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期中取引:収益と費用
重要度:★★★★▼
期中取引:収益と費用
この単元は、取引を見た瞬間に「費用(借方で増える)/収益(貸方で増える)」を判定し、指定の勘定科目(給料・家賃・受取利息など)で迷わず仕訳を切れるようになるための単元です。
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導入(フック & Why)
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あなたがカフェのオーナーだと想像してください。
今月、お店の通帳を見てみると「100万円」ものお金がマイナスになっていました。
慌てて店長に「この100万円、何に使ったの!?」と問い詰めたとき、
「えーと、全部ひっくるめて『お店のコスト』です!」
とだけ答えられたら、どうでしょうか。
「いやいや、だからそのコストの中身(何に使ったのか)を教えてよ!」と頭を抱えてしまいますよね。
お店を運営していると、日々ありとあらゆる理由でお金が動きます。
- アルバイトに払ったお給料
- 毎月の店舗の家賃
- お客さんを呼ぶために配ったチラシ代
- 銀行から借りたお金の利息
これらをすべて「費用」という一つの大きな箱にポイポイと放り込んでしまうと、後から振り返ったときに「どこに無駄遣いしているのか」「売上を伸ばすための良い出費だったのか」が全く分からなくなってしまいます。
お金が入ってくる「収益」も同じです。本業のコーヒーで稼いだのか、たまたま銀行の預金利息が入っただけなのかを区別しないと、お店の本当の実力が見えません。
だからこそ簿記では、お金の出入りをただ「費用」「収益」とざっくりまとめることは絶対にしません。
- 「何のために使ったか?(給料、支払家賃、広告宣伝費など)」
- 「何で稼いだか?(売上、受取利息など)」
このように、増減の「要因」ごとに『勘定科目』という専用の名前(ラベル)をキッチリ貼り分けて記録していきます。
要因ごとに細かく分けて記録するルールがあるからこそ、最終的に「どうやって利益を出したのか」が一目でわかる、経営の役に立つ成績表(損益計算書)を作ることができるのです。
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全体像(俯瞰図・構造マップ)
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2-1. 仕訳はたったの「2ステップ」
費用と収益の仕訳を作るときは、次の「2つのステップ」で考えていきます。
取引を読んだら、まずはそれが費用なのか収益なのかを判断し、仕訳のどちら側に書くか(ホームポジション)を決めます。
- 費用: 利益を減らすもの。定位置は 借方(左側) です。
- 収益: 利益を増やすもの。定位置は 貸方(右側) です。
左右の定位置が決まったら、そこに当てはめる具体的な「勘定科目」を選びます。
「費用」「収益」とざっくり書くのではなく、「給料」「支払家賃」「受取利息」など、何に使ったか(何で稼いだか)という具体的な要因を表す勘定科目を選んで、ステップ1で決めた定位置にパズルのピースのようにはめ込みます。
2-2. 頻出パターン早見表(これだけで仕訳が切れる)
| 取引の状況 | まず見るポイント | 仕訳の最小形(型) |
|---|---|---|
| 費用を支払った | 何の費用?(給料?家賃?) |
費用 ××× 現金・預金 ××× |
| 費用が発生、未払い | 「まだ払ってない」 |
費用 ××× 未払金 ××× |
| 収益が入金された | 何の収益?(利息?家賃?) |
現金・預金 ××× 収益 ××× |
| 収益が発生、未収 | 「まだもらってない」 |
未収金 ××× 収益 ××× |
期中取引:収益と費用の続きは会員ページで学べます
この先では、例題・判断手順・演習を使って理解を完成させます。
- 本編 Step 1:まず固定:費用と収益の“動き”
- 本編 Step 2:費用科目
- 本編 Step 3:収益科目
- Final Step:まとめ問題(この単元のゴール確認)
- その他の演習・確認問題
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本編 Step 1:まず固定:費用と収益の“動き”
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- 費用は増えると借方(左)。
- 支払方法で貸方(相手科目)が変わる。
- 収益は増えると貸方(右)。
- 入金状況で借方(相手科目)が変わる。
よくある疑問:買掛金と未払金は何が違うの?
