簿記3級 決算・帳簿・財務諸表

帳簿の締め切り・決算振替仕訳|損益振替と次期繰越の違い

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

帳簿の締め切りは、収益・費用をゼロにして当期の成績を区切り、資産・負債・純資産の残高を翌期へ引き継ぐ作業です。

翌期の収益や費用に、当期の分が混ざると、1年ごとの利益がわからなくなります。一方、現金や借入金は、年が変わっても残ります。この違いから、締め切り方が分かれます。

  1. 収益・費用を「損益」勘定へ集める

    各収益を借方、損益を貸方にして収益を振り替えます。費用は損益を借方、各費用を貸方にして振り替えます。収益・費用の残高はゼロになり、損益勘定に利益または損失が残ります。

  2. 利益を「繰越利益剰余金」へ振り替える

    当期純利益が出た場合は、損益を借方、繰越利益剰余金を貸方にして移します。損益勘定もゼロになり、今年の利益が純資産に加わります。当期純損失の場合は逆向きです。

  3. 資産・負債・純資産を翌期へ繰り越す

    残高を帳簿に「次期繰越」と記入し、翌期の帳簿では「前期繰越」として受け継ぎます。この繰越しのために、新たな仕訳を切る必要はありません。

損益振替は仕訳で残高を移す処理、次期繰越は残高を翌期へ引き継ぐ帳簿上の処理です。ここを分けると、締め切りの流れを追いやすくなります。

詳しい解説

帳簿の締め切り

7
7. Step 4:帳簿の締切(決算振替・繰越)
▼

いよいよ、簿記のクライマックスです。
ここでは「決算振替仕訳」という手続きを行います。

まず、簿記の5要素(資産・負債・純資産・収益・費用)は、決算日を迎えると「2つの異なる運命」をたどることを知ってください。

1 グループごとの「運命」の違い

決算日(3月31日)の夜、それぞれのグループはどうなるのでしょうか?

① P/Lグループ(収益・費用)の運命
➡ 「リセット(ゼロになる)」

P/Lは「1年間の成績表」です。
来年の4月1日になったら、売上はまたゼロからスタートしなければなりません。(去年の売上を引きずっていたら、今年の頑張りがわかりませんよね?)

やること:

「決算振替仕訳」をして、今年の収益と費用をすべて空っぽ(残高ゼロ)にします。これを「帳簿の締切」と呼びます。

※振替:残高を他の勘定に移動(振替)させること

② B/Sグループ(資産・負債・純資産)の運命
➡ 「繰り越し(続く)」

B/Sは「財産目録」です。
3月31日に決算が終わっても、金庫の現金や借金は消えません。翌朝4月1日にもそのまま残っています。

やること: 決算振替仕訳は不要。 ※理由:残高を他の勘定に移動させる(=振替)する訳ではないため。
  • 残高をゼロにしてリセットせず、そのまま来年の帳簿に残高を「繰り越し」ます。
💡 補足(初学者向け):

帳簿の締切は、P/Lグループを先に締めてから、B/Sグループを締めるのが基本です。
これは、P/Lで計算された当期純利益を、B/Sの純資産(繰越利益剰余金)へ移す必要があるためです。

2 P/Lグループの帳簿の締切

まずは、P/Lグループの帳簿の締切から見ていきます。
では、具体的にどうやって「リセット」し、「利益を移動」させるのか?
そのために行うのが、以下の2つの決算振替仕訳です。

① 決算振替仕訳①:費用・収益の残高を、「損益」勘定に移す
目的:

各収益勘定と各費用勘定の残高をすべて「損益勘定」という集計勘定に移動させ、残高をゼロにします。

結果:
  • 各収益勘定と各費用勘定の残高はゼロになります(=帳簿の締切)
  • 損益勘定に収益と費用の残高が集められることで、結果的に損益勘定には収益と費用の差額(=当期純利益)だけが残ります。
具体的な手順

