簿記3級 商品売買・三分法

【商品売買】前払金・前受金とは?資産・負債になる理由と仕訳のやり方|簿記3級

前払金は資産、前受金は負債。これを単に丸暗記していませんか?お金を払った側は「商品を受け取る権利」を得るから資産に、お金をもらった側は「商品を渡す義務」を背負うから負債になります。仕訳の丸暗記を防ぐ、勘定科目の本質と取引の流れをスッキリ解説します。

先に結論

商品の仕入や販売に先立って手付金(前金)をやり取りした際に使う「前払金」と「前受金」。これらが簿記の5要素のうちどのグループに入るのか、結論から言うと以下のようになります。

前払金(資産): 手付金を先に「払った」側が使う勘定科目。「お金を払ったのだから、将来確実に商品を受け取る権利」を手に入れるため、資産(債権)になります。

前受金(負債): 手付金を先に「受け取った」側が使う勘定科目。「お金をもらったのだから、将来確実に商品を渡さなければならない義務」を背負うため、負債(債務)になります。

簿記の絶対ルールとして「仕入や売上は、商品が実際に動いたときに記録する」という原則があります。お金だけが先に動いた段階では、まだ「仕入」や「売上」として記録できないため、一時的な権利や義務として処理することがポイントです。

なぜ前払金と前受金で間違えてしまうのか?

初学者がこれらの勘定科目でつまずき、仕訳を間違えてしまう原因は主に以下の3つです。

1. お金が動いた瞬間に「仕入」「売上」にしてしまう

「手付金を払った=仕入」「手付金を受け取った=売上」と勘違いしてしまうケースが非常に多いです。お金が動いても、商品が引き渡されていなければ仕入や売上は計上できません。「商品が動いたタイミングで計上する」というルールを忘れると、誤った仕訳を切ってしまいます。

2. 資産と負債のグループ(ホームポジション)が逆になる

「お金を払ったからマイナス(負債)」「お金をもらったからプラス(資産)」という日常生活の金銭感覚で考えてしまうと、ホームポジションを間違えます。前払金は「商品を受け取る権利」だから資産、前受金は「商品を渡す義務」だから負債というように、発生する「権利と義務」に着目する必要があります。

3. 言葉の似ている「未払金・未収入金」などと混同する

前払金・前受金は「商品の引き渡し前」に発生する手付金です。一方、未払金や未収入金は「商品の引き渡し後(または本業以外の取引)」に代金が後払いになった際に使います。取引の時間軸(前か後か)を整理せずに単語だけを暗記しようとすると、問題文を読んだ時に混乱してしまいます。

前払金とは・前受金を図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って解説していきます。

5
Step 5:前払い・前受け(商品売買に絡む前払金・前受金)

人気のゲームソフトを予約したり、特注のケーキを注文したりするとき、先にお金(手付金)を払うことがありますよね。商売の世界でも、商品の仕入や販売に先立って、手付金(前金)をやり取りすることがよくあります。

このとき、お店とお客さん(あるいは仕入先)の間で「お金は動いたけれど、商品はまだ渡していない(受け取っていない)」という状況が生まれます。

簿記の絶対ルールは「商品が動いたときに、仕入・売上を記録する」こと。つまり、お金だけが動いたこの段階では、まだ「仕入」や「売上」という勘定科目は使えません。そこで登場するのが、一時的な処理として使う「前払金(まえばらいきん)」「前受金(まえうけきん)」です。

自分が前金を「支払う側」「貰う側」かで、発生する権利や義務が全く逆になります。

① 買う側(手付金を払った時)= 前払金

先に手付金を払った側は、「お金を払ったんだから、将来、確実に商品を受け取る権利」を手に入れます。この「権利」を持っている状態なので、前払金は「資産(債権)」のグループとして扱います。

② 売る側(手付金をもらった時)= 前受金

先に手付金をもらった側は、「お金をもらったんだから、将来、確実に商品を渡さなければいけない義務」を背負うことになります。この「義務(約束)」を背負っている状態なので、前受金は「負債(債務)」のグループとして扱います。

基本の仕訳の型
手付金(前金)を払ったとき
××
××
手付金(前金)を受け取ったとき
××
××
前払金(資産)
前払金を渡した時
前払金を支払っていた商品を受け取ったとき
前払金残額
前受金(負債)
前受金を貰ってた商品を受け取ったとき
前受金を受け取った時
前受金残高
【例題10】前払金を払った場合
例題

来月納品予定の商品代10,000円を前払いした。後日、商品が届いた。

解答
10,000
10,000
解説

現金は減りましたが、商品はまだ届いていないので「仕入」にはできません。代わりに、「将来、商品を受け取る権利」のチケットとして「前払金(資産)」を記録します。

前払金(資産)
10,000
 
後日、商品が届いた時はこんな仕訳になる
10,000
10,000
前払金(資産)
10,000
10,000
仕入(費用)
10,000
 

後日、商品が届いたら堂々と「仕入」を記録します。そして、役割を終えた「前払金(予約チケット)」を消滅させます。

【例題11】前受金を受け取った場合
例題

来月引き渡す商品の代金20,000円を前受けした。後日、商品を渡した。

解答
20,000
20,000
解説

現金をもらいましたが、商品はまだ渡していないので「売上」にはできません「将来、商品を渡さなければいけない義務」として、「前受金(負債)」を記録します。

前受金(負債)
 
20,000
後日、商品を渡した時はこんな仕訳になる
20,000
20,000
前受金(負債)
20,000
20,000
売上(収益)
 
20,000

後日、商品を渡して約束を果たしたら、ここで初めて「売上」を記録します。同時に、役割を終えた「前受金(義務)」を消滅させます。

手付金は「将来の権利と義務」を表す一時的な記録!

前払金と前受金がそれぞれ資産・負債になる理由はイメージできましたか?

「お金だけが先に動いて、商品はまだ動いていない」という状況を理解することが最大のポイントです。商品を確実に受け取る権利(資産)と、商品を確実に渡す義務(負債)。この権利と義務は、後日実際に商品の引き渡しが行われた(仕入・売上が発生した)タイミングで消滅することになります。

本試験では、この「手付金をやり取りした時」と「後日商品を引き渡した時」の仕訳がセットで問われることが多いので、一連の流れとしてしっかり押さえておきましょう!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。