初学者がよく迷うのが、「どちらも後払いなのに、なぜ名前を分けるのか」という点です。 ここは、あとで払うかどうかではなく、何についてあとで払うのかで区別します。
「商品を買って後払いなら 買掛金、それ以外の後払いなら 未払金」
お店が売るための商品を仕入れたときの「あとで払う義務」です。 本業(商品売買)から生まれた負債(後で支払う義務)と考えられます。
例:文房具店がノートを仕入れ、代金は来月払いにした。
商品以外のものについて「あとで払う義務」です。 給料、家賃、水道光熱費、手数料、保険料、備品代など、本業以外(商品売買以外)から生まれた負債(後で支払う義務)と考えられます。
例:給料が発生したが、支払いは来月になる。
- 本業(商品売買)から生じた負債なのか、本業以外(商品売買以外)から生じた負債なのかを分けて見たいからです。
- 売掛金と買掛金は、「商品を売った・仕入れた」という本業の掛け取引を表すセットです。ここに家賃や給料まで混ぜると、本業でどれだけ掛けが残っているか見えにくくなります。
- この区別をしておくと、帳簿を見たときに「本業の商品仕入れの支払待ちがどれだけあるか」と、「それ以外の未払いがどれだけあるか」をすぐに読み取れます。
今回出てくる給料・家賃・水道光熱費・通信費・支払手数料などの費用は、どれも本業以外の取引(商品売買以外の取引)です。 そのため、まだ払っていないときは 買掛金 ではなく、未払金 を使います。 買掛金は、売るための商品を仕入れて、代金をあとで払うときに使う科目です。
同じ考え方で、収益側でも今回扱う受取利息・受取手数料・受取家賃・雑収入は、どれも本業以外の取引(商品売買以外の取引)です。 したがって、まだ受け取っていないときは 売掛金 ではなく、未収金 を使います。
つまり、この単元では 「商品売買なら買掛金・売掛金、商品売買以外なら未払金・未収金」 と整理すると判断しやすくなります。
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本編 Step 2:費用科目
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2-1 給料
- 使うとき:従業員・アルバイトへの給与を支払ったとき/給与が発生したとき。
例:給料90,000円を現金で支払った
例:給料120,000円が発生したが未払い
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2-2 支払家賃
- 使うとき:建物・店舗などの家賃を支払う(借りて使う)。
例:店舗家賃60,000円を現金で支払った
例:店舗家賃60,000円が発生したが未払いである
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2-3 支払地代
- 使うとき:土地の地代を支払う。
例:地代40,000円を現金で支払った
例:地代40,000円が発生したが未払いである
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2-4 水道光熱費
- 使うとき:電気・ガス・水道料金の支払い(または発生)。
例:ガス代6,000円を現金で支払った
例:水道代3,200円が発生したが未払いである
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2-5 通信費
- 使うとき:電話代、インターネット、郵便などの支払い(または発生)。
例:郵便代500円を現金で支払った
例:電話代3,500円が発生したが未払いである
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2-6 旅費交通費
- 使うとき:出張旅費、電車代、タクシー代など移動の支出。
例:電車代2,400円を現金で支払った
例:旅費交通費8,000円が発生したが未払いである
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2-7 支払手数料
- 使うとき:振込手数料、仲介手数料などサービス利用の対価。
例:仲介手数料10,000円を現金で支払った
例:手数料5,000円が発生したが未払いである
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2-8 保険料
- 使うとき:火災保険・自動車保険などの保険料を支払う(または発生)。
例:保険料12,000円を現金で支払った
例:保険料12,000円が発生したが未払いである
※「前払保険料」などの期間配分は決算整理で扱います。
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2-9 消耗費
- 使うとき:文房具・コピー用紙など、使って減る消耗品の支出。
例:文房具2,000円を現金で購入した
例:消耗品3,000円を購入したが未払いである
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2-10 修繕費
- 使うとき:備品・建物などを元の状態に保つ修理代。
例:備品の修理代5,000円を現金で支払った
例:修理代5,000円が発生したが未払いである
※価値を高める改良(資本的支出)は上位論点。3級は修繕費で処理させることが多いです。
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2-11 租税公課
- 使うとき:税金や公共団体に支払う負担(印紙税、固定資産税など)。
例:印紙税200円を現金で支払った
例:固定資産税30,000円が発生したが未払いである
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2-12 雑費
- 使うとき:上のどれにも当てはまらない少額の支出。
例:少額の清掃用品800円を現金で購入した
例:雑費2,000円が発生したが未払いである
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本編 Step 3:収益科目
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3-1 受取利息
- 使うとき:預金利息、貸付利息などを受け取った/受け取ることになったとき。
例:受取利息500円を現金で受け取った
例:受取利息800円が発生したが未収である
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3-2 受取手数料
- 使うとき:仲介・取扱いなどで手数料収入を得た(または発生した)。
例:手数料10,000円を現金で受け取った
例:手数料10,000円が発生したが未収である
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3-3 受取家賃
- 使うとき:自社が所有する建物等を貸して家賃収入を得た(または発生した)。
例:家賃30,000円を現金で受け取った
例:家賃30,000円が発生したが未収である
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3-4 雑収入
- 使うとき:上の収益科目に当てはまらない少額の収入を得た(または発生した)。
例:少額の受取金2,000円を現金で受け取った
例:雑収入2,000円が発生したが未収である
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Final Step:まとめ問題(この単元のゴール確認)
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次の取引を仕訳しなさい(相手科目も自分で選ぶ)。
- 給料90,000円を現金で支払った。
- 店舗家賃60,000円は未払いである。
- 電気代9,000円を普通預金から支払った。
- 振込手数料440円が普通預金から引き落とされた。
- 預金利息500円が普通預金に入金された。
- 貸している建物の家賃30,000円がまだ入金されていない。
すべての取引において、「利益が減るか・増えるか」を起点に考えます。
お金を払っていなくても費用は発生し(未払金)、お金をもらっていなくても収益は発生します(未収金)。
給料90,000円を現金で支払った
店舗家賃60,000円は未払いである
電気代9,000円を普通預金から支払った
振込手数料440円が普通預金から引き落とされた
預金利息500円が普通預金に入金された
貸している建物の家賃30,000円がまだ入金されていない