下の2つの決算振替仕訳を切ることで、費用・収益の残高を「損益」勘定に集めます。

仕訳① 各費用勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「費用」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 費用のホームは「左」なので、「右(貸方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の左側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
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仕訳② 各収益勘定を損益勘定に移す
  • 目的: 今年の「収益」勘定をゼロにする(リセット)。
  • 方法: 収益のホームは「右」なので、「左(借方)」に仕訳して消し込み、その分を「損益」の右側に移します。
💡 実際の決算振替仕訳
××
××
② 決算振替仕訳②:「損益」勘定の残高を、「繰越利益剰余金」勘定に移す
目的:

損益勘定で計算された当期純利益を純資産の「繰越利益剰余金勘定」に移動させ、損益勘定の残高をゼロにします。

結果:
  • 損益勘定の残高はゼロになります(帳簿の締切)
  • 繰越利益剰余金勘定(純資産)に当期純利益が移動される。
  • これにより実質的に、「1年間で稼いだ分(P/L)」が「会社の財産(B/S)」に積み上がるのです。
具体的な手順

下の決算振替仕訳を切ることで、損益勘定の残高を「繰越利益剰余金」勘定へ移します。

仕訳③ 損益勘定の残高を繰越利益剰余金勘定に移す
  • 目的: 確定した利益を、純資産(自分の財産)に加える。
  • 方法: 「損益」勘定に残っている差額(利益)を、B/Sの「繰越利益剰余金(くりこしりえきじょうよきん)」へ移動させます。
💡 実際の決算振替仕訳
××
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4 図解で流れを理解
詳しい流れは関連記事で確認できます

決算振替仕訳の詳しい図解は、関連記事で確認できます。

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5 締切後の費用収益勘定の例

流れは大体つかめましたか?
決算振替仕訳を行うと、各勘定の借方と貸方が一致し、残高はゼロになります。
ここからは、実際に試験で出てくる勘定の形で、締切後の各勘定がどのようになっているのかを復習がてら確認していきましょう。

費用の例(締切後)

決算振替仕訳で貸方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

収益の例(締切後)

決算振替仕訳で借方に「損益」を入れて、借方=貸方になります。

損益の例(締切後)

収益と費用を集めた結果、損益勘定も借方=貸方にそろい、残高はゼロになります。

3 BSグループの帳簿の締切

B/S(資産・負債・純資産)の勘定は、決算後も翌期へ繰り越すのがポイントです。
「次期繰越」と「前期繰越」を書いて、帳簿を整えます。

B/Sグループは、P/Lグループと違って決算振替仕訳はしません。理由はカンタンで、B/Sは「今の時点で持っている財産・借金・元手(ストック)」だからです。
決算振替仕訳は「収益・費用をゼロにして、損益を純資産へ移す」ための手続きなので、B/S項目には必要ありません。
もしB/Sでも決算振替をしてしまうと、現金や借入金などの残高が消えてしまい、翌期のスタートがずれてしまいます。だから、B/Sは仕訳はきらず、勘定上の締切のみ(次期繰越 → 締切線 → 前期繰越)で正しく引き継ぐだけでOKです。

資産の例(現金)

資産の各勘定科目において、残高が借方にあるので、貸方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

負債の例(買掛金)

負債の各勘定科目において、残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

純資産の例(繰越利益剰余金)

純資産の各勘定科目も負債と同じように残高が貸方にあるので、借方に「次期繰越」として残高を記入し、借方と貸方の合計金額を一致させて締め切ります。

よくある質問

収益・費用の残高を、翌期へそのまま繰り越さないのはなぜですか?

当期と翌期の成績を分けるためです。収益と費用を損益勘定へ振り替えて残高をゼロにし、翌期は新たに集計を始めます。

現金や借入金も、決算でゼロにするのですか?

年が変わっても財産や義務は残るので、資産・負債・純資産の残高は翌期へ引き継ぎます。収益・費用とは締め切り方が異なります。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。