簿記3級 商品売買・三分法

【決算整理】三分法とは?仕入・売上・繰越商品と決算整理の仕組みを解説|簿記3級

「まだ売れていない商品なのに、なんで買った瞬間に『仕入(費用)』にしちゃうの?」そんな初学者の最大の疑問をスッキリ解決!三分法は「毎日はズボラに記録して、決算でビシッとリカバリーする」というダイナミックな仕組みです。丸暗記が不要になる、三分法のストーリーを解説します!

先に結論

簿記の学習で多くの初学者が最初に戸惑うのが、商品売買の記録方法である「三分法(さんぶんぽう)」の強烈なクセです。

商品を仕入れてお店に並べた。これは売れるまではお店の財産(資産)のはずなのに、「なんで買った瞬間に『仕入(費用)』として記録してしまうの?」と疑問に思いませんか?

結論から言うと、三分法は「毎日の記録は超ズボラに(ラクに)済ませて、1年の最後の決算の日にビシッと完璧に修正する」という、実務の忙しさを考慮したダイナミックな仕組みを持っています。

仕入(費用): 買った時は、とりあえず全部この箱に放り込む!

売上(収益): 売れた時は、全部この箱に入れる!

繰越商品(資産): 決算の日に、売れ残った商品を救出してこの箱に移す!

この記事では、単なる用語の暗記ではなく、この3つの勘定科目を使った「三分法のストーリー」をわかりやすく解説します!

なぜ三分法(商品売買の記録)でつまずいてしまうのか?

初学者が三分法や決算整理でモヤモヤしてしまう原因は、主に以下の3つです。

1. 買った瞬間に「費用」にすることへの違和感を放置している

「買った商品は資産(財産)のはず」という正しい感覚を持っている人ほど、「なぜ仕入(費用)にするの?」とつまずきます。「毎日売れた分だけ資産から費用に減らしていくのは、現場が忙しすぎて無理だから」という実務上の理由を知らないと、仕訳が丸暗記になってしまいます。

2. 決算の日に起きる「ヤバいこと」に気づいていない

とりあえず買った分を全部「仕入(費用)」に放り込んだまま1年の終わり(決算日)を迎えるとどうなるでしょう?もし売れ残っている商品があったら、「まだ売れていない商品の分まで今年の費用に混ざっている(費用が多すぎる!)」という大問題が発生します。

3. 「三分法=3つの単語」と形だけを覚えようとする

「仕入・売上・繰越商品の3つを使うから三分法」と単語だけを覚えても意味がありません。期中は「仕入」と「売上」の2つだけでラクに回し、期末(決算)にヤバいことに気づいて「繰越商品」を登場させる。この一連の流れ(ストーリー)が見えていないと、本試験の総合問題で何をしているのか分からなくなります。

三分法を図解で順番に解説

ここからは、この記事の図解を使って、三分法の強烈なクセと「売れ残りの救出」のストーリーを図解でスッキリと腑に落としていきましょう。

8
期末の処理(決算整理仕訳)※ここが今回の単元!
決算整理「前」の各勘定の意味

では、いよいよ決算整理仕訳をおこないます。

三分法は、繰越商品勘定仕入勘定売上勘定の三つの勘定科目を使用して、商品売買の取引を記録する方法でした。

まずは仕訳をする前に、今の帳簿(決算前)で、それぞれの各勘定科目が何を表しているのかを確認していきましょう。

売上勘定

今の意味:今年の売上高」を表している。

なぜ?:三分法のルールにより、期中に商品が売れるたびに記録してきたからです。これは「今年の正しい収益」なので、決算で直す必要はありません。

仕入勘定

今の意味:当期仕入高」を表している。

なぜ?:期中に商品を仕入れた時点ですべて「仕入」に放り込んできたからです。売れ残りも混ざったままの途中の数字です。

繰越商品勘定

今の意味:期首商品額(去年の残り)」を表している。

なぜ?:期中に商品が売れてもいちいち減らす記録をしません。そのため、去年の決算から1年間ずっと放置されており、去年の古い数字のまま止まっています。

▼ 決算整理仕訳で「やりたいこと」とは?
決算で本当に知りたい数字は、売れ残りを含んだ「当期仕入額」や「去年の古い在庫」ではありませんよね。
そこで、ズレてしまっている勘定科目の数字を「今年の正しい数字」に直してあげます。具体的には次の2つが目標です。
仕入勘定の数字を「売上原価」にする

