績)からB/S(会社の財産)へバトンが渡される、唯一の架け橋なのです。
だから、この仕訳を忘れると、いくら稼いでもB/Sの純資産は増えないままになってしまいます。

※繰越利益剰余金はいくら?という引っ掛け問題が非常に多いです。聞かれたタイミングによって今年の利益を入れた数字なのか、去年までの繰越利益剰余金の金額でいいのか引っ掛けになるので気をつけてください。

よくある質問

決算整理後残高試算表の繰越利益剰余金に、当期純利益は入っていますか?

まだ含まれていません。決算整理で当期の収益と費用をそろえた後、帳簿を締め切るときに、損益勘定を通して繰越利益剰余金へ振り替えます。

期末のB/Sには、当期純利益を加えた金額を載せますか?

はい。財務諸表のB/Sには、当期純利益を反映した繰越利益剰余金を載せます。決算整理後残高試算表の金額を、そのまま写すわけではありません。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。