簿記3級 決算・帳簿・財務諸表

【決算・帳簿】帳簿の締め切りとは?P/LとB/Sの「2つの異なる運命」を解説|簿記3級

「決算振替仕訳って何?」「次期繰越ってどういう意味?」帳簿の締め切りで迷子になるのは、勘定科目ごとの『運命の違い』を知らないからです。残高をゼロにリセットするP/Lグループと、来年へ引き継ぐB/Sグループ。この2つの違いを知れば、簿記のクライマックスがスッキリ理解できます!

先に結論

簿記の一連の流れも、いよいよクライマックスの「帳簿の締め切り」です。

しかし、T字勘定に赤ペンで二重線を引いたり、「次期繰越」と書いたり、面倒な作業が連続して「一体何のためにやっているの?」と迷子になっていませんか?

結論から言うと、帳簿の締め切りとは、「今年の成績表を確定させてリセットし、来年のスタートラインを整える作業」です。

このとき絶対に知っておくべきなのが、簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)は、決算日を迎えると「2つの異なる運命」をたどるということ。

この記事では、帳簿を締め切る本当の目的と、グループごとの運命の違いを初学者向けにわかりやすく解説します!

なぜ帳簿の締め切り(決算振替仕訳)で混乱してしまうのか?

初学者が帳簿の締め切りでパニックになる原因は、主に以下の3つです。

1. 「P/Lグループ」と「B/Sグループ」の運命をごちゃ混ぜにしている

損益計算書(P/L)の項目である収益・費用は、今年の成績表なので来年には引き継ぎません(=残高をゼロにリセットする)。一方、貸借対照表(B/S)の項目である資産・負債・純資産は、会社の財産なので来年もそのまま残ります(=次期へ繰り越す)。この違いを意識せずに、すべての勘定科目を同じように処理しようとすると間違えてしまいます。

2. 「決算振替仕訳」の目的を見失っている

収益と費用をリセットするために行うのが「決算振替仕訳」です。各勘定の残高を「損益」という専用の集計箱に集め、最終的にその差額(当期純利益)をB/Sの「繰越利益剰余金(純資産)」へ移動させます。この「利益のお引越し作業」をしているという全体像が見えていないと、ただの暗記になってしまいます。

3. 締め切る「順番」を知らない

帳簿の締め切りには、「①P/Lグループを先に締め切って利益を確定させる → ②その利益をB/Sグループに合流させる → ③最後にB/Sグループを締め切る」という絶対の順番があります。この順番を守らないと、利益が移動してこないため、B/Sの左右のバランスが絶対に一致しません。

ここからは、この記事の図解を使って、5要素がたどる運命の違いと、具体的な締め切りの手順を確認していきましょう。

帳簿の締め切りを図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って解説していきます。

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7. Step 4:帳簿の締切(決算振替・繰越)

いよいよ、簿記のクライマックスです。
ここでは「決算振替仕訳」という手続きを行います。

まず、簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)は、決算日を迎えると「2つの異なる運命」をたどることを知ってください。

1 グループごとの「運命」の違い

決算日(3月31日)の夜、それぞれのグループはどうなるのでしょうか?

① P/Lグループ(収益・費用)の運命
➡ 「リセット(ゼロになる)」

P/Lは「1年間の成績表」です。
来年の4月1日になったら、売上はまたゼロからスタートしなければなりません。(去年の売上を引きずっていたら、今年の頑張りがわかりませんよね?)

やること:

決算振替仕訳」をして、今年の収益と費用をすべて空っぽ(残高ゼロ)にします。これを「帳簿の締切」と呼びます。

※振替:残高を他の勘定に移動(振替)させること

② B/Sグループ(資産・負債・純資産)の運命
➡ 「繰り越し(続く)」

B/Sは「財産目録」です。
3月31日に決算が終わっても、金庫の現金や借金は消えません。翌朝4月1日にもそのまま残っています。

やること: 決算振替仕訳は不要。 ※理由:残高を他の勘定に移動させる(=振替)する訳ではないため。
  • 残高をゼロにしてリセットせず、そのまま来年の帳簿に残高を「繰り越し」ます。
💡 補足(初学者向け):

帳簿の締切は、P/Lグループを先に締めてから、B/Sグループを締めるのが基本です。
これは、P/Lで計算された当期純利益を、B/Sの純資産(繰越利益剰余金)へ移す必要があるためです。

