簿記3級 決算・帳簿・財務諸表

【決算・帳簿】未処理事項と決算整理の違いとは?簿記3級の決算整理7項目まとめ|簿記3級

決算の総合問題で、どこから手をつけていいか分からずパニックになっていませんか?決算には「人間のミスを直す(未処理事項)」をしてから、「ルールのズレを直す(決算整理)」という絶対の順番があります。この2つの違いと、7つの決算整理項目の本当の目的をわかりやすく解説します!

先に結論

簿記3級の総合問題(決算)を解いていると、問題文に「〇〇の記帳が漏れていた」「建物の減価償却を行う」など、たくさんの指示が並んでパニックになりませんか?

結論から言うと、これらをすべて同じ「修正作業」だと思って適当な順番で処理してはいけません。決算の修正には、明確に役割の違う「2つのステップ」が存在します。

Step 1(未処理事項の整理): 記帳漏れや間違いなど、「人間のミス」を直す作業

Step 2(決算整理): ミスではなく、時間の経過などで生じた「現実とのズレ」を直す作業

必ず「未処理事項」を片付けてから「決算整理」に入るのが簿記の鉄則です。この記事では、この2つの作業の決定的な違いと、決算整理で登場する7つの項目の「本当の目的」をわかりやすく解説します!

なぜ決算の修正作業で混乱してしまうのか?

初学者が決算整理の問題で手が止まってしまう原因は、主に以下の3つです。

1. 「未処理事項」と「決算整理」をごちゃ混ぜにしている

「1,000円で記録するところを100円と書き間違えた(記録の誤り)」という人間のミスと、「1年間使った建物の価値を減らす(減価償却)」という会計ルールの調整。この2つは全く性質が異なります。人間のミス(マイナスの状態)を直して「正しいスタートライン(ゼロ)」に立たないと、高度な決算整理には進めません。

2. 決算整理で「本質的に何をやっているのか」を知らない

決算整理仕訳は、ただの暗記テストではありません。本質的にやっていることは「今年の費用・収益を今年のものに揃える(帳尻合わせ)」か、「上がったり下がったりした価値を正しい数字に直す(価値合わせ)」の2つだけです。この目的を知らずに仕訳の形だけを覚えようとするから、少し問題の出し方が変わるだけで解けなくなってしまいます。

3. 7つの項目の「目的」が見えていない

簿記3級では「売上原価の算定」や「貸倒れの見積もり」など、主に7つの決算整理項目を学びます。これらを「とりあえずしーくりくりしーと書く」と作業として暗記するのではなく、「これは今年の費用に揃えるためにやっているんだな」と俯瞰して見ることが、決算マスターへの一番の近道です。

ここからは、この記事の図解を使って、未処理事項と決算整理の違い、そして7つの項目の本当の目的を図解でスッキリ整理していきましょう。

未処理事項の整理と決算整理を図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って、未処理事項の整理と決算整理の違い、簿記3級で学ぶ決算整理項目を確認します。

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4. Step 1.5:未処理事項の整理(ミスの修正)

試算表の左右が一致した!さあ決算整理だ!……と焦ってはいけません。
その前に、「やるべきことをやっていなかった(未処理)」ものを片付ける必要があります。

1年間の記録を振り返って、「あ!3日前の取引、記帳し忘れてた!」「金額を1,000円じゃなくて100円って書いちゃってた!」と気づくことがあります。

高度な決算整理に入る前に、まずはこの「当たり前の記録(日常の仕訳)」を完璧な状態にしなければなりません。これを「未処理事項の整理」と呼びます。

具体的には、未処理事項の整理には以下の2つがあります。

取引の記帳漏れ

忘れていた取引を追加で仕訳する。

記録の誤り

間違った仕訳を修正する(訂正仕訳)。

鉄則

マイナス(ミスのある状態)をゼロ(普通の正しい状態)に戻す作業です。これをやって初めて、正しい決算整理のスタートラインに立つことができます。

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5. Step 2:決算整理(ズレの修正)

人間のミスを直したら、いよいよ「数字を磨き上げる(価値を修正する)」作業に入ります。これが「決算整理仕訳」です。
これは人間が間違えた「ミス」ではありません。日々の正しい仕訳だけではどうしても表現しきれない、「時間の経過」や「ルールの違い」によって発生する【現実とのズレ】を直す作業です。

【本質的にやっていることは2つだけ】
  • 「今年の費用は今年のものに、今年の収益は今年のものに揃える(帳尻合わせ)」
  • 「価値が上がったり下がったりしているものがあれば、正しい価値に直す」
    (持っていた株が値上がりしていたら、その分資産は増えるので資産を増やして現時点の正しい価値に合わせてあげる)
1 3級で学ぶ決算整理事項(7つの帳尻合わせ・価値合わせ)
決算整理項目 目的(結局何をしているのか?)
① 売上原価の算定 費用を今年の費用だけに揃える。
仕入れたけど、まだ売れ残っている在庫を今年の費用から引く。
(しーくり・くりしー)
② 現金過不足 帳簿を事実に合わせる。
帳簿と実際の現金が合わない場合、原因不明分を「雑損・雑益」で調整する。
③ 貸倒れの見積もり 費用を今年の費用に揃える。
「返ってこないかも…」というリスク(貸倒引当金)を、今年の費用にする。
④ 減価償却 費用を今年の費用に揃える。
建物や車が「1年使って古くなった価値」を計算して、今年の費用にする。
⑤ 貯蔵品の振替 費用を今年の費用に揃える。
使いきれずに余った切手などを費用から、”貯蔵品”という資産にして繰り越す。
⑥ 当座借越 負債の場所を正しくする。
当座預金のマイナス分を「当座借越(借入金)」という負債に直す。
⑦ 経過勘定項目 費用・収益を今年のものに揃える。
前払いや未払いなど、期間のズレを調整する。

マイナスをゼロに戻してから、数字を磨き上げる!

未処理事項の整理と決算整理の違いはイメージできましたか?

決算の問題文を見たら、いきなり上から順番に解き始めるのではなく、「あ、この問題の1番と2番は人間のミス(未処理事項)だな」「3番以降はルールのズレ(決算整理)だな」と、まずは頭の中でしっかり仕分けをしてみてください。

この「直す順番」と「何のために直しているのか」という視点を持つだけで、難しく見えていた決算の総合問題が、驚くほどスムーズに解けるようになりますよ!

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この記事では、「未処理事項の整理と決算整理の違い」の考え方を分かりやすく整理しました。関連する学習記事では、この7つの決算整理が終わった後に待ち受けている「決算整理後試算表」や「帳簿の締切」へと進む流れを、順番に詳しく確認できます!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。