色々な取引と債権債務 (Various Transactions and Receivables/Payables)
重要度:★★★★★▼
色々な取引と債権債務 (Various Transactions and Receivables/Payables)
先に「もらう/払う」で債権・債務を決め、次に取引の内容と手段で科目名を選ぶ。
会社では、現金で終わる取引だけでなく、後日回収・後日支払・手形・電子記録・クレジットなど、取引に応じて使用する勘定科目が変わる。
導入(フック & Why)
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最初にやるのは、科目名当てではありません。「あとでもらう話か」「あとで払う話か」を決めることです。
- あとでもらうなら 債権(資産)、あとで払うなら 債務(負債) と見る。
- 債権か債務かが決まったら、取引の中身で勘定科目を選ぶ。
- 手形・電子記録・クレジットは、独立した別判定ではなく、取引の手段として最後に読み替える。
会社の取引では、現金でその場で終わるものだけでなく、あとで受け取る取引、あとで支払う取引もたくさんあります。
みんなの買い物では、現金やクレジットカードで支払って、その場でひとまず終わることが多いですよね。
でも会社では、取引の内容に合わせて、使う勘定科目が変わります。商品を売って代金をあとで受け取るなら売掛金、備品を買って代金をあとで支払うなら未払金、というように、同じ「現金がまだ動いていない取引」でも中身によって名前が変わります。
会社では次のように色々な取引が日々生まれます。
- 商品を売ったが、代金は来月受け取る
- 備品を買ったが、支払は後日になる
- 現金を貸したので、あとで返してもらう / 現金を借りたので、あとで返す
- 社員の交通費をいったん立て替えた / 源泉所得税などをいったん預かった
- 商品の受け渡しはまだだが、代金だけ先に払った / 先にもらった
- 売買そのものは同じでも、現金ではなく手形・電子記録・クレジットで処理した
取引は商品の売買だけではありません。お金を貸して後で返してもらうなら 「貸付金」、お金を借りて後で返すなら 「借入金」 が発生します。
つまり、現金を貸すということは、現金を渡して、代わりに将来現金を返してもらえる権利(資産)を得たということです。反対に、現金を借りたら、「将来、現金を返さなければならない義務(負債)」が生まれます。
全体像(俯瞰図・構造マップ)
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最初から「売掛金かな、貸付金かな、未払金かな」と科目名を当てに行くと迷いやすくなります。先に後でもらう取引か、後で払う取引かをつかむと、そのあとに債権・債務、さらに勘定科目へと自然に進めます。
「権利なのか義務なのか」。ここが決まれば、問題文の読み方が一気に安定します。
Q1 まず、権利なのか義務なのかを判別する
- あとでもらう → 債権(資産)
- あとで払う → 債務(負債)
ここでは、まだ売掛金・買掛金などの名前までは決めません。まずは「権利なのか義務なのか」を決めるだけで十分です。
最初は、「将来、現金をもらえる権利なのか」、「将来、現金を支払わなければならない義務なのか」と考えて大丈夫です。ここが見えると、そのあとに選ぶ勘定科目もぐっと整理しやすくなります。
Q2 次に、取引の中身に合わせて勘定科目を決定する
Q1で債権か債務かが見えたら、次は「どんな取引なのか」で勘定科目を決めます。
- ツケ(本業の売買の口約束)→ 売掛金 / 買掛金
- ツケ(本業以外の売買の口約束)→ 未収入金 / 未払金
- 貸し借り(お金そのものの貸し借り)→ 貸付金 / 借入金
- 立替・預り(一時的に代わりに払う / 預かる)→ 立替金 / 預り金
- 前払い・前受け(取引の前にお金だけ動いた)→ 前払金 / 前受金
- 仮置き(内容がまだ不明)→ 仮払金 / 仮受金
どの債権・債務でも、仕訳の動きはこの4つ
| 状態 | 仕訳の型 | 意味 |
|---|---|---|
| 債権が発生 |
債権
×××
相手科目
×××
|
もらえる権利が増える |
| 債権が消滅 |
相手科目
×××
債権
×××
|
もらえる権利がなくなる |
| 債務が発生 |
相手科目
×××
債務
×××
|
払う義務が増える |
| 債務が消滅 |
債務
×××
相手科目
×××
|
払う義務を果たす |
この単元でやる取引と勘定科目一覧