2 P/Lグループの帳簿の締切

まずは、P/Lグループの帳簿の締切から見ていきます。
では、具体的にどうやって「リセット」し、「利益を移動」させるのか?
そのために行うのが、以下の2つの決算振替仕訳です。

決算振替仕訳①:費用・収益の残高を、「損益」勘定に移す
目的:

各収益勘定と各費用勘定の残高をすべて「損益勘定」という集計勘定に移動させ、残高をゼロにします。

結果:
  • 各収益勘定各費用勘定残高ゼロになります(=帳簿の締切
  • 損益勘定に収益と費用の残高が集められることで、結果的に損益勘定には収益と費用の差額(=当期純利益)だけが残ります
具体的な手順

下の2つの決算振替仕訳を切ることで、費用・収益の残高を「損益」勘定に集めます。

仕訳① 各費用勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「費用」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 費用のホームは「左」なので、「右(貸方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の左側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
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仕訳② 各収益勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「収益」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 収益のホームは「右」なので、「左(借方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の右側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
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決算振替仕訳②:「損益」勘定の残高を、「繰越利益剰余金」勘定に移す
目的:

損益勘定で計算された当期純利益を純資産の「繰越利益剰余金勘定」に移動させ、損益勘定の残高をゼロにします。

結果:
  • 損益勘定残高ゼロになります(帳簿の締切)
  • 繰越利益剰余金勘定(純資産)に当期純利益が移動される。
  • これにより実質的に、「1年間で稼いだ分(P/L)」が「会社の財産(B/S)」に積み上がるのです。
具体的な手順

下の決算振替仕訳を切ることで、損益勘定の残高を「繰越利益剰余金」勘定へ移します。

仕訳③ 損益勘定の残高を繰越利益剰余金勘定に移す
  • 目的: 確定した利益を、純資産(自分の財産)に加える。
  • 方法: 「損益」勘定に残っている差額(利益)を、B/Sの「繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)」へ移動させます。
💡 実際の決算振替仕訳
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4 図解で流れを理解
詳しい流れは関連記事で確認できます

決算振替仕訳の詳しい図解は、関連記事で確認できます。

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5 締切後の費用収益勘定の例

流れは大体つかめましたか?
決算振替仕訳を行うと、各勘定の借方と貸方が一致し、残高ゼロになります。
ここからは、実際に試験で出てくる勘定の形で、締切後の各勘定がどのようになっているのかを復習がてら確認していきましょう。

費用の例(締切後)

決算振替仕訳で貸方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

収益の例(締切後)

決算振替仕訳で借方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

損益の例(締切後)

収益と費用を集めた結果、損益勘定も借方=貸方にそろい、残高はゼロになります。

3 BSグループの帳簿の締切

B/S(資産・負債・純資産)の勘定は、決算後も翌期へ繰り越すのがポイントです。
「次期繰越」と「前期繰越」を書いて、帳簿を整えます。

B/Sグループは、P/Lグループと違って決算振替仕訳はしません。理由はカンタンで、B/Sは「今の時点で持っている財産・借金・元手(ストック)」だからです。
決算振替仕訳は「収益・費用をゼロにして、損益を純資産へ移す」ための手続きなので、B/S項目には必要ありません。
もしB/Sでも決算振替をしてしまうと、現金や借入金などの残高が消えてしまい、翌期のスタートがずれてしまいます。だから、B/Sは仕訳はきらず、勘定上の締切のみ(次期繰越 → 締切線 → 前期繰越)で正しく引き継ぐだけでOKです。

資産の例(現金)

資産の各勘定科目において、残高が借方にあるので、貸方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

負債の例(買掛金)

負債の各勘定科目において、残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

純資産の例(繰越利益剰余金)

純資産の各勘定科目も負債と同じように残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

利益が純資産に合流して、簿記の1年が完結する!

P/LとB/Sの運命の違い、そして帳簿を締め切る目的はイメージできましたか?

1年間コツコツと記録してきた日々の仕訳が、最後に「当期純利益」という一つの数字になり、それが会社の財産(繰越利益剰余金)へと積み上がっていく。そしてまた、新たな1年がスタートする。

この帳簿の締め切りこそが、簿記というパズルの最後のピースがカチッとはまる、一番気持ちの良い瞬間なのです!

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この記事では、「帳簿の締め切り」の考え方と2つの運命について記事向けに整理しました。関連する学習記事では、実際のT字勘定に赤線(締切線)を引くルールや、決算振替仕訳の具体的な書き方を体系的に確認できます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。