簿記3級 貸倒引当金

貸倒引当金とは?まだ貸倒れていないのに計上する理由

この記事の目次

まず、ここだけ押さえよう

貸倒引当金は、売掛金などのうち、将来回収できないと見込む金額を示す勘定です。決算でその見込みを反映し、資産と利益を適切な金額で示します。

掛けで販売すると、売上と売掛金を記録します。しかし、そのすべてを回収できるとは限りません。まだ貸倒れが確定していなくても、回収できない見込みを無視すると、資産や当期の利益を大きく見せてしまいます。

貸倒引当金を設定する2つの目的
決算書何を反映するか
P/L(損益計算書)貸倒れの見込みを当期の費用に反映し、収益とそれに対応する費用をそろえる。
B/S(貸借対照表)売掛金などから貸倒引当金を差し引き、回収できる見込みの額を示す。

引当金の不足分を増やす決算整理

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借方の「貸倒引当金繰入」は当期の費用、貸方の「貸倒引当金」は資産から差し引くための記録です。現金を別の口座に積み立てる仕訳ではありません。すでに引当金が残っている場合は、必要な残高との差額を調整します。

詳しい解説

貸倒引当金が必要な理由

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導入:なぜ貸倒引当金が必要なのか
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ストーリー導入:あなたが「ツケ払いOK」の服屋さんだったら?

想像してみてください。あなたは服屋さんを経営しています。
今年、常連のAさんに10万円のコートを「代金は来月でいいよ」と掛け(ツケ)で販売しました。現金はまだ受け取っていませんが、 帳簿には「売上 10万円」「売掛金 10万円」が立っています。

ところが年末の決算直前、こんな情報が入ります。
「Aさん、かなり資金繰りが悪くて、このままだと代金を払えないかもしれない……」

得意先の倒産などで、売掛金などの債権を回収できなくなることを貸倒れ(かしだおれ)といいます。
さて、Aさんが危ないという情報が入ったとき、帳簿や決算書をそのままにしておくと何が問題なのでしょうか。大きな問題が2つあります。

1. 売掛金は残す まだ請求権はあるので、売掛金そのものは消しません。
2. 見込みを費用にする 回収できないかもしれない分を、当期の費用として見積もります。
3. 資産を実質額で見せる 貸倒引当金を売掛金のマイナスとして置き、B/Sを現実に近づけます。

① B/S(貸借対照表)の問題:資産を大きく見せすぎている

帳簿上は「10万円もらえる権利(売掛金)」があります。しかし、現実には返ってこないかもしれません。
それなのに決算書に「売掛金 100,000円」と満額で載せると、会社の財産を実際より大きく見せることになってしまいます。

② P/L(損益計算書)のズレ:今年の失敗を、来年に押し付けている

当期の売上によって生まれた売掛金が回収できなくなるリスク(損失)は、本来「当期の売上」に原因(起因)があるものです。
それなのに、翌期以降になってから「やっぱり回収できませんでした」と翌期の損失として処理してしまうと、今年は損失が反映されないので 「利益が出た!」と見えてしまい、来年は今年の損失が急に表れて「急に大損した!」となってしまいます。
売上(収益)を立てた年と、その売上が原因で発生した損失(費用)を負担する年がズレてしまうのです。これは、簿記の重要ルールである 費用収益対応の原則に反してしまいます。

この2つの問題を、決算のタイミングで一気に直すクッション。
それが貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)です。

貸倒引当金を設定することで、2つの決算書は次のように「正しい姿」へと生まれ変わります。

P/L(損益計算書)では:
「将来回収できなくなる見込みの金額」を、あらかじめ当期の費用として計上します。これにより、今年の売上が原因となる損を、ちゃんと今年のうちに負担させることができます。

B/S(貸借対照表)では:
売掛金を満額のまま載せるのではなく、「回収できなさそうな分」を差し引いて、実際に回収できそうなリアルな金額(実質的な価値)に近づけて見せることができます。

よくある質問

まだ貸倒れが起きていないのに、引当金を設定するのはなぜですか?

売掛金などを全額回収できるとは限らないためです。回収できない見込みを決算に反映することで、資産や当期の利益を大きく見せすぎないようにします。

貸倒引当金は、現金を積み立てる処理ですか?

現金を別の口座に移す処理ではありません。資産から差し引くための引当金を記録し、不足する分を貸倒引当金繰入という費用にします。

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著者
effboki編集部
監修
effboki代表清水 和
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。