簿記3級 貸倒引当金

貸倒引当金の計算方法|設定額と繰入額はどう違う?

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

貸倒引当金の設定額は、決算後に残しておきたい金額です。対象となる期末の債権残高に、問題で指定された貸倒実績率を掛けて求めます。

設定額 = 対象となる期末債権残高 × 貸倒実績率

貸倒実績率は、過去の実績から見た回収不能の割合です。売掛金だけなのか、受取手形なども含むのか、対象を確認して計算します。ここで求めるのは、今すでに貸倒れが確定した額ではなく、将来の回収不能の見込みです。

計算する金額を分ける
金額意味
設定額(必要額)決算整理が終わった後に、貸倒引当金の残高として残したい額。
決算整理前の残高すでに帳簿に残っている貸倒引当金の額。
繰入額必要額に対して不足しているため、今回追加する額。

差額補充法では、設定額から整理前残高を差し引きます。不足ならその差額を繰り入れ、残高が多ければ超過分を戻し入れます。残高がゼロの場合だけ、設定額と今回の繰入額が一致します。

先に「決算後はいくら残すか」を決め、その後で「今ある残高からいくら動かすか」を求めるのが、計算の順番です。

詳しい解説

算定式と仕訳の型

4
Step 1:決算 - 貸倒引当金の設定 -
▼
1 貸倒れの見積額の算定方法

決算日を迎えました。今年の売掛金に対して「来年、回収できなくなるかもしれない金額」を見積もって、準備をしておきます。

まずは、期末の売掛金について「いくら回収できなさそうか=回収不能見込み額(=いくら引当金を用意しておくべきか)」を計算します。 試験では次の式をそのまま使います。

算定式
回収不能見込み額 = 期末売掛金残高 × 貸倒実績率
  • 回収不能見込み額:期末売掛金残高 × 貸倒実績率で計算する、将来回収できないと見込む金額
  • 貸倒実績率:「過去の経験上、だいたい何%くらいは回収できなくなる」という割合。問題文で2%などと指示されます。
例 例題(決算:見積計算)
問題

決算日。期末売掛金 500,000円、貸倒実績率 2% とする。
回収不能見込み額はいくらか。

解答
500,000 × 2% = 10,000円
解説

まず、この計算で「何を求めたのか」をしっかりイメージしましょう。

計算の目的:「目標のクッション額(貸倒引当金)」を決めること

この計算は、「いま帳簿にある売掛金のうち、来年どれくらい回収できなくなりそうか?」という未来の危険度を予測するためのものです。

500,000円: 決算日時点で、まだお客さんから回収できていないツケ(売掛金)の総額です。

2%: 「過去の経験上、だいたいこのくらいの割合で回収できなくなる」という実績データ(貸倒実績率)です。

これを掛け合わせた 10,000円(500,000×2%) という数字が、決算が終わったあとに「貸倒引当金(クッション)の残高として、最終的に残っていてほしい目標金額」になります。

初学者が勘違いしやすいポイント

ここで一番大事なのは、この10,000円は「今すぐ誰かが倒産して損をした額」ではないということです。

今はまだ誰も倒産していませんし、本当は来年50万円全額を回収できるかもしれません。しかし、「念のため、これくらいは失敗するリスクとして覚悟して準備しておこう」という、あくまで見込みの金額なのです。

ここから先の決算整理仕訳では、この「10,000円」という目標金額に向けて、帳簿のクッション(貸倒引当金)を足したり引いたりして調整していくことになります。

2 決算整理仕訳

目標金額が決まったら、決算整理仕訳を切ります。まずは金額を気にせず、勘定科目の「型」を押さえてください。

×××
×××

借方:貸倒引当金繰入(費用)

「今年の売上には、これくらい失敗リスクがあるよ」という今年の覚悟。
今年の費用としてP/Lに計上します。

貸方:貸倒引当金(資産のマイナス)

「全部は回収できないかもしれない」というB/S用のクッションです。

例 例題で確認する
問題

回収不能見込み額 10,000円を決算で設定する。仕訳を行いなさい。

解答
10,000
10,000

よくある質問

貸倒引当金の設定額と繰入額は同じですか?

設定額は決算後に残したい金額、繰入額は今回追加する金額です。差額補充法では、残っている引当金を考慮するため、両者が常に同じになるわけではありません。

貸倒実績率は、どの金額に掛けますか?

問題で指定された対象債権の期末残高に掛けます。売掛金だけか、受取手形なども含むかを確認して、回収不能の見込み額を求めます。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。