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導入(フック & Why)
🏪 ストーリー:あなたの店のレジが“少しずつ減る”

あなたが小さなお店を経営していて、会計用のレジ(備品)を 100,000円 で買ったとします。

このレジは、買ったその日だけ使って終わりの使い捨てではありません。これから何年にもわたって毎日お店で働き、売上を生み出し続けてくれる大切な“相棒(売上を生む道具)”です。

さて、ここで少し想像してみてください。

10万円のレジを現金で買った日、あなたはお財布から10万円を支払いました。

人間の感覚だと、「今日、10万円の重い『費用(出費)』がかかったなぁ」と、その日のうちに全額をマイナスとして処理したくなりますよね。

でも、もしその感覚のまま、買った年(1年目)の帳簿に10万円すべてを「費用」として記録してしまったら、一体どうなるでしょうか?

買った年(1年目)

まだ使い始めたばかりなのに、10万円分の出費がズドンと重くのしかかり、今年の利益がガクンと小さく(大赤字に)見えてしまいます。

2年目以降

レジはその後も毎日お店でがんばって売上を出してくれているのに、帳簿上のレジの費用はもうゼロです。そのため、利益がめちゃくちゃ大きく(実力以上に大儲けしているように)見えすぎてしまいます。

これでは、その年ごとの正しい経営成績(どれくらい効率よく稼げたか)がガタガタになってしまい、自分でも本当に商売がうまくいっているのかどうか分からなくなってしまいます。

💡 だから「減価償却(げんかしょうきゃく)」が必要!

減価償却を一言でいうと、「固定資産は、使った年に、使った分だけを費用にする」という仕組みです。

買ったタイミングだけで利益が大きくぶれないように、毎年の売上と、それを支えてくれた道具の費用を公平にペア(対応)にするための、とても優しい知恵なのです。

🧐 でも待って、「使った分」ってどうやって測るの?

ここで誰もが「レジがどれくらい減ったかなんて、目に見えないのにどうやって計算するの?」と疑問に思いますよね。

実は、簿記の世界では「今年はたくさんボタンを押したから多めに減らそう」といった細かいことはしません。そんなことをしたら、人によって計算がバラバラになってしまいます。

そこで、「このレジはこれから5年使う予定だから、毎年きれいに5等分して、同じ金額ずつ価値が減っていくことにしよう!」と、あらかじめシンプルな定規(ルール)を決めて計算します。

10万円を5年で割るから、1年あたり 20,000円 ずつ。

100,000円 ÷ 5年 = 20,000円

この「毎年同じ金額ずつ減らす」という計算方法を、のちほど詳しく学ぶ定額法と呼びます。

さらに、「もし年の途中の7月にレジを買ったらどうするの?」という問題も出てきます。7月に買ったなら、最初の年は12ヶ月のうち「7月から12月までの6ヶ月間」しか使っていませんよね。
丸1年フルに使っていないのに、他の年と同じように「一年分の20,000円」まるごと費用にするのは、どう考えても不公平です。

だから、最初の年だけは、使った月数の分だけをきっちり計算(月割計算)してあげます。
今回だと6ヶ月しか使っていないので、最初の年の費用は以下の内容になります。

20,000円 × 6ヶ月/12ヶ月 = 10,000円

このように、減価償却の計算はまったく難しく考える必要はありません。要するに、

① まず「その資産を1年間使ったら、いくら分を費用にするのが公平か」を、使う予定の年数で割って決める。

② あとは「今年は何か月使ったか」を数えて、その分だけ費用にする。

たったこれだけです。

まるでスマホの料金や月額のサブスクのように、「自分たちが使った期間の分だけをピッタリ費用にする」という、誰にでも納得できる理にかなった計算ルールなのです。

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全体像(俯瞰図・構造マップ)

1. 減価償却とは?(何のためにやるの?)

一言でいうと、長持ちする資産を買ったとき、その費用を「使った期間」に分けてピッタリ配分するルールです。

💡 目的(なぜやるのか?)
  • 利益を正しくする(費用収益対応):売上に貢献してくれた年ごとに費用を分けて、成績を正しく見せるため。
  • 資産を盛りすぎない:古くなった資産を「新品と同じ価値です」とウソをつかず、今の本当の価値に近づけるため。
  • 年ごとの比較をしやすくする:買った年だけ費用がドカンと跳ね上がるのを防ぐため。

2. 絶対に覚えるべき4つの重要キーワード

計算や仕訳に登場する、メインキャラクターたちです。

用語 意味(一言でいうと)
取得原価
(しゅとくげんか)
買ったときの値段(本体代 + 使えるようにするための付随費用)
残存価額
(ざんぞんかがく)
使い終わったあとに、最後に残る予定の価値(引くのを忘れない!)
耐用年数
(たいようねんすう)
その固定資産を使える予定の年数
帳簿価額
(ちょうぼかがく)
帳簿にいま残っている、実質的な「いまの価値」

3. 計算式(定額法)の2ステップ

減価償却の計算は、「1年分の基本料金を出す」→「使った月数で調整する」のシンプルな2ステップです。

ステップ①:1年分を出す(絶対に最後に残る分は引くこと!)
1年分(12か月分)の減価償却費
取得原価 処分後に残る価値は差し引きます 残存価額
耐用年数
ステップ②:使った月数にする(期中取得の月割計算)

年の途中で買った場合、1年目だけは「実際に使った月数」だけを費用にします。

当期の減価償却費 1年分の減価償却費 × 当期の使用月数 12か月

4. 決算の仕訳(直接法と間接法)

計算した金額を帳簿に書くルールです。簿記3級の主役は間接法です。

比較項目 直接法(ダイレクトに削る) 間接法(3級の主役:別に貯める)
考え方 固定資産の金額から直接引く。 買った金額は残し、減った分を別の勘定科目に貯める。
仕訳 (借)減価償却費 XXX /(貸)備品 XXX (借)減価償却費 XXX /(貸)減価償却累計額 XXX
勘定科目 貸方は、備品など「資産の減少」 貸方は、資産を間接的に引く「マイナス専用の勘定科目」

5. T字勘定紹介

減価償却費のT字勘定
減価償却費(費用)
発生
増えるときは借方(ホームポジション)
減るときは貸方
減価償却累計額のT字勘定
減価償却累計額(資産のマイナス勘定)
減少(固定資産を売却した時等、取り崩す)
増加
減るときは借方
増えるときは貸方(ホームポジション)
無料プレビューはここまで

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この先では、例題・判断手順・演習を使って理解を完成させます。

  • なんで減価償却をするのか
  • 計算方法:定額法
  • 記帳方法:間接法 vs 直接法
  • まとめ問題
  • その他の演習・確認問題