勘定科目の名前は「仕入」という名前のままですが、中身の数字を、今年の正しい費用である「売上原価(本当に売れた分の原価)」に変えてあげます。

繰越商品勘定の数字を「期末商品」にする

中身が期首商品(去年の残り)のままなので、今現在お店にある正しい在庫である「期末商品」に変えてあげます。

勘定科目
決算前の意味
決算後の意味
ポイント
当期仕入高を表す
売上原価を表す
決算整理でいちばん意味が変わる勘定です。
期首商品額を表す
期末商品額を表す
古い在庫の数字を、決算日の在庫の数字へ直します。
売上高を表す
売上高を表す
すでに今年の正しい収益なので、この決算整理では直しません。
▼ どうやって直すの?(仕入勘定の中で計算しよう!)
では、どうやって帳簿の数字を直せばいいのでしょうか。ここで、前のカードで確認した売上原価の計算式を思い出してください。
売上原価 = 期首商品 + 当期仕入 - 期末商品

今の「仕入勘定」の中には、もともと「当期仕入」が入っていますよね。
だから、仕入勘定に①「期首商品」を足し込み、そこから今年の売れ残りである②「期末商品」を引く(抜き出す)。

この2つの操作(仕訳)をするだけで、仕入勘定の残高は自動的に計算されて「売上原価」の金額に生まれ変わります。

そして、仕入勘定から抜き出した期末商品を繰越商品勘定に入れてあげれば、在庫の記録も今年の正しい数字に直りますよね。
だからこそ、決算整理では「足す仕訳」「引く仕訳」の2本の仕訳を行うのです。
では、実際にどのように仕訳をして数字を移動させるのか、2つのステップを見ていきましょう。

1 決算整理仕訳① 足す:期首商品を仕入へ移す

① 期首商品の金額を仕入へ移す

前期から残っていた商品も、今期に売れたかもしれません。そこでまず、期首商品仕入勘定 に入れて、今期売る可能性があった商品をひとまとめにします。

×××
×××
繰越商品勘定
期首商品
仕入勘定に移す
この仕訳で 繰越商品勘定 の残高は 0 になります。
仕入勘定
当期仕入
期首商品
この仕訳で 仕入勘定 の残高は 期首商品額 + 当期仕入額 になります。これで売上原価の計算式の「前半部分(足し算)」が完了しました。
2 決算整理仕訳② 抜く:期末商品を繰越商品へ戻す

② 期末商品の金額を繰越商品へ戻す

ひとまとめにした仕入勘定の中には、今年の売れ残りも混ざっています。売れ残りは今年の費用ではなく、来年も売ることができる「資産」です。そこで、期末商品仕入勘定から引いて(抜き出して)、空っぽになった繰越商品勘定へ救出してあげます。

×××
×××
仕入勘定
当期仕入
期首商品
期末商品
売上原価
この仕訳で 仕入勘定 の残高は、売上原価(期首商品額 + 当期仕入額 - 期末商品額) になります。
繰越商品勘定
期首商品
期末商品
仕入勘定に移す
期末商品
この仕訳で 繰越商品勘定 の残高は、期末商品額 になります。

日々のズボラを、決算で完璧にリカバリーする!

三分法の特徴的な「クセ」と、そのストーリーはイメージできましたか?

「とりあえず全部費用に入れておく!」という期中の大胆な割り切りがあるからこそ、決算の日に「売れ残りを資産の箱へ救出する(しーくりくりしー)」という大逆転劇が必要になるのです。

このダイナミックな仕組み(ストーリー)さえ分かっていれば、今後どんな商品売買の仕訳問題が出ても「あ、今はあのズボラな記録をしてるんだな」「今は決算の救出作業をしてるんだな」と、パズルのようにスラスラ解けるようになりますよ!

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著者
effboki編集部
監修
effboki簿記学習設計チーム
公開日
更新日

この記事は、簿記3級・2級の学習者がつまずきやすいポイントを、教材設計と質問対応の観点から整理しています。