一覧表(場面・勘定科目・仕訳の型)
| 場面 | 勘定科目 | この勘定科目を使用する時 | 仕訳の型(最小形) |
|---|---|---|---|
| 本業の売買をツケで取引 | 売掛金 | 本業の商品・サービスをツケ(掛け)で売った時。代金は後で受け取る。 |
発生
売掛金 ××× 売上 ××× 消滅
現金等 ××× 売掛金 ××× |
| 買掛金 | 本業の商品をツケ(掛け)で仕入れた時。代金は後で支払う。 |
発生
仕入 ××× 買掛金 ××× 消滅
買掛金 ××× 現金等 ××× |
|
| 本業以外の売買をツケで取引 | 未収入金 | 備品など、本業以外の取引で代金をツケで売った時。代金は後で受け取る。 |
発生
未収入金 ××× 備品等 ××× 消滅
現金等 ××× 未収入金 ××× |
| 未払金 | 備品など、本業以外の取引で代金をツケで支払う時。代金は後で支払う。 |
発生
備品等 ××× 未払金 ××× 消滅
未払金 ××× 現金等 ××× |
|
| 手形を使う取引 | 受取手形 | 口約束ではなく、手形という証書を受け取り、後で支払ってもらうと約束した時。 |
発生
受取手形 ××× 売掛金 ××× 消滅
現金等 ××× 受取手形 ××× |
| 支払手形 | 口約束ではなく、手形という証書を渡して、後で支払うと約束した時。 |
発生
買掛金 ××× 支払手形 ××× 消滅
支払手形 ××× 現金等 ××× |
|
| 電子記録を使う取引 | 電子記録債権 | 手形の電子版と考えて大丈夫です。問題文に「電子記録に記録した」と書いてあり、後で受け取る時に使う。 |
発生
電子記録債権 ××× 売掛金 ××× 消滅
現金等 ××× 電子記録債権 ××× |
| 電子記録債務 | 手形の電子版と考えて大丈夫です。問題文に「電子記録に記録した」と書いてあり、後で支払う時に使う。 |
発生
買掛金 ××× 電子記録債務 ××× 消滅
電子記録債務 ××× 現金等 ××× |
|
| クレジット取引 | クレジット 売掛金 |
クレジットカードを使って売り上げた時。代金は後で入ってくる。 |
発生
クレジット売掛金 ××× 売上 ××× 消滅
現金等 ××× クレジット売掛金 ××× |
| クレジット 買掛金 |
クレジットカードで購入した時。代金は後で支払う。 |
発生
仕入等 ××× クレジット買掛金 ××× 消滅
クレジット買掛金 ××× 現金等 ××× |
|
| お金の貸し借り | 貸付金 | お金を貸して、後で返してもらう時。 |
発生
貸付金 ××× 現金等 ××× 消滅
現金等 ××× 貸付金 ××× |
| 借入金 | お金を借りて、後で返す時。 |
発生
現金等 ××× 借入金 ××× 消滅
借入金 ××× 現金等 ××× |
|
| 一時的な精算 | 立替金 | だれかの分を、いったん代わりに払った時。後で返してもらう。 |
発生
立替金 ××× 現金等 ××× 消滅
現金等 ××× 立替金 ××× |
| 預り金 | だれかのお金を、いったん預かった時。後で渡す。 |
発生
現金等 ××× 預り金 ××× 消滅
預り金 ××× 現金等 ××× |
|
| お金が先 | 前払金 | 代金だけ先に支払った時。商品やサービスはまだ受け取っていない。 |
発生
前払金 ××× 現金等 ××× 消滅
仕入等 ××× 前払金 ××× |
| 前受金 | 代金だけ先に受け取った時。商品やサービスはまだ渡していない。 |
発生
現金等 ××× 前受金 ××× 消滅
前受金 ××× 売上等 ××× |
|
| 内容がまだ不明 | 仮払金 | 支払ったが、何の代金かまだ分からない時に、いったん置いておく。 |
発生
仮払金 ××× 現金等 ××× 消滅
正しい科目 ××× 仮払金 ××× |
| 仮受金 | 受け取ったが、何のお金かまだ分からない時に、いったん置いておく。 |
発生
現金等 ××× 仮受金 ××× 消滅
仮受金 ××× 正しい科目 ××× |
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この先では、例題・判断手順・演習を使って理解を完成させます。
- パターン1:売掛金・買掛金(本業の“ツケ”)
- パターン2:未収入金・未払金(本業以外の“ツケ”)
- パターン3:受取手形・支払手形(手形を使う取引)
- パターン4:電子記録債権・電子記録債務
- パターン5:クレジット売掛金・買掛金
- その他の演習・確認問題